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訪問看護師が押さえておきたい!訪問看護の視診のポイントとは

訪問看護は、週1~3回、1回1時間程度、自宅で利用者・家族と話をしてケアを提供します。

訪問看護は、基本的に一人で訪問するため、病院のように、ほかの看護師や医師に、同じ状況を見てもらうことができません。

在宅療養においては、訪問看護師が身体観察の責任者であり、医療の専門家として、微細な異常を早期に発見する観察力が求められます。

また、訪問看護は、生活の場での看護提供なので、病気やケアに加えて、生活を中心とした看護師の「視点」が必要になります。

今回は、訪問看護でおこなうフィジカルアセスメントのひとつ「視診」について詳しくみていきたいと思います。

訪問看護の視診とは

訪問看護の視診とは

視診とは、視覚を用いて身体の形態や機能に異常がないか、疾患などの徴候が現れていないかを意図的に観察することです。

訪問看護の視診では、療養者や家族と会話をしながら、口の中や目もと、皮膚の状態などを見ていきます。起居動作をはじめとする、ADL(日常生活動作)の観察も重要です。

また、在宅療養の場合、心身の不調は、生活状況と直結していることも多いため、利用者の表情、身体の状態はもとより、身だしなみや玄関の外の様子、キッチンやトイレの汚れ具合などの生活環境の変化にも注意を払い「何かあったのかな」と気付く観察力も必要になります。

※訪問看護のフィジカルアセスメントについてはこちらの記事も参考にしてみてください。

訪問看護師のためのフィジカルアセスメントガイド ABCDEアプローチ、qSOFA、SAMPLE、OPQRST、FASTの解説

訪問看護の視診の主な観察項目

訪問看護の視診の主な観察項目

訪問看護の視診は、ただ漠然とみるのではなく、利用者の訴えや主な症状、随伴症状、既往、喫煙や飲酒などの生活習慣、 服用している薬剤などから、何を考え、何をみるか目的を持って観察することが重要です。

訪問看護の視診では、主に以下の観察を行います。

訪問看護の視診の主な観察項目

・皮膚の変化(むくみ、色素沈着、手術瘢痕、発疹の有無等)

・目もと・瞳孔

・表情・覚醒度(意識状態)

・術後の創部やドレーン刺入部の感染徴候

・身体の動き・姿勢

・生活状況、家の中の様子の確認

など

観察項目ごとに詳しくみていきます。

皮膚の変化

皮膚の変化

訪問看護の視診において、「皮膚の変化」は利用者の健康状態を把握するために重要な項目の一つです。以下の要素を注意深く観察することで、利用者の皮膚の変化に早期に気付き、必要な介入やケアを提供することができます。

1.むくみ

見た目や触れた感触を通じて、利用者の皮膚にむくみがあるかどうかを確認します。むくみは、体液の滞留や循環の問題を示唆する可能性があります。

2.色素沈着

皮膚の色調や斑点の変化を観察します。例えば、色素沈着がある場合は、それが何らかの皮膚疾患や循環不良のサインである可能性があります。

3.手術瘢痕

手術による傷跡や瘢痕を確認します。これにより、以前の手術の治癒状態やケアが適切であるかどうかを判断できます。

4.発疹の有無

皮膚表面に発疹や湿疹が見られるかどうかを確認します。これはアレルギー反応や感染症の兆候である可能性があります。

5.ハリやカサつき

皮膚の弾力やハリ、乾燥、カサつきを注意深く観察します。これは加齢や皮膚の保湿状態に関連している可能性があります。

6.靴下の跡の有無

皮膚に靴下などの圧迫が原因でできた跡があるかどうかを確認します。これにより、循環不良や浮腫の兆候を見逃さないようにします。

7.巻き爪や白癬などの異常

皮膚の爪周りを調べ、巻き爪や爪白癬などの異常がないかを確認します。特に、糖尿病患者※は足のトラブルに注意が必要です。

※糖尿病患者への注意点

糖尿病患者の場合、壊疸(皮膚の損傷)が生じる可能性があるため、皮膚の異常に特に敏感になります。低温やけどや足の傷にも留意し、適切なケアや予防策が必要です。

※高齢者の皮膚トラブルとケア内容についてはこちらの記事も参考にしてみてください。

訪問看護師必見!在宅で起こりやすい高齢者の皮膚トラブルとケア内容

目もと・瞳孔

目もと・瞳孔

「目もと・瞳孔」の視診は、利用者の全身の健康状態や特定の疾患の兆候を捉えるのに非常に重要です。

下瞼を軽く引っぱり、目の白目(結膜)や皮膚の色調を注意深く観察します。

青白く見える場合は、循環不良や低酸素状態を示唆する可能性があります。黄色みがかっている場合は、黄疸の兆候であり、肝機能障害や胆道の問題が考えられます。

白目や皮膚が白っぽく見える場合は、貧血の可能性が考えられます。貧血は鉄欠乏、ビタミンB12不足、慢性疾患などが原因となります。

白目が赤い場合は、結膜炎や睡眠障害、アレルギー反応などが考えられます。患者の症状や病歴を考慮し、適切な詳細な観察が必要です。

表情・覚醒度(意識状態)

