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訪問看護ステーション開業に必要な「指定基準」を知っておこう!

在宅医療の中で訪問看護は極めて重要な役割を果たしており、訪問看護ステーションの需要が急速に増加しています。

それに伴い新たに訪問看護ステーション設立を考えている方々も増えています。

しかしながら、ステーションの新規設立のために何を準備すれば良いかわからないという悩みを抱える方も少なくないでしょう。

訪問看護ステーションを開業するためには、特定の「指定基準」を遵守することが必要です。

本日は、その「指定基準」について詳しく解説します。

ステーションの開業に向け丁寧に準備を進めるためにお役立てください。

訪問看護ステーション「指定基準」の要点

「指定基準」とは、介護保険法、健康保険法など関連法令に基づいて設けられた規定のことです。

訪問看護ステーション「指定基準」の要点

訪問看護ステーションを開業する際には、この「指定基準」を遵守する必要があります。

具体的には、以下の3つの項目が「指定基準」として設けられています。

(1)人員基準

訪問看護ステーションには、適切な資格と経験を持った看護師等の専門職員が必要です。ご利用者のニーズに対応し、適切なケアを提供するために、一定の人員配置が求められます。

(2)設備基準

訪問看護ステーションは、ご利用者の安全と快適な在宅療養を確保するため、設備の整備が求められます。

(3)運営基準

ステーションの運営は、効率的で質の高いサービス提供を確保するために重要となります。

ご利用者のスケジュール管理や記録の管理、連携体制の構築などが運営基準に含まれます。

これらの3つの基準を遵守することで、訪問看護ステーションは「指定居宅サービス事業者」として指定を受けることができます。

この指定を受けることで、ご利用者への訪問看護サービス提供が可能となります。

また医療保険においても一定の手続きをすれば指定を受けたとみなされます。

「指定基準」は訪問看護ステーションが高品質なケアを提供し、法的要件を満たすためのガイドラインとも言えます。

参照元:厚生労働者令「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」

訪問看護ステーションの各「指定基準」について

訪問看護ステーションの各「指定基準」について

国が定める「訪問看護ステーション」の『基本方針』は以下のように定義されています。

「指定訪問看護の事業は、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、その療養生活を支援し、心身の機能の維持回復を目指すものでなければならない。」

従って、「指定基準」はこの『基本方針』が実行できる内容となっています。

ここでは訪問看護ステーションの3つの「指定基準」である(1)人員基準(2)設備基準(3)運営基準を具体的に解説します。

(1)人員基準

「看護師等の員数について」

指定訪問看護ステーションごとに、以下の条件に基づいて「看護師等」と呼ばれる従業員の数が定められています。
常勤の看護師等の勤務延時間数を計算し、その時間数を指定訪問看護ステーションの常勤の看護師等が勤務すべき時間数で除して得た数が2.5以上の人数を確保します。

また、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士については、指定訪問看護ステーションの実情に応じて適切な人数を確保します。
常勤の看護師等は少なくとも1人必要です。

「管理者について」

指定訪問看護ステーションごとに、常勤の管理者を配置します。
ただし、指定訪問看護ステーションの運営に支障がない場合は、管理者は他の業務にも従事できます。

これには同じ施設内の他の事業所や施設の業務も含まれます。
管理者は保健師、助産師、看護師のいずれかでなければなりません。

管理者は、適切な指定訪問看護を提供するために必要な知識と技能を持っている必要があります。

(2)設備基準

指定訪問看護ステーションは、業務を遂行するために必要なスペースを持つ専用の事務室を設ける必要があります。
さらに、指定訪問看護を提供するにあたり必要な設備や物品を備える必要があります。

