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訪問看護師が知っておきたい!在宅におけるエンドオブライフ・ケアとは

いよいよ、来月4月1日より訪問看護ステーション等、訪問系サービスにおいても「高齢者虐待防止の推進」の実施が義務づけられます。

在宅療養をおこなっている高齢者の意思や望むことを尊重し、その人らしい生活を支援するために知っておきたいのが「エンドオブライフ・ケア」の考え方です。

エンドオブライフ・ケアとは、最期までその人らしく生きることを支援するケアであり、近年、終末期ケアにおける高齢者の尊厳やプロセスを支える概念として注目されています。

今回は、在宅におけるエンドオブライフ・ケアをテーマにその概念や終末期における利用者、家族の意思決定や自宅での看取りのプロセス疾患別の支援内容などについてお伝えします。

目次

エンドオブライフ・ケアとは

エンドオブライフ・ケアとは

エンドオブライフ・ケアは、人が最期の時を迎えるまで、その人が最良の生活を送れるよう支援することを意味します。

診断や健康状態、年齢にかかわらず、死が迫っているかもしれないという意識や、いつかは死が訪れるという現実を受け入れながら、その人が望む生活を尊重し、大切な家族や専門職者との合意形成を通じて行われます。

エンドオブライフ・ケアのプロセスとしては以下のようなものが挙げられます。

1.その人の生活や人生に焦点を当てる。


2.患者、家族、医療スタッフが死を意識する時から始まる。


3.患者、家族、医療スタッフが共に治療の選択をする。


4.患者、家族、医療スタッフが共に療養や看取りの場所を考える。


5.最期までその人の生活の質を最大限に保ち、良い死を迎えることを目指し、家族と共にその目標に向かって進む。

そのため、人々が自分の生き方の一部としてエンドオブライフについて考え、周囲の人や大切な人と積極的に話し合う文化を育てることが重要になります。

参考文献:「エンド・オブ・ライフケアの概念とわが国における研究課題」保健医療社会学論集 第25巻1号2014

近年、エンドオブライフ・ケアが注目される背景とは

近年、エンドオブライフ・ケアが注目される背景とは

最近では、高齢化社会や慢性疾患の増加により、終末期ケアのあり方が見直されています。

従来の疼痛管理や症状緩和に焦点を当てた緩和ケアや、終末期に特化したターミナルケアだけではなく、患者や家族のニーズに合わせた地域ベースの終末期ケアの構築が求められています。

このような社会的課題への対応として、エンド・オブ・ライフケアの考え方が重要性を増しています。

また、個々人が自分自身の人生を大切にし、良い最期を迎えるためには、そのプロセスを考え、支えていくことが重要です。

そのためにも身近な地域での支援体制や家族介護者のサポート体制が必要不可欠になります。

このような背景から病気や終末期において、いかにして最後まで生を全うし、その過程を尊重するかを考え、その支援を行うエンドオブライフ・ケアの概念が注目を浴びているのです。

意思決定を支援するアドバンス・ケア・プランニングとは

意思決定を支援するアドバンス・ケア・プランニングとは

エンドオブライフ・ケアを実践する上で重要なのは、本人の意向や希望を理解し、意思決定を支援することです。

死を迎える時、患者や家族はさまざまな選択肢に直面し、どうすべきか迷うことがよくあります。

特に、介護施設や在宅から救急搬送される高齢者の場合、本人が意思を表明できないことがしばしばあり、家族や関係者が病状を説明し、治療方針を決定することが求められます。

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は、将来の意思決定能力の低下に備えて、現在から患者や家族、医療者が話し合いを行うプロセスです。

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)のアプローチ方法は次のようになります:

1.会話と情報共有

医療者と患者や家族が話し合い、将来の医療やケアに関する希望や考えを共有します。

2.希望や価値観の探求

患者や家族の希望や価値観を深く理解し、重要な治療やケアの要素を見つけます。

3.医学的情報の提供

医療者が医学的な情報を提供し、治療やケアの選択肢について説明します。

4.文書化

患者の意思を尊重し、その希望や意思決定を文書に残します。これにより、将来の医療やケアに関する指針が明確になります。

※一般的には、判断能力が低下した際に備えて、生命維持治療などの意向を示すことを事前指示(アドバンス・ディレクティブ:AD)といいます。事前指示を文書化したものをリビングウィルと呼びます。

5.更新と再評価

ACPは定期的に更新され、患者の状況や意向が変化した場合に再評価されます。

看護職は、利用者の状況や希望に寄り添いながら、最期の時までをどう生きるか、どのような死を迎えるかを共に考えていきます。

治療やケアの方針は時に変化することもありますが、患者や家族、専門職が定期的に話し合い、方向性を共有することが重要です。

2018年に改定・公表された厚生省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」では、病院だけでなく介護施設や在宅の現場でもアドバンス・ケア・プランニングの重要性が強調されています。

