訪問看護師のマインドセットとは?病棟看護との違いと意識すべきポイント

マインドセットとは、個人が持つ特有の考え方や思考パターンのことを指します。これは、人々が物事を理解し、解釈し、行動する際に形成される心の枠組みであり、その人の行動や意思決定に大きな影響を与える要素となります。

訪問看護師としての仕事は、病棟での看護とは異なり、利用者の自宅や生活の場でケアを提供することに特化しています。この新たな環境において、看護師のマインドセットにも変化が求められるのです。

本コラムでは、訪問看護師としてのマインドセットに焦点を当て、病棟との違いや重要なポイントについて探ってみましょう。訪問看護の特有の課題に向き合い、より質の高いケアを提供するために意識すべきポイントを解説します。

病棟看護師として形成された“マインドセット”とは

病棟看護師として形成されたマインドセットとは

ビジネスの場では、しばしば「マインドセット」という言葉が使われます。マインドセットとは、これまでの経験や価値観、思い込みによって形成された考え方や思考パターンを指します。

元々は心理学の用語として使われていたマインドセットは、アメリカの心理学者であるドゥエック教授の提唱により、ビジネスの文脈でも広く使われるようになりました。

マインドセットの考え方は個人だけでなく、組織にも適用されます。訪問看護ステーションが成功するためには、このマインドセットを意識することが非常に重要です。

ご存じのように、病院と訪問看護ステーションでは、同じ看護を行っていても働く環境や関わる人などが大きく異なります。

初めて訪問看護師として働く場合、これまでの病院での経験から形成された看護師としてのマインドセット(考え方や思考パターン)を見直す必要があります。

それでは、看護師としてのマインドセットを見直すにあたり、病院と訪問看護の具体的な違いについてみていきましょう。

(1)患者、利用者の関わり方の違い

(1)患者、利用者の関わり方の違い

訪問看護は、利用者の生活の場に訪問してケアを提供するため、医療期間で行われる看護とは異なる視点が必要です。

看護師と患者、利用者の関わり方も大きく異なります。

病院での看護は、病気の治療が主な目的であり、多くの場合、検査や治療のサポートなど補助的な業務が看護師に求められます。

一人の看護師が日勤では5~7人の患者を、夜勤ではその倍の数を受け持つこともあります。このような状況下では、患者とじっくりコミュニケーションをとる時間を確保することが難しいこともあります。

また、看護師がキャリアを重ねて中堅クラスに進むと、リーダーシップの役割が増える一方で、一人の患者に時間を割く余裕が減ってしまうことがあります。その結果、患者とのつながりが希薄になり、患者自身も受け持ちの看護師が誰なのかわからないこともよくある状況となります。このような制約や状況の中で、看護師は精一杯のケアを提供しようとしています。

一方、訪問看護は病院看護とは全く異なるアプローチが求められます。利用者の生活の場に足を運び、限られた時間ながらも真摯に向き合い、ケアとコミュニケーションを重視します。

病気やケガだけでなく、生活全体を見つめることが必要とされるため、看護の視点も大きく変わります。訪問看護師個人の人間力や経験が大きな影響を与えることもあり、これまでの学びや経験が活かされる場面が多く存在します。

(2)看護の提供の仕方の違い

(2)看護の提供の仕方の違い

病院では、規則や手順、マニュアルに基づいて看護が行われる一方、訪問看護では利用者の「生活の場」に入り、家族の歴史やしきたり、習慣に配慮しながら看護を提供します。

利用者ごとに個別のニーズがあり、高い個別性が求められます。

また訪問看護は報酬上の制約があり、月に訪問できる回数や1回の訪問時間に制限があります。介護保険が適用される居宅サービスは、ケアマネジャーによって作成されたケアプランに従って行われます。

訪問看護は、介護度に応じた支給限度内で、利用者の経済状況を考慮して調整が行われます。そのため、利用者にとって最適な訪問回数や時間を提案することは難しく、看護師として倫理的なジレンマを抱くこともあります。

(3)利用者家族の意向の考慮

(3)利用者家族の意向の考慮

訪問看護では、利用者本人とその家族の間に、時には異なる意向が生じることがあります。利用者が自分のケアについて特定の希望や意図を持っている一方で、家族はそのケアに対して別の考えを持つことがあります。

このような状況では、看護師は利用者の意思を尊重すべきでありながら、同時に家族の意向も考慮せざるを得ないというジレンマが生じることがあります。

看護師は、利用者と家族の双方に敬意を払いながら、適切なバランスを見つける必要があります。利用者の自立や意思を尊重しつつ、家族がサポートすることで利用者の生活が安定することも考慮することが重要です。