ただし、もし指定訪問看護ステーションが他の事業を同じ場所で行う場合、専用のエリアを設けることで運営要件を満たすことができます。

訪問看護ステーションの事務室を決めるにあたって必要となる事項を以下に記します。

①ステーション専用の事務所

訪問看護の手続きや報告書や記録を作成したり、ミーティングを行うためのスペースです。

事務所内に他の事業所がある場合は、区別して配置する必要があります。

デスクや棚、ロッカーのスペースの確保も必要です。

②ご利用者やご家族対応の相談室

ご利用申込みや相談を受けるためのスペースを確保します。

パーティションで区切るか、独立した部屋として設置します。
静かで落ち着いた環境で、プライバシーと快適さを確保しましょう。

③感染対策のための手洗い場

看護師などスタッフの出勤時や訪問から戻った際に手指の消毒と手洗いを行うためのスペースを準備します。

石鹸やアルコール消毒液、ペーパータオルを備え、手指衛生以外の物品は避けましょう。

また、玄関や共有スペースにも手指消毒用アルコールを配置します。

④個人情報保護のための鍵付きキャビネット

ご利用者の個人情報を保護するため、鍵付きのキャビネットを設置します

指定申請時には、鍵のかかる状態を明確に写真に収めます。

(3)運営基準

指定訪問看護ステーションは、ご利用者の保護、医療連携、勤務体制、運営規定、広告の正確性、苦情への対応、事故時の対応、会計の整理、記録の保持、そして事業報告など、多岐にわたる重要な業務を適切に行うための運営に関する基準が定められています。

これにより訪問看護ステーションの信頼性と安全性を確保することとなります。

以下に運営基準の項目を説明します。

利用申込者への説明と同意

訪問看護ステーションは、訪問看護を受けるために申し込みをする人(利用申込者)やそのご家族に対して、運営規程の概要や看護師の勤務体制、重要な事項などについて文書を交付し、説明を行い、提供の開始について同意を得る必要があります。

提供の拒否禁止と提供困難時の対応

訪問看護ステーションは、正当な理由がない限り、訪問看護の提供を拒んではいけません。また、利用申込者の状態やステーションの事業地域を考慮し、適切な訪問看護を提供できないと判断した場合、主治医に連絡し、適切な他の看護事業者を紹介する必要があります。

受給資格の確認と心身の状況の把握

訪問看護ステーションは、訪問看護の受給資格を確認するため、電子証明書や被保険者証などを提示してもらうことが求められます。

また、ご利用者の心身の状況や病歴、生活環境、他の医療や福祉サービスの利用状況などを理解し、提供する看護を適切に行うよう努めます。

保健医療サービス提供者との連携

訪問看護ステーションは、保健医療サービスや福祉サービスを提供する機関と緊密な連携を図ります。

提供終了時にも連携し、ご利用者とご家族への適切なケアや主治医への情報提供を行います。

身分証明書の提示と利用料

訪問看護ステーションは、看護師が身分を示す書類を携帯し、初回訪問時や要望があった場合に提示します。

また、訪問看護ステーションは、ご利用者から基本利用料やその他の料金について説明し、同意を得る必要があります。

指定訪問看護の取扱方針

訪問看護ステーションは、利用者の状態を考慮し、適切で個別の看護を提供し、療養の目標を設定し、計画的に行う必要があります。

その評価や改善を行い、質の向上を目指します。

訪問看護の具体的取扱方針

看護師の指定訪問看護方針は、主治医との連携を基に、ご利用者の身体機能維持と回復を目指し、理解しやすい指導や説明を行います。

適切な技術で看護を行い、ご利用者の状況を把握し、特殊な看護は提供しません。

主治医との連携

訪問看護ステーションの管理者は、主治医の指示に基づいて、適切な看護を提供する責任を持っています。

訪問看護が始まる際には、主治医の指示に基づいて行動し、利用者の状態に応じた看護を確保します。

また、ご利用者の健康状態に関する相談や報告も行います。

訪問看護計画書と訪問看護報告書の作成

訪問看護ステーションの看護師は、ご利用者の希望や主治医の指示、現在の健康状態などを総合的に考慮し、訪問看護の計画書を作成します。

また、提供される訪問看護の内容を詳しく報告するための書類も作成します。

利用者の通知

訪問看護ステーションは、ご利用者が訪問看護の利用に関する指導に従わない場合や不正な行為を行う場合、その情報を全国健康保険協会、後期高齢者医療広域連合、健康保険組合に通知する責任があります。

