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在宅でのがん治療・緩和ケアにおける訪問看護ステーションの3つ役割と6つの心得

がん治療はかつては入院が一般的でしたが、近年では外来での治療が増え、特に化学療法を受ける人々が外来通院を選ぶケースが増えています。

さらに、在宅でのがん治療・緩和ケアが重要視されるようになり、訪問看護ステーションの存在が注目されています。

本コラムでは、このような背景の中で訪問看護ステーションが果たす役割とその重要性について探っていきます。また、療養者や家族への理解支援や連携の重要性、さらには訪問看護師の心得としての視点についても取り上げます。在宅でのがん治療・緩和ケアを支える訪問看護ステーションの役割を理解し、その重要性を共有していきましょう。

がん治療は近年、入院から外来へと移行しつつある背景

がん治療は近年、入院から外来へと移行しつつある背景

近年、がん治療は入院から外来への移行が進んでおり、外来通院で化学療法を受ける人が増えています。

これには、以下のような背景・理由があります。

(1)技術の進歩

がん治療技術の進歩により、外来での治療が可能になりました。これには、より効果的な抗がん剤や放射線療法の開発、画像診断技術の向上などが含まれます。これにより、入院が必要ない患者さんも外来で治療を受けることができるようになりました。

(2)早期発見と予防の重視

近年のがんの早期発見や予防の取り組みが進んでいます。定期的な検診やスクリーニングの普及により、がんが早期に発見されることが増えています。早期発見により、治療がより効果的に行えるため、入院が必要な状況に至らないケースが増えました。

(3)コストの削減と効率化

入院治療は費用が高く、病院のベッド数や施設の限られたリソースを占有します。外来通院での治療は、費用を抑えることができ、病院の資源をより効率的に活用できます。また、外来通院により患者さんは自宅や仕事に近い場所で治療を受けることができ、生活の質を維持しやすくなります。

(4)患者中心のアプローチ

近年の医療のトレンドは、患者さん中心のアプローチへの移行です。患者さんの希望や意見を尊重し、生活の中で治療を受けることができる外来通院が、より選ばれるようになっています。これにより、患者さんの自己決定権や自己管理能力が重視され、治療への積極的な参加が促されます。

在宅でのがん治療や緩和ケアを支える訪問看護の3つの役割

在宅でのがん治療や緩和ケアを支える訪問看護の3つの役割

訪問看護ステーションは、在宅でのがん治療や緩和ケアにおいて、専門的な看護ケアと総合的なサポートを提供し、患者さんと家族の安心と生活の質の向上を支える重要な存在です。

訪問看護ステーションが病院の医療と療養者をつなぐ架け橋となるためには、どのようなことに注意を払わなければいけないのでしょうか。

(1)訪問看護ステーションと外来の看護師との連携

在宅でのがん治療・緩和ケアにおいて、訪問看護ステーションと外来の看護師との連携は重要です。以下に、その理由と在宅での安定した生活を支援するための情報入手の重要性を説明します。

外来の看護師との連携の重要性

抗がん剤治療などの通院治療を受けている場合、訪問看護ステーションの看護師は、外来の看護師と連携して情報を共有する必要があります。

外来の看護師から抗がん剤の種類や使用量、副作用などの情報を入手することで、在宅でのケアプランを適切に立てることができます。また、外来の看護師と連携することで、治療の進捗や変更点、患者さんの状態に関する情報を共有し、連携体制を確立することが重要です。

抗がん剤使用情報の入手と在宅での安定した生活の支援

訪問看護ステーションの看護師は、患者さんの状態をモニタリングし、抗がん剤の効果や副作用の管理を行います。そのため抗がん剤の種類や使用量、副作用の情報を入手することは、在宅での安定した生活を支援する上で不可欠です。

抗がん剤使用情報を正確に把握することで、適切なケアプランや症状管理策を立て、患者さんが在宅で快適に過ごせるようサポートします。

訪問看護ステーションと外来の看護師との連携により、抗がん剤使用情報を共有し、在宅でのケアプランを適切に立てることが重要です。これにより、在宅での安定した生活をサポートし、患者さんと家族が治療の一部として積極的に参加し、安心して過ごせる環境を整えることが可能です。