(4)多職種とのかかわり

(4)多職種とのかかわり

病院では、医師や看護師、その他のコメディカルが同じチームとして患者さんに関わる一方、訪問看護や在宅医療では医師をはじめ、ケアマネジャー、看護師、セラピスト、介護士など複数の職種がそれぞれの組織から利用者の生活の場に出向いて支援を行います。

多職種が関わる場合、インフォームド・コンセントの問題や、各種サービス間での異なった価値観や視点の違いから倫理的なジレンマに直面することがあります。

利用者さんの意向やニーズに沿った適切な支援を提供するためには、情報共有や意思決定において調整が必要ですが、それがうまくいかない場合もあります。

訪問看護師は、病院とは異なり、すぐに多職種での話し合いの機会を持てない環境であることを理解する必要があります。このような状況下で、適切な判断を下すことや利用者さんに対して適切な情報を提供することが困難な場合があります。

しかし、重要なことは、利用者さんの必要な支援を迅速に切れ目なく繋げることを意識することです。倫理的な問題に直面した際にも、利用者さんの最善の利益を優先し、他の職種と協力し合うことでより良い結果を得る努力が求められます。

訪問看護師としてのマインドセットを持つために意識すべきポイントとは

訪問看護師としてのマインドセットを持つために意識すべきポイントとは

これから訪問看護を始める看護師は、今まで病棟での経験で形成されたマインドセット(考え方や思考パターン)を見直すために下記のポイントを意識していく必要があります。

(1)利用者や家族の考えや思いをよく知る

訪問看護では、利用者やその家族のニーズや希望をよく理解することが重要です。病棟とは異なり、自宅や生活の場でのケアが行われるため、環境や家族の関与が大きな影響を与えることがあります。個々の利用者や家族の事情をよく把握し、それに合わせたケアを提供するためにコミュニケーションを大切にしましょう。

(2)自分の価値観ではなく相手(利用者や家族)を尊重する

自分自身の経験や価値観がある程度形成されていることもありますが、訪問看護師としては利用者や家族の立場を理解し、その意見や希望を尊重することが必要です。自己中心的なアプローチではなく、利用者や家族の視点に立ち、彼らのニーズに合わせたケアを提供するよう心がけましょう。

(3)相手の思いを知るため傾聴し、積極的なコミュニケーションを図る

傾聴力を養い、相手の思いや意見を理解することが重要です。コミュニケーションを通じて、利用者や家族が抱える悩みや問題を共有し、信頼関係を築くことが必要です。積極的にコミュニケーションを図り、利用者や家族が抱える課題に敏感に対応しましょう。

(4)自分1人で抱え込まず、事業所内や関係職種間で倫理的な問題について話し合う

訪問看護は一人で行うことが多いため、孤立して倫理的な問題に対応することが難しいことがあります。そのため、事業所内や他の関係職種と協力して倫理的な問題について話し合う場を持つことが重要です。相談や意見交換を通じて、より適切な判断やケアプランを立てることができます。

これらの意識すべき点を理解し、訪問看護師としての役割を遂行することで、利用者や家族に寄り添った適切なケアを提供することができるでしょう。また、経験豊富な同僚や上司とのコミュニケーションを通じて成長することも大切です。

まとめ

訪問看護師としてのマインドセットは、病棟での看護とは異なる独自の視点や意識を求められます。利用者の自宅や生活の場でケアを提供することにより、患者と家族との関わり方や看護の提供方法が変わります。本コラムでは、訪問看護師としてのマインドセットに焦点を当て、病棟との違いや重要なポイントについて探ってきました。

訪問看護師には、利用者や家族の考えや思いをよく知ることが重要です。彼らのニーズを把握し、個別のケアを提供することで、より質の高いサービスが実現します。また、自分の価値観ではなく、利用者や家族の立場を尊重することが欠かせません。相手の思いを理解するために傾聴し、積極的なコミュニケーションを図ることで、信頼関係を築きながら適切なケアを提供することができます。

さらに、訪問看護では多職種との連携が不可欠です。利用者の健康や生活に関わる倫理的な問題に直面した際には、1人で抱え込まずに事業所内や関係職種間で協力し合い、最適な対応策を模索することが重要です。

訪問看護師としてのマインドセットを持つためには、柔軟な発想と共感力を養い、常に利用者と家族の側に立ってケアを提供する姿勢を持つことが大切です。倫理的なジレンマに直面しても、利用者の最善の利益を追求し、専門職として成長し続けることで、訪問看護の質の向上に貢献できることでしょう。

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