表情・覚醒度(意識状態)

体調の変化や心配事は多少なりとも表情に出ます。ですので、まずは顔を見て、目に力があるか、焦点が定まっているか、会話に反応するか、笑顔があるか、つらそうな表情ではないかなど、いつもと違う様子はないか確認します。

意識障害があれば、脳血管障害や認知症、脱水などの可能性を考えることが大切です。また、うつ状態などのこころの変化にも注意が必要です。

術後の創部やドレーン刺入部の感染徴候の確認

術後の創部やドレーン刺入部の感染徴候の確認

手術後の利用者に対して、手術創に感染の兆候である発赤、腫脹、疼痛、滲出液等がないか確認します。

また、ドレッシング材やドレーンの固定による皮膚トラブル、皮疹や水泡などにも注意深く観察し、これらが見られた場合は皮膚保護剤を使用するなどのケアを行います。

身体の動き・姿勢、動きの確認

身体の動き・姿勢、動きの確認

訪問を出迎えてくれたときの利用者の表情や話し方、居室までの動作をチェックし、居室まで移動するあいだにも、「右の足をいつもより引きずっている」「部屋にゴミがたまっているる」など、いつもと違うところがないかをさりげなく観察します。

また「いつもは椅子に座っているのにベッドで横になっている」、「いつもは玄関で出迎えてくれるのに座っている」、「いつもは寄りかからない椅子の背もたれに寄りかかっている」など、姿勢や動きがいつもと違うときは、その理由を確認します。

生活状況、家の中の様子の確認

生活環境と身体状況・心理状況は相互に関係し合います。単に身体だけを観察していると、大切なサインを見落とす可能性があります。そのため、環境の変化から心身の不調を把握することも意識して行う必要があります。

いつもある急須や湯のみがテーブルにない

いつもの食事や飲み物の道具がない場合、水分摂取時のむせや不安が考えられます。

ポストに新聞や郵便物がたまっている

新聞や郵便物が積み重なっている場合、腰痛や下肢痛で外出が難しい可能性があります。

これまで自炊していたのに調理の形跡が全くない

食事の摂取量が減少している場合、義歯の不具合や口内炎などの口腔内の問題が影響している可能性があります。適切な歯科ケアや口腔ケアが必要です。

食事の摂取量が少ない

義歯の不具合(外れる、痛みが生じる等)、口内炎など口腔内の問題が考えらえれる

トイレが汚れている

トイレが汚れている場合、軟便や排泄の制御が難しい可能性があります。また、掃除している家族が体調不良でサポートが難しい場合も考えられます。

園芸が趣味なのに植木が枯れかけている

園芸が趣味なのに植木が手入れされていない場合、抑うつ症状や認知症の進行で意欲が低下している可能性があります。心肺機能の低下や身体の不調も考えられます。

訪問看護師が押さえておきたい視診のポイント

訪問看護師が押さえておきたい視診のポイント

訪問看護師の視診のポイントについて以下の項目ごとに簡単に解説してください。

(1)何をみるのか目的をもって観察する

漫然とみるのではなく、利用者の訴えや病状、既往を考慮し、何をみるのか目的をもって観察します。これにより、より効果的で的確な評価が可能となります。

(2)色や位置、左右対称性を意識して観察する

異常部位を観察する際には、大きさや形、色、位置、左右対称性などに注意を払います。これにより、異常の早期発見や変化の把握が可能となります。

(3)十分な視野と照度を確保する

正確な観察を行うためには、明るさにも注意が必要です。照度が足りない場合は、利用者に断りを入れた上で、ペンライトや懐中電灯などを使用して観察します。これにより、影が少なくなり、細部まで確実に観察できます。

(4)利用者の羞恥心やプライバシーに配慮する

観察のために肌を露出する場合、利用者の羞恥心やプライバシーに十分な配慮が必要です。観察が必要な部分以外はタオルや衣類で覆い、利用者が安心感を持てるようにします。

(5)部屋の温度に注意する

肌を露出する際、室温が寒すぎたり暑すぎたりすると、皮膚の色に影響が出て、正確な観察が難しくなります。部屋の温度に注意を払い、快適な状態を保つようにします。

まとめ

今回は、訪問看護でおこなうフィジカルアセスメントのひとつ「視診」について主な観察項目や注意すべきポイントなどについてお伝えしました。

訪問看護では、継続して利用者をみていくため、「いつもと違う」「何か変」をキャッチして、判断材料となる情報を集めていくことが非常に大切です。

意識的な観察を心がけていると、その時間内で 「この1週間
の暮らしに問題があったかどうか」「どこに問題があったのか」を推測できるようになります。

一つひとつの生活行動と、身体状況・心理状況は影響し合うことを踏まえてアセスメントしてきましょう。

本記事が訪問看護事業に従事される方や、これから訪問看護事業への参入を検討される方の参考になれば幸いです。

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訪問看護は未経験であり自己資金もゼロでしたが、ある経営者さんとの出会いにより新規立ち上げの訪問看護ステーションで将来の独立を前提に管理者として働くことが決定しました。 現在年収600万円を得ながら経営ノウハウを習得し、3年後の独立、理想の訪問看護ステーション作りに邁進されています。

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