このガイドラインに基づいた対応が、「在宅ターミナルケア加算」と「訪問看護ターミナルケア療養費」といった診療報酬や介護報酬の要件として位置づけられました。

参照元:厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン

在宅におけるエンドオブライフ・ケアとは

在宅におけるエンドオブライフ・ケアとは

次に在宅におけるエンドオブライフ・ケアの特徴についてお伝えしていきます。

利用者・家族が自宅で最期を迎えることを希望された場合、看取りをおこなう条件としては以下のことが考えられます。

(1)利用者・家族が自宅での療養や看取りを希望している

利用者や家族が自宅で最期を迎えることを望んでいることが重要です。自宅での看取りは、環境がよりリラックスしているため、心理的な安定や安らぎをもたらすことがあります。

(2)利用者・家族の心身の負担が増大せずに在宅療養を継続できる

在宅での看取りを実現するためには、利用者や家族が心身ともに負担を感じずに、安心して在宅療養を継続できることが重要です。必要な医療やケアが適切に提供され、家族のサポートが確保されていることが必要です。

(3)病院・診療所や訪問看護により、24時間連絡体制がある

在宅での看取りを支援するためには、緊急時に医療やケアの専門家にすぐに連絡できる体制が整っていることが重要です。病院や診療所、訪問看護事業所などが24時間対応していることが求められます。

(4)利用者・家族の不安や揺れに寄り添ったサポート

在宅での看取りを支援するためには、医療やケアの専門職が利用者や家族の不安や心理的な揺れに理解を示し、適切なサポートを提供することが重要です。

(5)利用者や家族も含めた在宅ケアチームの連携

在宅での看取りを実現するためには、医療やケアの専門家だけでなく、利用者や家族も含めた在宅ケアチームが連携し、方向性や緊急時の対応体制を共有し、力を合わせることが重要です。

ターミナルケア段階の支援のポイント

次にエンドオブライフ・ケアの視点に基づき、ターミナルケア(終末期医療)段階の支援のポイントについてみていきます。

(1)病状が安定している時期

(1)病状が安定している時期

病状が安定している期間は、利用者や家族が望む時間を過ごすことが大切です。特に、この時期は利用者や家族と専門職の信頼関係を築き、より良い在宅ケアチームや体制を整えるための機会でもあります。

看護師は、利用者や家族が希望する生活について話を聞き、その生活が実現できるように支援します。

1.利用者が穏やかな時を過ごせるよう支援する

・これまでの人生を通して、利用者が自宅でどのように過ごしたいかを尋ね、利用者の希望に沿った支援を行います。


・病状の進行を把握し、医師と協力して、症状のコントロールを行います。


・利用者の快適さを保つために、食事や排泄、清潔などの日常生活の援助を提供します。


・利用者の不安に寄り添い、解決できるように支援します。


・利用者や家族を中心とした多職種チームで目標を共有します。

2.家族の介護負担や不安が大きくならないよう支援する

・家族の介護を支援し、必要に応じてケアマネジャーに連絡し、訪問介護などのサービスや社会資源の導入を検討します。


・療養や看取りの場所や医療的ケアの導入など、家族の意向を確認し、相談に乗ります。


・緊急時に家族が慌てないよう、病状の説明を行います。緊急連絡先については明確に示し、体制を共有します。


・家族の不安や悲嘆に寄り添い、話に耳を傾けます。

(2)死が近づいた時期

死が近づき、利用者の状態が変化すると、家族が不安になることがあります。看護師は、家族ができるだけ慌てないようにし、家族の思いに寄り添いながら一緒に看取る姿勢で関わります。

利用者の病状が悪化し、家族の負担が増えると、訪問看護の頻度を増やします。また、医師と連携して利用者の苦痛が増大しないように症状のコントロールを行います。

1.利用者が死に向かう苦痛が和らぐよう支援する

・利用者の安楽を保つために、死の兆候として呼吸の変化や意識の低下、四肢の冷感などを家族と共有し、看護を行います。


・医師と協力して、可能な限り症状を和らげるための薬物治療などを行います。

2.家族が慌てずに、利用者の看取りを支援する

・家族に利用者の状態の変化を理解し、適切なケア方法を教えます。


・家族が不安や緊張から疲れることがあるため、穏やかな言葉で支え、緊張を和らげます。


・看護師は、家族と共にいなくても、一緒に看取る姿勢で関わることが家族の安心につながります。

(3)死が訪れた時 (臨終)

(3)死が訪れた時 (臨終)

