小児の公費負担医療制度と訪問看護ステーションの関わり

小児に関する公費負担医療は、国が指定した特定の慢性疾患を持つ小児の医療費の一部(自己負担分)を補助(公費負担)する制度であり、児童の健全な育成を促進する重要な福祉政策の一環として位置付けられています。

今回は、小児に関する公費負担医療と訪問看護ステーションの関わりについてお伝えしていきます。

小児に関する公費負担医療とは

小児に関する公費負担医療とは

小児を対象とした医療費助成制度とは、小児(18歳未満)の慢性疾患の中で、治療が長期にわたり高額な医療費が必要な疾患(国が指定した特定の疾患:小児慢性特定疾病)に関して、医療費(自己負担分)を助成する制度です。

小児の公費負担医療制度には、未熟児養育医療、自立支援医療(旧育成医療、更生医療、精神通院医療)、小児慢性特定疾病医療支援、結核児童療育医療があります。

これらの制度を利用すると、自己負担上限額を超えた医療費は公費で負担されます(自己負担上限額を超えない場合は2割負担となります)。

自己負担上限額は、患者さんの世帯の年収や本人の申請時の病態によって異なります。


※小児の訪問看護についてはこちらの記事も参考にしてみてください。

小児の在宅医療を支援する小児の訪問看護を徹底解説

未熟児養育医療とは

未熟児養育医療とは

未熟児養育医療とは、出生時の体重が2,000g以下または身体の発育が未熟なまま出生した1歳未満の乳児を対象に、指定医療機関で入院し、養育が必要な子どもに対して医療の給付を行う制度です。この制度は入院中の治療費を対象とし、所得に応じて一部自己負担が発生します。

結核児童療育医療とは

結核児童療育医療とは

結核児童療育医療とは、骨関節結核および他の種類の結核にかかって入院が必要な患者に対し、市が治療に必要な医療費を負担し、学習用具や日用品の支給を行う制度です。また、世帯の所得税額に応じて、自己負担金が発生します。

訪問看護に関わる小児の公費負担医療とは

訪問看護に関連する公費負担医療は、「自立支援医療(育成医療)」と「小児慢性特定疾病医療支援」の2つがあります。

訪問看護ステーションが「自立支援医療(育成医療)」を提供する場合、事前に申請を行い、指定自立支援医療機関として指定を受ける必要があります。また、指定は6年ごとに更新される必要があります。

また、訪問看護ステーションが「小児慢性特定疾病医療給付」に関連する診療を提供する場合、児童福祉法第19条の9第1項に基づき、「指定小児慢性特定疾病医療機関」として指定を受ける必要があります。なお、指定は原則的に6年ごとに更新される必要があります。

自立支援医療(育成医療)とは

自立支援医療(育成医療)とは

自立支援医療(育成医療)は、18歳未満の子供が指定医療機関で身体の障害を軽減または回復する治療を受ける際に、医療費の一部を公費で負担する制度です。

自己負担額は通常1割ですが、所得に応じて月額の自己負担上限が設けられています。さらに、重度で継続的なケースや中間所得層の育成医療を受ける場合には、軽減措置が適用されています。

自立支援医療(育成医療)に係る自己負担上限額

所得区分 自己負担上限月額 重度かつ継続
自己負担上限月額
生活保護世帯 0円 0円
低所得1(市町村民税非課税世帯で世帯の収入が80万円以下) 2,500円 2,500円
低所得2(市町村民税非課税世帯で世帯の収入が80万円超) 5,000円 5,000円
中間1(市町村民税(所得割)が3万3千円未満) ※5,000円 5,000円
中間2(市町村民税(所得割)が3万3千円以上23万5千円未満) ※10,000円 10,000円
一定所得以上(市町村民税(所得割)が23万5千円以上) 給付対象外 ※20,000円

※自立支援医療の「重度かつ継続の一定所得以上」及び「育成医療の中間所得」の区分については、令和3年3月31日までの経過的特例とされていましたが、令和6年3月31日まで延長しました。

自立支援医療(育成医療)の届出方法

自立支援医療(育成医療)の届け出は保健所が窓口となります。(精神通院医療は、市町村が窓口となります。)

有効期間は1年で、継続を希望する場合は有効期限の3か月前から申請手続きを行うため、早めの届出が必要です。申請が承認されると、受給者証が交付されます。

小児慢性特定疾病医療支援とは

小児慢性特定疾病医療支援とは

小児慢性特定疾病医療支援は、18歳未満の児童(治療が必要と認められる場合には20歳未満も対象となる)が厚生労働大臣が定める病気(16疾患群、788疾病※が対象)に罹った場合に適用され、所得に応じて自己負担限度額が設定されています。