(2)利用者・家族への病状や治療法の理解支援

在宅でのがん治療・緩和ケアにおける訪問看護ステーションの役割には、医師からの病状や治療法の説明があっても、療養者の理解が不十分で誤解が生じる場合があります。以下に、訪問看護師がフォローすることの重要性を説明します。

病状や治療法の理解支援

療養者ががんの病状や治療法を正しく理解することは重要です。しかし、医師からの情報は専門的であり、理解しきれない場合があります。

訪問看護師は、療養者に対して病状や治療法を丁寧に説明し、質問に応じたり、疑問点を解消したりする役割を担います。
療養者が自身の状態や治療について正確な理解を持つことで、治療への協力度が高まり、適切なケアを受けることができます。

誤解の解消と不安の軽減

療養者が病状や治療について誤解を抱く場合、不安や心理的な負担が生じることがあります。訪問看護師は、これらの誤解や不安を解消する役割を果たします。

訪問看護師は、療養者の感情や心理状態を理解し、適切なコミュニケーションを通じて不安や疑問に対応します。これにより、療養者の心のケアを行い、精神的な安定を支えます。

治療計画の共有と遵守のサポート

訪問看護師は、医師と連携して治療計画を共有し、療養者がそれを遵守できるようサポートします。

治療の正確な理解と遵守は、治療効果や副作用の管理に重要な役割を果たします。訪問看護師は、療養者が治療計画を理解し、適切に遵守できるよう教育や支援を行います。

訪問看護師のフォローにより、療養者は正確な情報を得て病状や治療法を理解し、誤解や不安を解消することができます。また、治療計画の共有と遵守が促されることで、治療の効果を最大限に引き出し、副作用の管理にも適切に対応できます。訪問看護師の役割は、療養者が自身の状態や治療に関して十分な理解を持ち、心理的に安定した状態で在宅での治療を受けることができるようサポートすることです。

(3)治療法選択のための正しい知識をわかりやすく伝える

訪問看護師の仕事の一つは、がん治療に関する正しい知識を身近ながん経験者にわかりやすく伝えることです。以下に、その重要性を説明します。

治療法の進歩と個別性

がん治療は日々進歩しており、新たな治療法や技術が開発されています。訪問看護師は、最新の情報を継続的に学び、患者さんや家族に対して最新の治療情報を提供します。

がんの部位や種類によって、治療法や性質、治癒率は異なります。訪問看護師は、個々のがんの特性を理解し、その治療法や予後について適切な知識を提供する役割を果たします。

治療法選択のサポート

がんの治療法は、手術、放射線療法、化学療法、免疫療法など、さまざまな選択肢があります。訪問看護師は、治療法の選択に関して情報を提供し、患者さんや家族が意思決定を行う際にサポートします。

正確な知識を提供することで、治療法のリスクと利益を理解し、個々の状況に適した選択をするための情報を提供します。患者さんや家族の意見や価値観を尊重しながら、共有意思決定を促進します。

治療の副作用と対処法の説明

がん治療には副作用がつきものですが、訪問看護師は副作用の理解と対処法についても重要な役割を果たします。

抗がん剤治療による副作用や人工肛門の使用に関する不安や抵抗感がある場合、訪問看護師はそれを理解し、リスクと利益を説明しながら、副作用の軽減やケア方法について具体的にサポートします。

また、副作用の管理や症状の緩和に関しても、訪問看護師は患者さんと家族に対して適切なアドバイスやケアを提供します。

訪問看護師は、がん治療に関する正確な情報の提供と療養者とのコミュニケーションを通じて、療養者が自身に適した治療法を選択し、不安や誤解を解消することを目指します。療養者との信頼関係を築きながら、彼らが治療に積極的に関与できるようサポートすることが、訪問看護師の重要な役割です。

