訪問看護でつくる未来|いろいろナースは、看護師の独立と訪問看護ステーションの成功を支援する総合Webメディアです。

在宅療養者に必要なフットケアと訪問看護ステーションが担う役割

在宅療養中の方々にとって、足の健康ケアはQOL向上や日常生活の喜びを取り戻すために欠かせない要素です。近年、フットケアの重要性がますます高まっており、訪問看護師がその役割を果たすことが求められています。

本コラムでは、在宅療養者に必要なフットケアと訪問看護師が担う役割について探っていきます。さらに、具体的なフットケアのポイントや訪問看護ステーションが取り組むべきメリット、そして訪問看護師がフットケアに携わることで得られるやりがいについてもご紹介します。

さらに、最後には明日から使えるフットケアの営業チラシもプレゼントいたします。在宅療養者の方々の足の健康を支えるために、訪問看護師の重要な役割について一緒に考えてみましょう。

目次

年々フットケアの重要性がクローズアップされる背景

年々フットケアの重要性がクローズアップされる背景

近年、フットケアの重要性が強調されている背景にはいくつかの要素があります。まず一つ目は、高齢化の進展です。高齢者の割合が増えるにつれて、足の健康状態がますます重要となっています。高齢者は足の筋力や柔軟性が低下しやすく、足のトラブルやケガのリスクが高まります。また、足の痛みや不快感が生じることで、歩行や日常生活の制約が生じる可能性もあります。

二つ目の要素は、糖尿病足病変の重症化と下肢切断の増加です。糖尿病患者の中には、血糖値の制御が不十分であったり、神経障害や血液循環の低下が進んでいる場合に足の病気が発生しやすくなります。糖尿病による足の合併症は重篤なものになることがあり、一部の患者では下肢切断が必要になることもあります。

実際に、年間に1万人以上の人々が下肢切断を受けており、さらに足の指だけなどの小切断を含めるとその数はさらに増えています。このような切断手術を必要とする人の数は年々増加しているとされています。

最後に、足の病気は重症化する前から治療・予防の取り組みが重要となっているという点も挙げられます。足の病気は初期段階から適切な治療や予防策を行うことで進行を遅らせることができます。特に、糖尿病患者や高齢者は足の感覚や血行が低下しているため、早期の症状や合併症の予防に取り組む必要があります。定期的な足の健康チェックや適切な靴の選択、適度な運動、血糖値の管理などが重要な対策となります。

以上の要素から、フットケアの重要性が近年強調されています。高齢化に伴い足の健康状態が重要となり、糖尿病足病変の増加や足の病気の予防・治療の重要性がクローズアップされています。足の健康状態を保つためには、個人の意識と定期的な医療機関でのケアが必要なのです。

歩行機能の低下は、QOLやADLに重大な影響を及ぼす

歩行機能の低下は、QOLやADLに重大な影響を及ぼす

歩行は日常生活での基本的な動作であり、足の健康状態は全身の機能に密接に関連しています。足病により歩行機能の低下は、個人の生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)に著しい影響を与える可能性があります。

歩行機能の低下により以下のようなことが考えられます。

1.足の痛みによるバランスの崩れと転倒リスク

外反母趾、巻き爪、陥入した爪、厚くなった爪、魚の目、タコなどの足の問題は痛みを引き起こし、歩行時に不快感やバランスの崩れをもたらすことがあります。このような状態では、転倒やけがのリスクが高まります。

2.足の痛みによる外出制限とストレス

足の痛みや不快感によって、日常生活の外出が制限されることがあります。外出機会の喪失は社会的な孤立感やストレスを引き起こし、心理的な健康状態や生活の満足度に悪影響を及ぼす可能性があります。

3.認知機能の低下や寝たきりリスク

歩行機能の低下は、日常生活での自立性を著しく低下させることがあります。例えば、トイレやお風呂への移動が難しくなることで、介助が必要になる場合があります。このような依存状態が長く続くと、廃用症候群が進行し、身体機能や認知機能の低下、寝たきりのリスクが高まる可能性があります。

4.血管の機能低下と動脈硬化のリスク

歩行機能の低下に伴い、全身の血管の機能である血管内皮機能が低下します。血管内皮の機能低下は動脈硬化の進行を促進し、不安定な血管プラークの形成や血管内壁の炎症を引き起こすことがあります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患の発症リスクが増加します。

