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【看取り難民に対応】在宅看取りにおける訪問看護ステーションに求められる役割とは

近年、日本では、入院医療の削減と在宅医療の推進に伴い在宅での看取りの数が増加しています。

在宅看取りにおいて訪問看護ステーションは、本人、家族に深くかかわり、多職種と連携しながら住み慣れた家で最期を迎えるための支援役として重要な役割を果たしています。

2030年には、国民の3人に1人が65歳以上の高齢者になり、単身高齢者世帯もさらに増加することから、近い将来、約40万人の高齢者が臨死期を迎える場所を見つけられない「看取り難民」となると予測されています。

今後、訪問看護ステーションが迫りくる超高齢化社会に対応していくためには、現在の在宅看取りへの支援内容に加え、今から、高齢者の最期の場所を提供するための取組みを検討していくことが重要です。

本日は、現在の訪問看護ステーションの看取りへのかかわりや役割について振り返り、看取り難民時代に向け、その減少に寄与し、尊厳ある最期の場所を提供する、将来における訪問看護ステーションの看取りの役割について解説します。

看取り場所の変遷

まず、日本における、看取り場所の変遷についてみていきます。

下のグラフにあるように、1950年以前から大多数の人が自宅での死を迎え、1951年には在宅死亡率が82.5%となっていました。

その後、国民皆保険の導入や入院治療の負担軽減、核家族化の進展により、病院での死亡が増加しました。

日本における、看取り場所の変遷

1976年には、病院で死亡した割合が48%となり、自宅での死亡率46%を上回りました。

そして2006年には、病院での死亡率が85%を超え、一方で自宅での死亡率は12%にまで減少しました。

2015年からは「施設から在宅へ」の政策転換や「住み慣れた場所で最期を迎えたい」という社会的ニーズから、訪問系医療・介護サービスの増加があり、在宅死亡の割合が徐々に増えています。

とはいうものの、2019年時点では自宅での死亡率が13.6%、病院の割合が71.3%で、病院での死亡が依然として優勢です。

死亡の場所の推移

参照元:厚生労働省「第3回在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ 令和4年6月1 5日資料

2030年には、看取り難民40万人の時代に

下のグラフにあるように、2010年に約119人であった死亡者数は、2022年は 150 万人を超え、2030年の推計死亡者数は約160万人となり、約40万人死亡者数が増加すると見込まれています。

その時には、増加分の看取り先の確保が困難との見解が出されました。

死亡場所別、死亡者数の年次推移と将来推計

参照元:厚生労働省「地域包括ケアシステムの構築 平成27年度 地域づくりによる介護予防推進支援事業

病床数は現状維持または減少することは明らかであり、前述のように病院での死亡が7割以上である現状、増加する死亡者数約40万人が看取り難民となると言われています。

老人ホームや介護施設は看取り体制が不足しており、終の棲家となっている特別養護老人ホームは看護師が夜勤を行っていないケースが大半です。

このような状況から、今後の日本社会には、最期まで尊厳ある個人として、看取りの支援ができる自宅のような新たな場所が必要となります。

訪問看護ステーションの看取り~現在の役割

次に訪問看護ステーションの看取りにおける現在の役割についてみていきます。

訪問看護ステーションの看取り~現在の役割

現在、在宅看取りにおける訪問看護ステーションの役割について、全国国民健康保険診療施設協議会が作成している「自宅での看取りに関する手引き」では次のような内容とされています。

在宅看取りにおける訪問看護ステーションの役割

・医師や協力病院との連携強化を図る

・看取りにあたり多職種協働のチームケアの連携強化

・緊急時、夜間帯の緊急マニュアルの作成と周知徹底

・看取りに携わる全職種への死生観教育と他職種からの相談機能

・看取り期における状態観察の結果に応じて必要な処置への準備と対応を行う

・疼痛緩和 ・随時の家族への説明と、その不安への対応・定期的カンファレンス開催への参加

訪問看護ステーションの在宅看取りの具体的な支援内容としては、以下があげられます。

(1)本人に対する支援

【身体的ケア】

 

