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訪問看護の在宅患者連携指導加算、在宅患者緊急時等カンファレンス加算(医療保険)

在宅療養中の利用者の状態急変や診療方針変更が生じた際、他の医療従事者との情報共有および、共同でカンファレンスを行い、利用者に対する新たな指導等をおこなうことが重要となります。

カンファレンスの実施により、より適切な治療方針を立てることができ、また、参加者間で診療方針の変更に関する正確な情報共有が可能となることから、このような取り組みを評価する加算が設定されています。

今回は、訪問看護ステーションが医療関係職種間で情報共有やカンファレンスをおこない、共有された情報をもとに療養上必要な指導をおこなった場合に算定できる、「在宅患者連携指導加算」と「在宅患者緊急時等カンファレンス加算」についてお伝えしていきます。

在宅患者連携指導加算とは?

在宅患者連携指導加算とは?

在宅患者連携指導加算は、医療関係職種間※で月に2回以上文書等により情報共有を行い、その共有された情報に基づいて療養上必要な指導を行った場合(准看護師は除く)に、算定できる加算です。

月に1回に限り算定できます。

※医療関係職種とは以下を指します。

① 訪問診療を実施している医療機関

② 歯科訪問診療を実施している医療機関

③ 訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局

④ 介護支援専門員または相談支援専門員

在宅患者連携指導加算の加算額

加算の種類 算定料
在宅患者連携指導加算 3,000円/月

在宅患者連携指導加算の対象者

在宅で療養中であり、かつ通院が困難な利用者

在宅患者連携指導加算の算定要件

共有された情報をもとに、利用者とその家族に対して指導を行っていること


情報提供があった場合、その内容、情報提供日、およびそれに基づいて行った指導の要点と指導日を訪問看護記録にに記載していること


利用者とその家族の同意を得た上で、訪問診療を行う医療機関、訪問歯科診療を提供する医療機関、および訪問薬剤管理指導を行う調剤薬局などの医療関係職種間で、月に2回以上、文書を通じて情報共有を実施していること

在宅患者連携指導加算の留意点

(1)情報の共有には、電子メールやファクシミリも利用できます。


(2)他の医療関係職種から情報提供を受けた場合、できる限り速やかに利用者・その家族への指導等に反映させます。


(3)療養上の指導に関する留意点がある場合には、速やかに他の医療関係職種に情報提供を行います。


(4)平成30年4月の改定により、1人の利用者に対して複数の訪問看護ステーションで算定が可能となりました。また、訪問看護ステーションと特別な関係にある医療機関などでも算定が可能となりました。


(5)在宅患者連携指導加算は、以下のような場合は算定できません。

  1. 医療関係職種間の単なる情報交換のみの場合
  2. 訪問看護指示書を交付している主治医との間のみで情報を共有し、訪問看護を提供した場合
  3. 要介護(支援)者の場合

在宅患者緊急時等カンファレンス加算とは

在宅患者緊急時等カンファレンス加算とは

在宅患者緊急時等カンファレンス加算は、利用者の病状急変や治療方針の変更があった際に、在宅療養を担当する医師の要請に基づき、関連する医療関係職種※などが利用者の自宅でカンファレンスを実施し、カンファレンスで共有された利用者の情報に基づいて、利用者またはその家族に対して療養上必要な指導を行う場合に評価される加算です。

月に2回限り算定できます。

※医療関係職種等とは以下を指します。

① 利用者の在宅療養を担っている医師等

②歯科訪問診療を実施している歯科医師等

③ 訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の薬剤師

④介護支援専門員または相談支援専門員

在宅患者緊急時等カンファレンス加算の算定の流れ

(1)在宅で療養を行なっている利用者の状態の急変や診療方針の変更等がある

(2)保険医療機関の保険医がカンファレンスの必要性があると判断

(3)利用者に関わる医療関係職種等が共同でカンファレンスを実施

(4)カンファレンスを実施した後、その内容を訪問看護記録書に記録する

在宅患者緊急時等カンファレンス加算の加算額

加算の種類 算定料
在宅患者緊急時等カンファレンス加算 2,000円/回 (月2回限り)

在宅患者緊急時等カンファレンス加算の対象者

在宅で療養を行っている利用者

在宅患者緊急時等カンファレンス加算の算定要件

関係する医療関係職種が原則として利用者の居宅に赴き、共同でカンファレンスを行うこと


カンファレンスで共有された情報を基に、利用者・その家族に対して指導を行っていること


訪問看護記録書に、医療関係職種等の氏名、カンファレンスの要点、指導の内容の要点、およびカンファレンスの開催日を訪問看護記録に記載していること

在宅患者緊急時等カンファレンスの留意点

利用者の在宅療養を担当している医師と訪問看護ステーションの看護師など(准看護師は除く)の2者でカンファレンスを実施した場合でも、算定できます。


特別な関係の制約はありません。また、連携している複数の訪問看護ステーションそれぞれで算定が可能です。


訪問看護ステーションのみが参加したカンファレンスでは算定できません。


原則として、利用者の住居でカンファレンスを行いますが、利用者やその家族が住居以外の場所で行うことを希望する場合、それに従うことができます。


カンファレンスだけを目的として訪問し、カンファレンスの結果からの指導のみを行った場合、訪問看護基本療養費または精神科訪問看護基本療養費を算定することはできません。このような場合、加算は、指定訪問看護を実施した後に算定されます。

ビデオ通話が可能な機器を用いる場合

令和4年度の改定により、ICTを活用したカンファレンスの要件が見直され、1人以上の医療関係者が利用者宅に赴いている場合、その他の関係者はビデオ通話が可能な機器を使用して参加することが許可されました。

厚生労働省保険局医療課「令和4年度診療報酬改定の概要 個別改定事項Ⅱ(情報通信機器を用いた診療)

参照元:厚生労働省保険局医療課「令和4年度診療報酬改定の概要 個別改定事項Ⅱ(情報通信機器を用いた診療)

ビデオ通話に関する厚生労働省のQ&A

Q:

退院時共同指導加算、在宅患者緊急時等カンファレンス加算、精神科重症患者支援管理連携加算における、カンファレンスや共同指導について、「やむを得ない事情により対面が難しい場合、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(ビデオ通話)が可能な機器を用いた場合」とあります。

(1)やむを得ない事情とはどのような場合か?

(2)携帯電話による画像通信でもよいか?

A:

(1)やむを得ない事情とは、たとえば、天候不良で会場への移動が難しい場合、急な利用者への対応により対面が間に合わない場合、または患者の退院予定日までに関係者全員の予定確保が難しい場合などです。

(2)リアルタイムで画像を含むコミュニケーションが可能であれば、機器の種類は問われません。ただし、個人情報を画面上で扱う場合は、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に従った機器を使用する必要があります。

まとめ

今回は、「在宅患者連携指導加算」、「在宅患者緊急時等カンファレンス加算」について、それぞれの算定要件や留意すべきポイントなどについてお伝えしました。

「在宅患者連携指導加算」、「在宅患者緊急時等カンファレンス加算」は、いずれも訪問看護管理療養費に条件を満たすことで算定できる加算の一つです。今回の記事が適切なレセプト請求の一助になれば幸いです。

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訪問看護は未経験であり自己資金もゼロでしたが、ある経営者さんとの出会いにより新規立ち上げの訪問看護ステーションで将来の独立を前提に管理者として働くことが決定しました。 現在年収600万円を得ながら経営ノウハウを習得し、3年後の独立、理想の訪問看護ステーション作りに邁進されています。

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