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訪問看護の初回訪問の流れと注意すべきポイント

初回訪問は、訪問看護サービスを利用する利用者に対して初めて訪問看護を提供する際の重要なステップです。

今回は、訪問看護の初回訪問の流れと注意すべきポイント、そして初回訪問から導きだされる看護介入事項についてお伝えします。

訪問看護の初回訪問の概要と役割

訪問看護の初回訪問の概要と役割

初回訪問は、訪問看護師が利用者の自宅や施設を訪れ、利用者の健康状態やケアニーズの評価、訪問看護計画の策定などを行う訪問です。

初回訪問における訪問看護の役割についてみていきます。

(1)健康状態の評価

初回訪問では、訪問看護師が利用者の健康状態を評価します。体温、血圧、脈拍などのバイタルサインの測定や、身体の状態や症状の観察を行い、利用者の健康状態を把握します。

(2)ケアニーズの評価

利用者の状態や生活環境、医療記録などを確認し、ケアニーズを評価します。訪問看護師は利用者や家族との対話を通じて、利用者の個別のニーズや希望を把握し、適切なケアプランの策定に反映させます。

(3)訪問看護計画の策定

利用者の健康状態とケアニーズに基づいて、訪問看護師は訪問看護計画書(ケアプラン)を作成します。訪問看護計画書には、利用者の具体的なケア目標、看護処置の内容、訪問頻度などが含まれます。初回訪問では、利用者や家族と共に訪問看護計画書を確認し、必要な修正や合意を行います。

(4)利用者・家族との信頼関係の構築

初回訪問では、利用者と訪問看護師との間で信頼関係を築く重要な機会となります。訪問看護師は利用者のプライバシーと尊厳を尊重し、利用者が安心してケアを受けるため利用者に対して丁寧かつ理解しやすい言葉で説明し、質問や疑問にも応じます。

初回訪問は、利用者と訪問看護師との初めての接点であり、信頼関係の基盤を築く重要な機会です。訪問看護師は利用者の個別のニーズやケア目標を理解し、安全で質の高い訪問看護サービスを提供するために、初回訪問に十分な時間と注意を割くことが求められます。

初回訪問の実施前の確認事項とは

主治医から訪問看護指示書が交付されているかを必ず確認します

では、紹介訪問を実施するにあたっての具体的な流れについてみていきます。

初回訪問を実施前には、下記のポイントを確認することが大切です。

(1)訪問看護指示書の確認

主治医から訪問看護指示書が交付されているかを必ず確認します。訪問看護指示書には、利用者の健康状態や必要な看護処置、訪問看護の目的や頻度などが記載されています。訪問看護師はこの指示書に基づいてケアを提供するため、初回訪問前に確認することは非常に重要です。

(2)訪問看護の予定日と期限の確認

初回訪問の予定日と期限を確認します。訪問看護指示書には、初回訪問の予定日や期限が記載されているはずです。訪問看護師は、利用者やケアマネージャーと連携して、初回訪問が予定通りに実施されるように調整します。期限内に初回訪問を設定することが重要です。

(3)初回訪問の準備

初回訪問に向けて必要な準備を行います。訪問看護師は、訪問に必要な医療機器や薬剤、書類などを準備し、利用者の状態や訪問看護計画に基づいて必要な情報を把握します。また、利用者との面談や評価に備えて必要な資料やツールも用意します。

初回訪問の当日の流れ

初回訪問の当日の流れ

では、次に初回訪問の当日の流れを順番にみていきます。

(1)入室と挨拶

訪問看護師は利用者の自宅や訪問先に到着し、正門やドアベルを使用して入室します。入室時には利用者や家族に丁寧に挨拶し、自己紹介を行います。訪問看護師は利用者との信頼関係を築くため、親しみやすい態度で接します。

(2)心身の状態の観察

訪問看護師は利用者の心身の状態を観察します。バイタルサイン(体温、脈拍、呼吸数、血圧)の測定を行い、利用者の一般的な健康状態を把握します。また、利用者の外見や表情、歩行能力なども観察し、健康や日常生活に関連する情報を収集します。

(3)在宅療養環境の評価

訪問看護師は利用者の在宅療養環境を評価します。利用者の居住状況、住宅の安全性や衛生状態、必要な設備や器具の有無などを確認します。環境の評価は利用者の安全と快適さを確保するために重要です。

(4)主介護者の状況の確認

訪問看護師は主介護者にあたる家族の介護状況を確認します。家族がどのような介護活動を行っているか、介護の負担やストレスの程度、必要なサポートや教育のニーズなどを把握します。これにより、家族の健康とケアの継続性を支援するための対策やリソースを提供できます。

(5)健康状態の観察と評価

訪問看護師は利用者の健康状態を総合的に評価します。病歴や既往症、現在の症状や不快感、服薬状況、食事や排泄などの生活状況についての情報を収集します。必要に応じてフィジカルアセスメント(身体的な評価)を行い、利用者の健康状態の観察と評価をおこないます。

(6)医療機器や薬剤の確認

訪問看護師は利用者が使用している医療機器や薬剤の確認を行います。利用者が正しく医療機器を使用しているか、薬剤の保管や服用方法が適切かどうかを確認します。必要に応じて医療機器の調整や薬剤の見直しを提案し、安全性や効果の向上をサポートします。

(7)訪問看護計画の確認と評価

訪問看護師は訪問看護計画書を参照し、利用者のケアプランの内容と実施状況を確認します。訪問看護計画の目標や介入方法、頻度などを再評価し、必要に応じて修正や調整を行います。また、利用者や家族の意見や要望を尊重し、ケアプランの共有や合意形成を促します。

