ほとんどの看護師さんが未経験で入職される訪問看護ステーションとは、どのような仕事なのでしょうか。
今回は、これから訪問看護ステーションでの入職を検討されている看護師さんに向けて、総合的に訪問看護についてお伝えします。
訪問看護サービスがますます必要とされている理由
最初になぜ訪問看護サービスの重要が高まる理由について解説します。
(1)在宅医療の需要が増加しているため
高齢化に伴い、病気や障害のある方が在宅で医療を受ける需要が増えています。そのため、訪問看護サービスが必要不可欠となっています。
(2)医療技術の進歩
医療技術が進歩し、在宅で受けられる医療サービスの幅が広がっています。訪問看護師は、在宅で必要な医療処置やケアを提供することができるため、ますます需要が高まっています。
(3)社会保障費のコスト削減
高齢化に伴う医療費の増大:高齢化が進む中、医療費の増大が問題視されています。病院での長期入院は、高額な医療費を必要とするため、それを削減するための政策として在院日数の短縮が進められています。
(4)患者さん・ご家族の希望
在宅で医療サービスを受けることができることは、患者さんやご家族にとってもメリットがあります。
自宅で過ごせるため、精神的な負担が少なくなりますし、家族と過ごす時間も増えます。そのため、患者さん自身が訪問看護サービスを希望するケースも増えています。
訪問看護のサービスの内容とは
次に訪問看護のサービス内容についてみていきます。
訪問看護は、ご利用者(患者)の自宅や施設を訪問して、看護師が医療処置や健康管理のサポートを提供するサービスです。
具体的には、以下のようなサービス内容を提供します。
(1)医療処置の提供
医師の指示に従って、点滴や薬の投与、包帯交換、創傷処置、胃ろう管理などの医療処置を提供します。
(2)健康管理の支援
患者の健康状態や生活環境を把握し、必要な情報を提供することで、自己管理能力の向上を支援します。また、栄養指導や運動指導などを行うこともあります。
(3)医療連携の調整
医療機関やケアマネージャーとの連携を図り、患者の病状や治療方針を共有することで、スムーズな医療体制を整えます。
(3)心理的なケア・サポート
患者や家族のストレスや不安を和らげるため、心理的なサポートを提供することもあります。
訪問看護サービスは、高齢者や療養が必要な方、身体的な障害、小児や精神などを持つ方など、さまざまな方に利用されています。
訪問看護と病院勤務の違い
訪問看護ステーションは、これまで勤務していた病院とは、働き方が大きく異なります。
(1)患者の場所が異なる
訪問看護では、患者の自宅や介護施設、地域の診療所やクリニックなど、患者が生活する場所を訪問します。一方、病院勤務では、病院内で患者を受け入れ、治療や看護を行います。
(2)患者数が異なる
訪問看護では、一人ひとりの患者に対して時間をかけて看護や治療を行います。そのため、一人の看護師が担当する患者数は比較的少なくなります。
一方、病院勤務では、多くの患者に対して看護を行う必要があり、一人の看護師が担当する患者数は比較的多くなる傾向があります。
(3)業務内容が異なる
訪問看護では、患者の状態を評価し、必要に応じて医師や他の医療従事者と連携しながら看護や治療を行います。また、患者や家族とのコミュニケーションも重要な業務の一つです。
一方、病院勤務では、医師や他の医療従事者との連携や、患者の状態をモニタリングすることが主な業務となります。
(4)勤務時間が異なる
訪問看護では、患者の状態に合わせて柔軟な勤務時間を設定することができます。一方、病院勤務では、一定の勤務時間に従事することが一般的です。
以上のように、訪問看護と病院勤務には、患者の場所や患者数、業務内容、勤務時間などの違いがあります。
訪問看護と病院勤務は、どちらが働きやすいのか
訪問看護と病院勤務のどちらが働きやすいかは、個人の嗜好や状況によって異なります。
訪問看護と病院勤務のメリット・デメリットをあげてみます。
【訪問看護のメリット】
患者の生活環境に合わせた看護ができる。
一人ひとりの患者に対して、じっくりと看護ができる。
勤務時間や勤務場所によって、自分に合った働き方ができる。
【訪問看護のデメリット】
自宅や介護施設など、患者の生活環境によっては、看護が困難な場合がある。
患者の自立支援や在宅医療など、高度な知識と技術が求められることがある。
