訪問看護における「加算」とは?②医療保険の加算について解説

在宅医療の広まりを受け、「特別な処置をしているので管理してほしい」「夜間にケアをしてほしい」など、利用者のニーズも幅広くなっています。そのため、基本的な訪問看護に加え、さらに追加のサービスを行った場合に支払われるのが加算です。

訪問看護ステーションの付加価値を高めるには、加算に対応できる体制を整えることが大切です。この記事では、医療保険の加算について解説します。

訪問看護における医療保険13の加算

訪問看護における医療保険13の加算

訪問看護で提供する医療サービスの加算には、13種類あります。

1.24時間対応体制加算

2.複数名訪問加算

3.緊急時訪問看護加算

4.退院時共同指導加算

5.ターミナルケア療養費1・2

6.特別管理加算

7.退院支援指導加算

8.長時間訪問看護加算

9.早朝・夜間訪問看護加算

10.在宅患者指導連携加算

11.在宅患者緊急時等カンファレンス加算

12.訪問看護情報提供療養費加算1・2・3

13.乳幼児加算 6歳未満

それでは、それぞれの加算について説明します。

(1)24時間対応体制加算

(1)24時間対応体制加算

利用者や家族から、24時間いつでも電話などで常に連絡や相談を受ける体制が整っていて、必要な時には、緊急時の対応を行えるステーションが評価される加算です。

緊急訪問看護が行える体制であることが要件です。

料金は6,400円、頻度は月1回です。

(2)複数名訪問加算

(2)複数名訪問加算

スタッフ1名で看護するのが難しい利用者に対し、同時に複数人のスタッフで訪問することが評価される加算です。

対象の利用者の疾患や、基本療養費の種類によって、複数名訪問看護加算と複数名精神科訪問看護加算が適応されます。

この加算を算定するには、複数人での訪問に利用者や家族が同意していることが必要です。

料金は、訪問先の建物が同一か否かで異なり、2,700円~9,000円、頻度は1日1回です。

対象は、以下のいずれかに該当する利用者です。

①末期の悪性腫瘍、神経難病等

②特別管理加算の対象者

③特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている

④暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為等が認められる

⑤身体的理由により1人の看護師等による訪問看護が困難と認められる

⑥その他利用者の状況等から判断して、上記に準ずると認められる

(3)緊急時訪問看護加算

(3)緊急時訪問看護加算

主治医からの指示を受け、計画以外の訪問を行った際に算定できるものです。

対象の利用者の疾患や、基本療養費の種類によって、緊急訪問看護加算と精神科緊急訪問看護加算があります。

料金は2,650円、頻度は1日1回です。

(4)退院時共同指導加算

(4)退院時共同指導加算

病院や診療所、介護老人保健施設などから退院、または退所する利用者に、訪問看護ステーションが、入院先の医師やスタッフと共同して指導を行う際に算定できる加算です。

料金は8,000円、頻度は退院時、もしくは退所時です。

(5)ターミナルケア療養費1・2

(5)ターミナルケア療養費1・2

訪問看護ステーションが、主治医と連携し、ターミナルケアを提供する際に算定できるものです。

〇ターミナルケア療養費1

在宅看護ターミナルケア療養費1は、在宅や特別養護老人ホーム等で亡くなった利用者のうち、看取り介護加算などが算定されていない利用者に対し、ターミナルケアを提供した場合、算定できます。