・バイタルサインの確認

・療養環境の整備

・安寧・安楽への配慮

・清拭、 入浴など清潔への配慮

・栄養と水分の適切な補給

・口腔ケア

・スキンケア

・排泄ケア

・身体的苦痛(発熱、呼吸困難、疼痛)の緩和

【精神的ケア】

 

・コミュニケーションを重視

・人権、プライバシーの尊重

・受容する姿 勢/本人にとって居心地の良い環境をつくる

・安心感の提供

【医療処置】

  
 

・医師の指示に基づいた処置(点滴など)

・症状緩和のための医療処置 を医師の指示のもと行う

(2)家族に対する支援

・関係専門職種へ相談しやすい環境を整える

・家族の身体的、精神的負担への配慮

・家族関係への支援 ・家族の希望や心配事への対応

・死後の援助(グリーフケア)を行う

参照元:全国国民健康保険診療施設協議会「自宅での看取りに関する手引き

在宅看取りにおける訪問看護に求めれる機能

在宅看取りにおける訪問看護に求めれる機能

在宅看取りにおいて訪問看護ステーションには、以下のような機能が求められています。

1. 尊厳ある最期をサポート

訪問看護ステーションが提供する看取りは、利用者が自宅など住み慣れた環境で最期を迎えることを可能にし、尊厳ある死をサポートします。利用者が自身の価値観や希望に基づいて最期を迎えることは、心理的な安心感をもたらし、家族との絆を強化する一環となります。

2. 心のサポート

看取りは利用者だけでなく、その家族や周囲の支える人たちにとっても心のサポートが重要です。訪問看護ステーションは、精神的なケアや感情的なサポートを提供し、利用者と家族が最期の瞬間に向き合う力を支えます。

3. 症状の管理

看取りの過程で生じる症状や苦痛を管理することが重要です。
訪問看護ステーションの専門職は、痛みや不快感の軽減を図り、利用者ができる限り穏やかで快適な最期を迎えられるように努めます。

4. コミュニケーションと情報提供

看取りの過程では、訪問看護ステーションは情報提供とコミュニケーションの促進を通じて、利用者と家族が最終的な決定を下しやすくし、不安や疑問を軽減します。

5. 医療的な連携

訪問看護ステーションは、医療機関との連携を強化し、利用者の状態に適した医療的なケアを提供します。これにより、緊急時や特定の症状に対処するための適切な措置が取れるようになります。

将来の訪問看護ステーションに求めれれる看取りの役割とは

将来の訪問看護ステーションに求めれれる看取りの役割とは

では、将来の訪問看護ステーションに求めれれる看取りの役割とはどのようなものでしょうか。

全国国民健康保険診療施設協議会「自宅での看取りに関する手引き」の【基本精神】及び【在宅での看取りの視点】は次のように示されています。

(1)看取りの基本精神との乖離

基本精神

生の終末を迎える際、人は終末期を過ごす場所及び行われる医療等について自由に選択できる環境が必要である。

終末期にある患者に対し、患者本人(以下、 本人)の意思と権利を最大限に尊重し、本人の尊厳を保つと共に、安らかな死を迎えるための終末期にふさわしい最善の医療、看護、介護、リハビリテーション等を行う。なお、これらの一連の過程を「看取り」と定義するものとする。

在宅での看取りの視点

在宅での看取りとは、患者が長年過ごした自宅で主に家族が精神的にも時間的にも主介護者となり、親しい人々に見守られ、自然に死を迎えられるための支援にある。※以下略

参照元:全国国民健康保険診療施設協議会「自宅での看取りに関する手引き

看取り難民の時代では、この看取りにおける【基本精神】である、自由な選択、本人の尊厳、安らかな死、最善の医療・看護・介護・リハビリテーションを受けることや、【在宅の看取りでの視点】である家族など親しい人に見守られる、といった状態とは大きく乖離したものとなっています。