交通手段や天候に左右されることがある。
【病院勤務のメリット】
医師や他の医療従事者との連携がしやすい。
多くの患者に対して看護ができる。
専門的な知識や技術を身につけることができる。
【病院勤務のデメリット】
勤務時間が一定している場合が多く、柔軟な働き方がしにくいことがある。
人手不足が深刻化している場合があり、業務量が多くなることがある。
患者とのコミュニケーションが短い場合がある。
以上のように、訪問看護と病院勤務にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
どちらが働きやすいかは、自分のライフスタイルや嗜好、状況によって異なりますので、自分に合った職種を選ぶことが大切です。
訪問看護師の1日の動き
次に訪問看護師の1日の動きについてみていきます。
出勤前の準備
訪問看護師は、出勤前に訪問先の情報を確認し、必要な書類や器具を用意します。また、訪問先で必要な処置についての情報や訪問の目的、利用者の状態を確認します。
訪問先への移動
訪問看護師は、自動車や公共交通機関を利用して、訪問先へ移動します。通常、1日に複数の訪問先を回るため、交通手段の選択や移動時間の計画が重要です。
利用者の状態の確認
訪問看護師は、訪問先で利用者の状態を確認します。病状や痛みの程度、体温や血圧の測定、創傷の観察、医薬品の管理など、必要な処置を行います。
処置の実施
訪問看護師は、利用者の状態に合わせて、必要な処置を実施します。処置内容には、注射や輸液、創傷処置、バイタルサインの測定などが含まれます。
記録の作成
訪問看護師は、訪問先での処置内容や利用者の状態を記録します。これは、利用者の状態を把握するためだけでなく、医師や他の医療スタッフとの連携に必要な情報となります。
次回の訪問の計画
訪問看護師は、次回の訪問時に必要な処置や器具の準備などを計画します。また、利用者やその家族とのコミュニケーションを通じて、利用者の健康状態や生活環境の変化を把握することも重要です。
退勤前の整理
訪問看護師は、退勤前に訪問先で使用した器具や薬剤の整理や廃棄、書類の整理を行います。
また、訪問先での処置内容や利用者の状態について、必要な情報を医師や他のスタッフに報告することもあります
訪問看護で絶対にやってはいけないこと
訪問看護において、患者さんに対して次のような行為は絶対に避けなければなりません。
患者さんのプライバシーを侵害すること
患者さんのプライバシーは、医療従事者にとって非常に重要な問題です。訪問看護では、患者さんが住む自宅などのプライバシーを尊重することが必要です。患者さんが家族や友人といる場合には、患者さんの了解を得たうえで会話を進めるように心がけてください。
患者さんに対して不適切な言葉を使うこと
訪問看護では、患者さんの病状や状況について真剣に向き合うことが大切です。しかし、患者さんに対して不適切な言葉や態度をとることは、信頼関係を損なうことにつながります。
患者さんに対して常に敬意を持ち、親切で丁寧な言葉遣いを心がけてください。
医療行為を不適切に行うこと
訪問看護では、医師やケアマネージャが定めた治療計画に基づいて医療行為を行うことが求められます。
しかし、適切な知識や技術を持たないまま医療行為を行うことは、患者さんに深刻な健康被害をもたらすことがあります。訪問看護では、適切な訓練を受けた看護師が医療行為を行うように心がけてください。
患者さんとのコミュニケーションを怠ること
訪問看護では、患者さんとのコミュニケーションが非常に重要です。患者さんが病状や治療計画について理解できるよう、丁寧に説明することが求められます。また、患者さんが抱える問題や不安に対しても、積極的に聴き、対応するよう心がけてください。
以上のように、訪問看護では、ご利用さん(患者さん)に対して常に敬意を持ち、適切な医療行為を行い、患者さんとのコミュニケーションを大切にすることが求められます。
まとめ
これから訪問看護ステーションでの入職を検討されている看護師さんに向けて、総合的に訪問看護についてお伝えしました。
訪問看護には、病院とは、働き方も異なり、訪問看護独自の様々の役割や責任があります。
本記事に入職する前に自分に合っているか、様々な観点から見ていただければ幸いです。
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