緊急時等の対応

訪問看護ステーションの看護師等は、訪問看護の提供中にご利用者の病状が急変した場合、迅速に主治医に連絡し指示を求めるとともに、必要な場合は臨時の応急手当を行うなど、適切な措置を講じる必要があります。

管理者の責務

訪問看護ステーションの管理者は、従業者の管理や利用申込みの調整、業務の状況把握など、指定訪問看護ステーション全体の管理を一元的に行います。

運営規程

訪問看護ステーションは、各指定訪問看護ステーションごとに、以下の重要事項に関する運営規程を定める必要があります。

1,事業の目的と運営方針

2.従業者の職種、人数、職務内容

3,営業日と営業時間

4,指定訪問看護の内容と利用料などの費用

5,通常の事業の実施地域

6,緊急時の対応方法

7,その他運営に関する重要事項

勤務体制の確保等

各訪問看護ステーションごとに適切な看護師等の勤務体制を定め、ご利用者に適切な指定訪問看護を提供できるよう努めます。
また、看護師等の資質向上のための研修も確保します。

業務継続計画の策定等

訪問看護ステーションは、感染症や非常災害の際にも指定訪問看護の提供を継続し、必要な場合には早期の業務再開を図るための業務継続計画を策定します。看護師等には業務継続計画についての周知と研修が定期的に行います。

また、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行います。

衛生管理等

訪問看護ステーションの管理者は、看護師等の清潔さや健康状態の保持に注意し、施設の設備や備品の衛生管理にも努めます。

掲示

訪問看護ステーションの見やすい場所に、運営規程の概要、看護師等の勤務の体制、その他の利用申込者の指定訪問看護の選択に資すると認められる重要事項を掲示しなければなりません。

秘密保持と個人情報の取り扱い

訪問看護ステーションの従業者は、業務の過程で得たご利用者やそのご家族の個人情報を正当な理由がない限り漏らしてはなりません。

また、過去に従業者だった者も同様に、正当な理由がない限りその情報を漏らすことがないように十分な措置を講じる必要があります。

正確な広告

訪問看護ステーションに関する広告を行う場合、虚偽や誇大な内容を含んではいけません。

苦情処理

提供した訪問看護に関する利用者からの苦情には、迅速かつ適切に対応するために、必要な措置を講じる義務があります。

事故発生時の対応

訪問看護ステーションは、訪問看護の提供により事故が発生した場合、利用者の家族などに連絡を取り、必要な措置を講じる責任があります。また、賠償すべき事故が起きた場合には、迅速に損害賠償を行う必要があります。

会計の区分

訪問看護ステーションは、事業ごとに経理を区分し、指定訪問看護事業と他の事業の会計を明確に分ける必要があります。

記録の保持

訪問看護ステーションは、従業者、設備、備品、会計に関する記録を整備し、訪問看護の提供に関する記録を完結の日から2年間保存する必要があります。

事業報告

訪問看護ステーションの管理者は、自身が管理する指定訪問看護ステーションに関して、訪問看護の事業報告を厚生労働大臣に提出する責任があります。

まとめ

訪問看護ステーションの設立には、幅広い基準を遵守する必要があります。

これらの「指定基準」は、訪問看護ステーションが安全で質の高い看護を提供し、利用者の健康と幸福を支える重要な役割を果たすための基盤となります。

これらの基準を理解し、確実に実行することにより、訪問看護ステーションは信頼性と専門性を確保し、地域社会で不可欠な存在となるでしょう。

訪問看護ステーションの設立にあたっては、これらの基準を理解し、慎重かつ熟慮した開業プロセスを進めることをお勧めします。

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