足の健康管理とフットケアへの適切な取り組みは、個人の健康と生活の質を向上させるために重要です。

在宅療養において特にフットケアが必要になる疾患とは

在宅療養において特にフットケアが必要になる疾患とは

在宅療養中の特定の人々にとって、フットケアは特に重要です。以下では、糖尿病、下肢末梢動脈疾患、腎不全・透析患者に焦点を当て、それぞれの状態におけるフットケアの必要性について解説します。

(1)糖尿病

糖尿病患者は足の健康管理に特に注意が必要です。糖尿病による高血糖状態は、神経障害や血管障害を引き起こし、足の感覚や血液循環に影響を与えます。そのため、糖尿病患者は足の検査やケアに重点を置く必要があります。定期的な足のチェック、爪のケア、適切な靴の選択、乾燥肌の予防、傷や潰瘍の早期治療などが重要です。また、足の血流改善のために適度な運動や適切な血糖管理も推奨されます。

(2)下肢末梢動脈疾患

下肢末梢動脈疾患は、下肢の血管に狭窄や閉塞が生じる状態です。この疾患では、足への十分な血液供給が妨げられるため、潰瘍や壊死などの合併症のリスクが高まります。在宅療養中の患者は、足の血行を改善するために定期的な足の運動やリハビリテーションを行うことが重要です。また、傷や潰瘍の早期治療、感染の予防、血行改善のための薬物療法なども適切なフットケアの一環です。

(3)腎不全・透析患者

腎不全や透析を受けている患者は、足の健康管理に特別な注意が必要です。腎不全は末梢血管疾患を引き起こす可能性があり、透析によっても血管の健康に影響が生じることがあります。足のむくみや浮腫の予防、適切な血圧管理、皮膚の乾燥予防、爪のケア、潰瘍や感染の早期治療などが重要です。また、透析患者ではカルシウムやリンの代謝異常が生じやすいため、骨や関節の健康維持も重要な課題となります。

これらの状態における在宅療養中の患者は、足の健康管理に特に注意を払う必要があります。フットケアの実施は、足の合併症や悪化を予防し、生活の質を向上させるのに役立ちます。しかし、個々の状態や症状に応じて、医師や専門家の指導を受けることが重要です。

訪問看護がフットケアに取り組むべき理由

訪問看護がフットケアに取り組むべき理由

次に在宅医療における最も身近な医療者である訪問看護師がフットケアに取り組むべき理由について解説します。

(1)足病の早期発見に貢献できる

訪問看護師は利用者の自宅を訪問するため、足に関する問題や異常を早期に発見することができます。足の検査や観察を通じて、足の状態に変化がある場合には適切な対応や治療を提案することができます。

(2)足を健康に維持する必要性を利用者や家族に伝えられる(教育・指導)

訪問看護師は利用者やその家族と密接な関係を築いています。足の健康の重要性やフットケアの方法について、利用者や家族に対して教育や指導を行うことができます。適切な靴の選択や足のケア方法、日常生活での注意点などを提供することで、足の健康状態を改善し、合併症の予防に役立ちます。

(3)観察者(目)となること

訪問看護師は利用者の身体状態や症状を観察する役割を果たします。足の色や温度、皮膚の変化、爪の状態などを注意深く観察し、異常があれば早期に対処することができます。また、利用者が足に関する問題を自覚していない場合でも、訪問看護師の観察によって異常を発見し、必要な措置を講じることができます。

(4)セルフケア能力が低い利用者を支える

高齢者は足の筋力や柔軟性が低下しやすく、認知機能の低下や判断力の低下も見られることがあります。そのため、訪問看護師は高齢者の自己管理が困難な場合に、足の健康管理やフットケアのサポートを行うことが重要です。適切なケアや予防策を提案し、高齢者が安全で健康な足を保つことを支援します。

(5)高齢者の転倒やフレイル予防に貢献できる

訪問看護師は高齢者の健康状態や生活環境を把握しています。足の問題や痛みがある場合、それが転倒やフレイルのリスクを増加させる可能性があります。訪問看護師は足の状態を評価し、転倒予防やフレイル予防のための適切な対策を提案することができます。

訪問看護師は在宅療養中の利用者の健康管理全般を担当する重要な役割を果たしています。足の健康管理とフットケアは、利用者のQOL向上や合併症の予防に不可欠な要素です。訪問看護師がこれらの要素に取り組むことで、利用者の健康を総合的にサポートすることができます。