訪問看護における在宅でのがん治療・緩和ケアにおいて6つの心得

訪問看護における在宅でのがん治療・緩和ケアにおいて6つの心得

訪問看護師は、在宅でのがん治療・緩和ケアにおいて、療養者と家族のニーズを理解し、信頼関係を築きながらサポートを提供します。

次に訪問看護における在宅でのがん治療・緩和ケアにおいて大切な視点となる6つの心得について解説します。

(1)療養者、家族と信頼関係を築く

在宅療養の成功には、療養者と家族との信頼関係が不可欠です。訪問看護師は、療養者や家族と対話し、彼らのニーズや懸念を理解することで、信頼関係を築きます。安心感を与えるケアや適切なサポートを提供し、療養者と家族が安心して治療を受けられる環境を作ります。

(2)在宅療養継続の覚悟をもってもらう

在宅療養には覚悟が必要です。訪問看護師は、療養者や家族に在宅療養の意義やメリットを説明し、療養の意思を固めるサポートを行います。また、病状の悪化や介護負担の増大に備えるための準備や計画も支援します。

(3)療養者の苦しみをやわらげる

療養者が苦痛や不快感を抱えると、療養生活が困難になります。訪問看護師は、医師と協力して症状の緩和方法を確認し、療養者と家族に指導します。苦痛の軽減により、療養者と家族の不安を軽減し、穏やかな在宅療養生活をサポートします。

(4)病状の急変に備える

病状の急変には常に備える必要があります。訪問看護師は、予測可能な急変に対処する方法を療養者と家族に説明し、緊急時の連絡体制を確立します。急変時における療養者と家族の不安を最小限に抑えるためのサポートを提供します。

(5)介護の主体となる家族を支える

もともと家族に介護や看取りの経験がない場合、戸惑いや不安が生じることがあります。訪問看護師は、家族をリードしながら介護環境を整える役割を果たします。具体的には、介護技術や安全な環境の確保について指導し、家族と連携しながら負担を軽減する支援を行います。

(6)患者・家族の心の揺れを支える

がんの療養者や家族は、病状の微細な変化にも心の揺れや不安を感じることがあります。訪問看護師は、療養者や家族の思いを真摯に受け止め、共感し支えることが重要です。対話を通じて不安や心の揺れを解消し、精神的な安定を促進します。

これにより、療養者と家族が安心して在宅での治療を継続し、より良いクオリティオブライフを実現することが目指されます。

まとめ

訪問看護ステーションは在宅でのがん治療・緩和ケアにおいて不可欠な存在です。近年、がん治療は入院から外来へと移行し、外来通院での治療が増えていますが、在宅での治療や緩和ケアを支えるためには、訪問看護ステーションの役割が重要となっています。

訪問看護ステーションは、外来の看護師との連携を通じて療養者の状況を把握し、安定した在宅療養を支援します。また、利用者や家族への病状や治療法の理解支援や、正しい知識の提供も重要な役割です。適切な情報をわかりやすく伝えることで、療養者と家族の不安を軽減し、治療法選択に対する自信と理解を深めていきます。

さらに、訪問看護における在宅でのがん治療・緩和ケアには、6つの心得があります。療養者や家族との信頼関係の築き方、在宅療養への覚悟の促進、苦痛の緩和や病状の急変への備え、介護主体となる家族の支援、そして心の揺れに寄り添うことが重要です。

訪問看護ステーションは、在宅でのがん治療・緩和ケアをサポートするために、療養者と家族の側に常に寄り添い、緊密な連携を保ちながら心のケアと安心感を提供します。これらの役割と心得を守りながら、訪問看護ステーションが在宅でのがん治療・緩和ケアの質を向上させることを願っています。

参考文献:ナースのためのやさしくわかる訪問看護

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いろいろナースから生まれた看護師の独立事例を冊子にまとめました。岩田看護師(34才女性)は、総合病院に勤めながら「看護師が働き続けられる職場を作りたい」と訪問看護での独立を志望。

訪問看護は未経験であり自己資金もゼロでしたが、ある経営者さんとの出会いにより新規立ち上げの訪問看護ステーションで将来の独立を前提に管理者として働くことが決定しました。 現在年収600万円を得ながら経営ノウハウを習得し、3年後の独立、理想の訪問看護ステーション作りに邁進されています。

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