死が近づくと、家族は医師や看護師に連絡し、医師が死亡を診断します。家族が臨終に際して慌てて救急車を呼ぶことがないよう、事前に説明しておくことが重要です。

医師や看護師は、利用者や家族のニーズに敬意を払いながら、その人生や介護に対処します。

利用者と家族がお別れの時間を持ち、死後の処置であるエンゼルケアを提供します。

(4)看取り後

(4)看取り後

自宅での看取りを経験した家族は、その役割を果たし、満足感や安心感を感じることがあります。しかし、病気で亡くなった人との別れや、介護の終了による寂しさや後悔など、ネガティブな感情も抱くことがあります。

悲嘆の期間を過ごす人々は、話をすることや身体を動かすことで、だんだんと元の生活に戻ることができます。

悲しみを乗り越えるためには、専門家によるカウンセリングや追悼会などの手法がありますが、訪問看護ステーションでは、家族の心身の状態を定期的にフォローすることも行われます。また、家族や友人との会話や思い出話も、悲嘆を和らげるのに役立ちます。

老衰における在宅でのエンドオブライフ・ケア

老衰における在宅でのエンドオブライフ・ケア

さいごに疾患ごとのエンドオブライフ・ケアのポイントについてみていきたいとおもいます。

老衰における在宅でのエンドオブライフ・ケアのポイントは以下になります。

(1)在宅看取り意識の統一

老衰に対して、在宅看取りを想定する場合、急な変化があっても「自然に受け入れ、在宅で最期を迎える」ということを家族や支援関係者が一致して意識することが重要です。

(2)苦痛緩和を優先する意識の統一

老化の進行により食事が困難になり、元気や意識が低下することがありますが、その状態に応じて行われる点滴や補液などの医療処置が本人に苦痛をもたらしていないか、総合的に評価することが重要です。

(3)チームアプローチ

老化の進行によって生じる状況を、家族を含む在宅ケアチームが予測・認識し、情報を共有し合い、チーム全体で本人の苦痛の緩和を最優先に対応していきます。

神経難病における在宅でのエンドオブライフ・ケア

神経難病における在宅でのエンドオブライフ・ケア

神経難病によって引き起こされる特定の症状(話すことや飲み込みに問題があったり、排尿や呼吸に困難があったりするなど)には、吸引、経管栄養、尿道カテーテルの管理、人工呼吸器の管理など、高度な医療処置や医学的なケアが必要です。

多くの場合、患者は重度の四肢や体幹の機能障害を抱えており、24時間介助が必要です。このため、家族の負担を考慮して、十分な介護が確保されるようにする必要があります。

重要な生命維持に関わる意思決定を支援することも重要です。これによって、提供される医療やサービスの内容が変わってきます。

神経難病患者の在宅療養は、さまざまな制度で支援されており、関係する機関や専門職種も多岐にわたります。そのため、終末期においては、患者や家族の希望や状況の変化に適切に対応するために、さまざまな専門職が役割を分担し、制度を超えて連携する必要があります。

小児がんにおける在宅でのエンドオブライフ・ケア

小児がんにおける在宅でのエンドオブライフ・ケア

小児がんにおける在宅でのエンドオブライフ・ケアは、まず本人と家族の意思が必要です。しかし、ほとんどの場合、10~13歳未満の子供は法的には意思決定能力がないと見なされ、親が代理で決定を行うことが一般的です。

ただし、子供は親の決定に従うだけでなく、決定プロセスに参加する権利があります。小児がんを含む家族の意思決定と合意形成を支援することが、子供の権利を保護する立場にある看護師にとって重要です。

小児がんで亡くなる子供は、固形腫瘍だけでなく、白血病などの造血器腫瘍も多いです。終末期では、頻繁な輸血が必要になる場合があります。また、強い痛みや呼吸困難などの症状が予測されます。そのため、在宅で看取るための環境を整えるだけでなく、病状の緩和のために医学的な処置が必要であり、病院の医師や在宅医との連携が欠かせません。

まとめ

今回は、在宅におけるエンドオブライフ・ケアをテーマにその概念や終末期における利用者、家族の意思決定や自宅での看取りのプロセス疾患別の支援内容などについてお伝えしました。

在宅でのエンドオブライフ・ケアは、高齢者や病気の方々が最期まで自分らしい生活を送るための重要な支援です。

訪問看護師には、利用者や家族の意向を尊重し、安心して最期を迎えられるよう状況に適切に対応することが求められます。

本記事が訪問看護事業に従事される方や、これから訪問看護事業への参入を検討される方の参考になれば幸いです。

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訪問看護は未経験であり自己資金もゼロでしたが、ある経営者さんとの出会いにより新規立ち上げの訪問看護ステーションで将来の独立を前提に管理者として働くことが決定しました。 現在年収600万円を得ながら経営ノウハウを習得し、3年後の独立、理想の訪問看護ステーション作りに邁進されています。

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