また、医療保険に関連する薬局での保険調剤や指定訪問看護についても、一部負担金が発生します。

小児慢性特定疾病 (16疾患群)

1 悪性新生物(白血病,リンパ腫, 組織球症,固形腫瘍, 中枢神経腫瘍等)
2 慢性腎疾患 (ネフローゼ症候群,慢性糸球体腎炎, 腎奇形等)
3 慢性呼吸器疾患(気道狭窄, 気管支喘息、気管支拡張症等)
4 慢性心疾患 (洞不全症候群, ファロー四徴症, 心室中隔欠損症等)
5 内分泌疾患 (成長ホルモン分泌不全性低身長症, 甲状腺機能亢進症等)
6 膠原病 (若年性特発性関節炎, 強皮症等)
7 糖尿病 (1型糖尿病 2型糖尿病等)
8 先天性代謝異常 (フェニルケトン尿症, ウィルソン病等)
9 血液疾患(血友病A, 再生不良性貧血等)
10 免疫疾患 (複合免疫不全症, 慢性肉芽腫症等)
11 神経・筋疾患 (レット症候群, 筋ジストロフィー, 難治てんかん脳症等)
12 慢性消化器疾患(胆道閉鎖症, ヒルシュスプルング病等)
13 染色体または遺伝子に変化を伴う症候群 (18トリソミー症候群等)
14 皮膚疾患(眼皮膚白皮症, 表皮水疱症等)
15 骨系統疾患(骨形成不全症, ラーセン症候群等)
16 脈管系疾患 (巨大静脈奇形, リンパ管腫等)

平成27年1月から施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律」と「児童福祉法の一部を改正する法律」により、小児慢性特定疾病の医療費助成の対象となる疾病は、従来の小児慢性特定疾患治療研究事業に含まれていた11疾患群(514疾病)から、令和3年11月には16疾患群(788疾病)にまで拡大されました。

小児慢性特定疾病医療支援の対象者の詳細は以下をご覧ください。

小児慢性特定疾病情報センター:小児慢性特定疾病の対象疾病リスト

小児慢性特定疾病の医療費助成に係る自己負担上限額

階層区分 年収の目安
(夫婦2人子ども1人世帯の場合)
自己負担上限額
一般 重症 人工呼吸器等装着者
生活保護等 0 円
市町村民税
非課税
低所得 Ⅰ(~約80万円) 1,250 円 500 円
低所得 Ⅱ(~約200万円) 2,500 円
一般所得 Ⅰ
(市区町村民税7.1万円未満、~約430万円)
5,000 円 2,500 円
一般所得 Ⅱ
(市区町村民税25.1万円未満、~約850万円)
10,000 円 5,000 円
上位所得
(市区町村民税25.1万円以上、約850万円~)
15,000 円 10,000 円

※1:重症の定義

下記の(1)または(2)に該当する患者

(1)高額な医療が長期的に継続する患者

1ヵ月の健康保険適用前の医療費総額が5万円※2を超える月数が1年間に6ヵ月以上ある方。

(2)療養にかかる負担が特に重い症状の患者

小児慢性特定疾病に該当する患者さんで、目、聴器、上肢、下肢などの対象部位のいずれかに、著しい障害を有するなどの症状が長期間(おおむね6ヵ月以上)継続すると認められる方。

小児慢性特定疾病に定められた対象疾患(先天性代謝異常、悪性新生物、慢性腎疾患など)であって、規定の治療状況に該当する方。

(例)先天性代謝異常の場合、知能指数が20以下である方、または1歳以上の児童において寝たきりの方

※詳しい重症の定義は小児慢性特定疾病情報センターホームページの「小児慢性特定疾病 重症患者認定基準」をご確認ください。

小児慢性特定疾病医療支援の届出方法

小児慢性特定疾病医療支援の手続きは、保健所が窓口となります。小児慢性特定疾病の公費負担で訪問看護を利用する際には、指定医療機関となった訪問看護ステーションを利用する必要があります。

小児慢性特定疾病の医療受給者証の有効期限は1年間で、継続を希望する場合は有効期限の3か月前から申請が可能なため、早めの届出が必要です。

まとめ

今回は、小児に関する公費負担医療と訪問看護ステーションの関わりについてお伝えしました。

障がいや病気を持ちながら在宅生活を送っている子どもたちの医療的なサポートをおこなうためには、小児医療への公的なサポートについての理解を深めることはとても大切です。

※小児の訪問看護についてはこちらの記事も参考にしてみてください。

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>保険外美容医療での看護師独立ストーリー

保険外美容医療での看護師独立ストーリー

石原看護師は、約1年前に美容エステと美容医療を組み合わせた独自メニューを提供する美容サロンを自宅で開業されました。
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