(8)訪問の終了と報告

初回訪問の終了時には、訪問看護師は利用者や家族に対して訪問の内容や提供されたケアについて報告します。利用者や家族の理解度や満足度を確認し、必要な調整やフォローアップの予定を共有します。訪問看護師は訪問記録を適切に作成し、チーム内や他の関係者との連携を円滑に行います。

初回訪問は、コミュニケーション力がとても重要

初回訪問は、コミュニケーション力がとても重要

初回訪問では、通常の訪問よりも利用者と家族とのコミュニケーションに特別な注意が必要です。

その理由とポイントを詳しく説明します。

(1)信頼関係の構築

初回訪問では、利用者と家族との間で信頼関係を構築することが重要です。利用者や家族は初めての訪問看護を受けることに不安や緊張を抱いている場合があります。訪問看護師は優しさと思いやりをもって接し、利用者や家族の感情や懸念に対して敏感に対応します。コミュニケーションを通じて、利用者や家族が安心感を得ることができるような関係を築きましょう。

(2)開かれた対話と情報共有

初回訪問では、利用者や家族からの情報収集が重要です。訪問看護師は利用者の病状や健康状態、生活環境、ニーズや希望について詳しく聞き取ります。適切な質問や聴取スキルを使い、利用者や家族が持つ情報を的確に把握しましょう。また、自身の専門知識や訪問看護の役割についてもわかりやすく説明し、利用者や家族との共有を図ります。

(3)コミュニケーションスキルの活用

初回訪問では、良好なコミュニケーションスキルが不可欠です。訪問看護師は、適切な言葉遣いや非言語コミュニケーションを使い、利用者や家族と円滑なコミュニケーションを図ります。共感力を持ち、聴取スキルや質問スキルを活用しながら、利用者や家族の意見や感情に敏感に対応します。また、必要な情報をわかりやすく伝える能力も重要です。

(4)プライバシーと機密性の尊重

初回訪問では、利用者のプライバシーと機密性を尊重することが重要です。訪問看護師は、個人情報の取り扱いに十分な注意を払い、適切な許可や同意を得て情報を共有します。利用者や家族のプライバシーを尊重し、情報が安全に保管されるようにします。また、訪問看護師自身も倫理的な観点から、利用者や家族の情報を他の人に漏らさないようにする責任があります。

初回訪問では、利用者や家族とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、彼らのニーズや希望を正確に把握することを心がけましょう。

初回訪問から導きだされる看護介入事項とは

初回訪問から導きだされる看護介入事項とは

初回訪問で得た情報を元に作成する訪問看護計画において以下のような事項において看護介入が必要と考えられる可能性があります。

(1)病状や全身状態

利用者の病状や全身的な健康状態に応じて、以下のような看護介入が必要と考えられます。

・病状のモニタリングと評価

・病状の変化や悪化の早期発見と報告

・病状管理のための医療処置やケアの提供

・薬物管理や投薬支援の実施

・慢性疼痛管理や症状緩和ケアの提供

(2)必要な医療処置

利用者が特定の医療処置を必要とする場合、以下のような看護介入が必要と考えられます。

・創傷ケアやバンド交換などの傷の処置

・経管栄養や導尿のケア

・医療機器(酸素療法、人工呼吸器など)の管理と使用指導

・人工透析や腹膜透析のサポートと監視

(3)精神面の状況

利用者の精神面の状況に応じて、以下のような看護介入が必要と考えられます。

・情緒的なサポートとコンサルテーション

・心理的な評価とストレス管理

・認知症やうつ病などの精神疾患のケアとフォローアップ

・心理社会的なリソースやサービスの提供

(4)ADLや生活環境

利用者の日常生活動作(ADL)や生活環境に関連して、以下のような看護介入が必要と考えられます。

・個別の身体介護や日常生活のサポート

・食事摂取や体重管理の支援

・家庭環境の評価と適切な環境調整の提案

・転倒予防や安全対策のアドバイスと訓練

(5)ご家族の状況

利用者を支えるご家族の状況に応じて、以下のような看護介入が必要と考えられます。

・家族のケア負担やストレスの評価とサポート

・介護技術や安全対策の教育とトレーニング

・リソースやサービスの紹介と調整

・家族の情報提供とコミュニケーションの確保

以上のような看護介入が初回訪問時に考えられる事項ですが、具体的な介入は利用者や家族の個別のニーズや状況に応じて調整されます。訪問看護師は総合的な評価を行い、利用者の健康状態、医療処置、精神面、日常生活、家族の状況などを総合的に考慮しながら、個別の訪問看護計画を作成します。

また、訪問看護計画は柔軟に調整される場合があります。利用者の状態やニーズの変化、家族の要望や環境の変化に応じて、看護計画の修正や見直しを行います。訪問看護師は利用者と家族とのコミュニケーションを通じて、適切なケアを提供し、継続的なサポートを行います。

まとめ

今回は、訪問看護の初回訪問の流れと注意すべきポイントについてお伝えしました。

訪問看護ステーションが実施する初回訪問が利用者のその後の療養生活にいかに需要であるかをご理解いただけたと思います。

初回訪問では、病状や全身状態の評価だけでなく、療養の状態を包括的に観察することが重要です。

今回の記事が訪問看護ステーションに従事する方々やこれから在宅医療、訪問看護での入職や独立を考えている看護師の参考になれば幸いです。

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訪問看護は未経験であり自己資金もゼロでしたが、ある経営者さんとの出会いにより新規立ち上げの訪問看護ステーションで将来の独立を前提に管理者として働くことが決定しました。 現在年収600万円を得ながら経営ノウハウを習得し、3年後の独立、理想の訪問看護ステーション作りに邁進されています。

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