料金は25,000円、頻度は1回です。

〇ターミナルケア療養費2

訪問看護ターミナルケア療養費2は、看取り介護加算等を算定している利用者に対して、特別養護老人ホーム等死亡した場合に、ターミナルケアを行ったときに算定できます。

料金は10,000円で、頻度は1回です。

(6)特別管理加算

(6)特別管理加算

重症度などが高い利用者※2、もしくは特別な管理を必要とする利用者※3に対し、看護体制を整え、計画的な管理を行った場合に算定されます。

※2  この加算に該当する重症度の高い利用者は、以下のどれかに該当する利用者です。

* 在宅悪性腫瘍等患者指導管理

* 在宅気管切開患者指導管理

* 気管カニューレの使用

* 留置カテーテルの使用

※3  特別な管理を必要とする利用者(重症度の高い利用者は除く)は、以下に該当する人です。

* 在宅自己腹膜灌流指導管理

* 在宅血液透析指導管理

* 在宅酸素療法指導管理

* 在宅中心静脈栄養法指導管理

* 在宅成分栄養経管栄養法指導管理

* 在宅自己導尿指導管理

* 在宅人工呼吸指導管理

* 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理

* 在宅自己疼痛管理指導管理

* 在宅肺高血圧症患者指導管理

* 人工肛門、人工膀胱の設置

* 真皮を越える褥瘡

* 在宅患者訪問点滴注射管理指導料

(7)退院支援指導加算

(7)退院支援指導加算

医療機関や施設などから退院する利用者に対し、退院日に在宅療養に関する指導を行ったときに算定されます。

料金は6,000円、頻度は退院時です。

(8)長時間訪問看護加算

(8)長時間訪問看護加算

訪問が長時間に及ぶ利用者に対し、1時間30分を越えてサービスを提供した場合に算定できる加算です。

対象利用者の疾患や基本療養費の種類により、長時間訪問看護加算と長時間精神科訪問看護加算があります。

料金は5,200円、頻度は1日1回です。

対象者は、以下のいずれかの利用者です。

① 15歳未満の超重症児又は準超重症児
②特掲診察料の施設基準等別表第八※1に掲げる者
③特別訪問看護指示書又は精神科特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者

※1特掲診察料の施設基準等別表第八に掲げる者とは

* 在宅悪性腫瘍等患者指導管理

* 在宅気管切開患者指導管理

* 気管カニューレの使用

* 留置カテーテルの使用

* 在宅自己腹膜灌流指導管理

* 在宅血液透析指導管理

* 在宅酸素療法指導管理

* 在宅中心静脈栄養法指導管理

* 在宅成分栄養経管栄養法指導管理

* 在宅自己導尿指導管理

* 在宅人工呼吸指導管理

* 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理

* 在宅自己疼痛管理指導管理

* 在宅肺高血圧症患者指導管理

* 人工肛門、人口膀胱の設置

* 真皮を越える褥瘡

* 在宅患者訪問点滴注射管理指導料

(9)早朝・夜間訪問看護加算

(9)早朝・夜間訪問看護加算

利用者や家族の要望を受け、夜間、深夜、早朝などの時間帯に特別訪問看護を提供している場合に加算されます。

各時間帯について

* 夜間:午後6時~午後10時まで

* 深夜:午後10時~午前6時まで

* 早朝:午前6時~午前8時まで

料金は、早朝と夜間は2,100円、深夜は4,200円、頻度は随時です。

(10)在宅患者指導連携加算

(10)在宅患者指導連携加算

在宅療養中で、なおかつ通院が難しい利用者に対し、訪問による診療や歯科診療、薬剤管理指導を実施している医療機関や薬局と情報共有し、その情報をもとに療養指導を実施することで算定されます。

料金3,000円、頻度は月1回です。

(11)在宅患者緊急時等カンファレンス加算

(11)在宅患者緊急時等カンファレンス加算

在宅療養中の利用者の急変や、診療方針が変更された際、カンファレンスを実施し、適切な診療方針を立てること、方針変更の内容を共有していることを評価し、算定される加算です。

料金は2,000円、頻度は実施時です。

(12)訪問看護情報提供療養費加算1・2・3

(12)訪問看護情報提供療養費加算1・2・3

〇訪問看護情報提供療養費1

訪問看護情報提供療養費1は、訪問看護ステーションと自治体が実施する保健福祉サービスとの効果的な連携を強化し、利用者への総合的な在宅療養をすすめることが目的です。

〇訪問看護情報提供療養費2

訪問看護ステーションの利用者が、保育園、認定こども園、小学校、中学校を始めとする各種学校等に通園、通学する場合、学校生活を安全に送れるよう、学校などと連携することを目的とした加算です。

〇訪問看護情報提供療養費3

医療機関や介護老人保健施設などに入院、入所した利用者が、自宅から医療機関や施設へと療養の場を変える際、変更先の施設と訪問看護ステーションがよりよい連携を行い、継続的な看護を提供することを目的とした加算です。

それぞれの料金と頻度については、1、3の料金は1,500円、頻度は月1回です。

2の料金は1,500円で、頻度は年度1回です。

(13) 乳幼児加算 6歳未満

(13) 乳幼児加算 6歳未満

6歳未満の利用者に訪問看護を行った場合、1日に1回のみ算定できます。

料金は1,500円、頻度は1日1回です。

まとめ

たくさんの加算がありましたが、いかがでしょうか。訪問看護ステーションを開業するときは、あらゆる利用者のニーズに応えられるよう、加算を算定できる要件を整えるようにしたいものです。

いろいろナースでは、経営が不得手な看護師も、不安なく訪問看護ステーションを開業できるよう、教育やサポートを提供しています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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