訪問看護のフットケア8つのポイント

訪問看護のフットケア8つのポイント

訪問看護が実施するフットケアにおける9つのポイントについて解説します。

(1)アセスメント

利用者の足の状態を評価し、問題やリスクを特定します。血行状態、皮膚の状態、爪の状態、痛みや不快感の有無などを確認します。

(2)足浴で血行を促す

適切な温度のお湯を用いて足浴を行います。足浴は血行を促進し、足の疲労感を和らげる効果があります。ただし、糖尿病や神経障害のある方には医師の指示に基づいて行う必要があります。

(3)足の清潔を保つ

毎日の入浴や洗面を通じて足の清潔を保ちます。特に指の間や爪の周辺を丁寧に洗浄し、菌や汚れの蓄積を防ぎます。

(4)足や爪の保湿ケアをする

足や爪の乾燥は割れたり、ひび割れや潰瘍のリスクを高めます。保湿剤を用いて足や爪を適切に保湿し、柔軟性を維持します。

(5)爪を正しく切る

爪を直線的に切り、隅を丸く整えます。爪切りは利用者の爪の形状に合わせたものを選び、適切な方法で行います。爪を切る際には、切り過ぎや切り傷に注意します。

(6)胼胝、鶏眼は適切なケアをする

胼胝(たこ)や鶏眼(魚の目)は足の圧力がかかる箇所に生じる硬い皮膚の塊です。適切なケアを行い、必要に応じて削ったり保護パッドを使用したりします。

(7)足のマッサージや関節ストレッチを行う

足のマッサージや関節のストレッチは、血行を促進し筋力を保つために重要です。利用者の足の状態や好みに合わせて、優しいマッサージやストレッチを行います。

(8)利用者さんに合った靴を選ぶ

歩行時や日常生活での利用者の足の負担を軽減するために、適切な靴の選択が重要です。足の形状やサイズ、利用者の活動レベルなどを考慮して、適切な靴をアドバイスします。適切な靴の履き方やフィット感のチェックも行います。

これらのポイントを実践することで、訪問看護師は利用者の足の健康をサポートし、足の問題や合併症の予防に役立ちます。ただし、利用者の個別の状況や医師の指示に基づいて適切なケアを提供することが重要です。

訪問看護がフットケアに取り組むことで得られるメリット

訪問看護がフットケアに取り組むことで得られるメリット

訪問看護ステーションが積極的にフットケアに取り組むことには、以下のようなメリットがあります。

(1)顧客満足度の向上

フットケアを含めた総合的なケアを提供することで、利用者の満足度を高めることができます。足の健康管理や合併症予防に積極的に取り組むことで、利用者の生活の質を向上させることができます。

(2)健康リスクの軽減

フットケアにより、足の合併症や病気の進行を予防することが可能です。糖尿病患者や下肢末梢動脈疾患患者などの特定のグループに焦点を当て、足の健康管理と関連リスクの軽減に取り組むことができます。

(3)競合ステーションとの差別化

フットケアへの特化や積極的な取り組みは、他の訪問看護ステーションとの差別化になります。フットケアの専門知識やスキルを持つ看護師や専門スタッフを配置し、高品質なフットケアサービスを提供することで、顧客の選択肢の中で優位性を獲得することができます。

(4)ケアマネージャーや主治医との連携

フットケアは継続的なケアと連携が重要です。訪問看護ステーションはケアマネージャーや主治医と密接に連携し、利用者の足の状態やケアプランについて情報共有や調整を行います。利用者のフットケアに関する情報を共有することで、総合的なケアの質を向上させることができます。

(5)営業や広報活動

フットケアへの取り組みや特色を積極的に営業や広報活動で発信することで、地域の利用者や関係機関に対して訪問看護ステーションの存在や価値をアピールすることができます。フットケアセミナーや健康教室の開催、地域イベントへの参加などを通じて、地域での知名度と信頼性を高めることができます。

訪問看護ステーションがフットケアに積極的に取り組むことで、利用者の健康状態や生活の質を向上させることができます。そのためには、専門的な知識やスキルを持ったスタッフの配置、連携体制の強化、営業活動や広報の努力が重要です。