(2)在宅看取りにおいて訪問看護ステーションに期待さえる役割とは

病院や特養での看取りの受け入れが限界となり、看取りの場所が失われ看取り難民が40万人に達する時代では、現在、在宅での看取りの重要な役割を果たしている訪問看護ステーションが、これまでの役割に加えて、看取りの場所を提供できる役割も期待されています。

、ナーシングホームなどの住まいを提供も訪問看護ステーションの看取りでの役割のひとつとなります

将来の訪問看護ステーションにおける看取りの役割として、看取り難民を減らし、すべての人に尊厳のある最期を迎えることができる看取り場所を提供するひとつの有効的な方法としては、看護師と介護士が24時間体制で常駐しているナーシングホームを作り、終生施設として、住まいとケアが分かれていないからこそ可能となる看取り体制を確立して、そこで最期のときを過ごしたいと希望する人々のニーズに応えていくことと考えられています。

訪問看護ステーションのナーシングホームの存在は日本社会の新たな希望であり、今後さらに需要が増える見込みがあります。

(3)訪問看護ステーションの将来の看取りの役割

訪問看護ステーションは現在、看取りの重要な役割を果たしていますが、将来的には2030年までに40万人に達すると予測される看取り難民の減少に寄与し、最期まで尊厳ある環境で支援を受けるための新しい場所を提供する役割が期待されます。

これを実現するため、これまでの看取りの役割に加えて、ナーシングホームなどの住まいを提供も訪問看護ステーションの看取りでの役割のひとつとなります。

訪問看護ステーションへの看取りにおける役割の期待

以下に訪問看護ステーションがこれまでの看取り支援に加えてナーシングホームなどの住まいを提供するためには、どのような環境であるかを以下に紹介します。

1. 専門的で持続可能な医療ケア

ナーシングホームでは、医療スタッフが24時間体制で入居者の健康状態をモニタリングし、必要に応じて高度な医療ケアを提供します。適切な医療機器や設備が整った環境で、持続的なケアが確保されます。

2. 快適で安心な居住環境

ナーシングホームは入居者に対して快適で安心感のある生活環境を提供します。個室や共用スペースが整備され、入居者が安らかに過ごせるような設計が行われます。

3. 社会的なコミュニケーションの場

入居者同士やスタッフとの交流が促進され、社会的な孤立を防ぐための環境が整備されます。様々なアクティビティや季節イベントが計画され、入居者がコミュニケーションをとりながら充実した生活を提供します。

4. 精神的サポート

ナーシングホームでは精神的なサポートやカウンセリングが提供され、入居者が感情的な面でも十分なサポートを得られるような環境が整えられます。

5. 緩和ケアの提供

心身の痛みの緩和を図り、入居者が快適で尊厳ある最期を迎えるための支援が行われます。

6. 経済的なサポート

ナーシングホームは終末期の経済的な負担を最小限に抑えるための料金体系が設定され、入居者が負担なく充実したサポートを受けられるようサポートします。

これらの要素を組み合わせ、訪問看護ステーションのナーシングホームが看取り難民を防ぎ、尊厳ある最期を迎えるための包括的なサポート環境を提供します。

まとめ

わが国では、2030年には約40万人が臨死期を迎える場所を見つけられない看取り難民となると予測され、深刻な社会問題となります。

訪問看護ステーションは、現在、住み慣れた家で最期を迎える在宅看取りの支援役のとして重要な役割を担っています。

看取り難民時代となる将来は、その減少に寄与し、尊厳ある最期の場所としてナーシングホームなどの住まいを提供することも、役割のひとつとなることでしょう。

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訪問看護は未経験であり自己資金もゼロでしたが、ある経営者さんとの出会いにより新規立ち上げの訪問看護ステーションで将来の独立を前提に管理者として働くことが決定しました。 現在年収600万円を得ながら経営ノウハウを習得し、3年後の独立、理想の訪問看護ステーション作りに邁進されています。

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