フットケアに特化した訪問看護ステーションとしての存在感を高め、地域の利用者や関係機関に対して価値を提供することが求められます。

訪問看護師が在宅療養におけるフットケアに携わることで得られる気づきとやりがい

訪問看護師が在宅療養におけるフットケアに携わることで得られる気づきとやりがい

訪問看護師が在宅療養におけるフットケアに携わることで以下のような気づきややりがいを得ることができます。

(1)利用者の健康状態の改善

フットケアを通じて、利用者の足の健康状態を改善することができます。傷や潰瘍の予防や早期治療、痛みの軽減などにより、利用者の足の状態が良くなる様子を見ることができます。利用者が足の問題で日常生活に制約を感じていた場合、フットケアの効果を通じて彼らの生活の質を向上させることができるでしょう。

(2)予防の重要性の理解

フットケアを通じて、利用者やその家族に予防の重要性を伝える機会が得られます。足の健康管理やケアの必要性、適切な靴の選択や日常生活での注意点などを教えることで、利用者が自身の足の健康に対して積極的に関与し、合併症や問題の予防に努める姿勢を持つよう促すことができます。

(3)利用者とのコミュニケーションの深化

フットケアは利用者とのコミュニケーションを深める良い機会です。利用者は自身の足に対して個人的な関心を抱いており、その問題について話しやすい場合があります。フットケアを提供することで、利用者との信頼関係が築かれ、彼らの健康状態に対する理解が深まることがあります。

(4)継続的なサポートとモニタリング

在宅療養中の利用者の足のケアは継続的なサポートとモニタリングを必要とします。フットケアに携わることで、利用者の経過を定期的にチェックし、必要に応じてケアプランを調整することができます。利用者の足の健康状態が改善していく過程を見守ることで、やりがいや達成感を感じることができます。

(5)専門知識とスキルの活用

フットケアは専門的な知識とスキルを要する領域です。訪問看護師として、自身の専門知識やスキルを活用して利用者の足の健康をサポートすることで、自己成長や専門性の向上を実感することができます。

訪問看護師が在宅療養におけるフットケアに携わることで、利用者の健康状態の改善や予防意識の啓発、利用者とのコミュニケーションの深化、継続的なサポートとモニタリング、専門知識とスキルの活用など、多くの気づきややりがいを得ることができます。利用者の健康と生活の質を向上させるために、フットケアに真摯に取り組むことは、訪問看護師としての使命感と充実感をもたらすでしょう。

まとめ

在宅療養者にとってフットケアは、健康維持や生活の質を高めるために欠かせないケア項目となっています。訪問看護師が担う役割は重要であり、彼らがフットケアに積極的に取り組むことで、利用者の足の健康状態をサポートし、QOLやADLの向上に貢献します。

この記事では、フットケアの重要性や歩行機能の低下がもたらす影響、特に在宅療養においてフットケアが必要な疾患について触れました。そして、訪問看護師がフットケアに取り組むべき理由や具体的なポイントについてご紹介しました。

訪問看護ステーションが積極的にフットケアに取り組むことで、利用者の足の健康状態の改善や満足度の向上、競合ステーションとの差別化が可能となります。また、訪問看護師が在宅療養におけるフットケアに携わることで、利用者の健康の変化を見守り、やりがいや成果を実感することができます。

在宅療養者の方々にとって足の健康は重要な要素です。フットケアの重要性を伝え、訪問看護師の役割と取り組みを周知することで、より多くの方々に利益をもたらすことができるでしょう。

最後に、明日から使えるフットケアの営業チラシをプレゼントいたします。訪問看護ステーションの価値とフットケアの重要性を地域に広め、より多くの方々の足の健康をサポートしていきましょう。

明日から営業で使えるフットケアのチラシをプレゼント

明日から営業で使えるフットケアのチラシを無料でプレゼントします。

パワーポイントのデータになります。ステーション情報の部分(ピンクの枠線内)はパワーポイントで編集ください。

>自己資金ゼロからの独立事例ダウンロード

自己資金ゼロからの独立事例ダウンロード

いろいろナースから生まれた看護師の独立事例を冊子にまとめました。岩田看護師(34才女性)は、総合病院に勤めながら「看護師が働き続けられる職場を作りたい」と訪問看護での独立を志望。

訪問看護は未経験であり自己資金もゼロでしたが、ある経営者さんとの出会いにより新規立ち上げの訪問看護ステーションで将来の独立を前提に管理者として働くことが決定しました。 現在年収600万円を得ながら経営ノウハウを習得し、3年後の独立、理想の訪問看護ステーション作りに邁進されています。

無料でダウンロードできますので、訪問看護での独立にご興味のある方は、是非この機会にご一読ください。

CTR IMG