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在宅医療ドクターズコラム(5)宅飲みのルールを決めてアルコールとかしこく付き合おう

こんにちは、恵比寿こもれびクリニックの院長、西嶌暁生です。

人生100年時代と呼ばれる社会において、「笑顔で自分らしく、活き活きと自立して生きる」ためには「健康」が不可欠です。

このコラムでは、在宅の現場で日々奮闘している訪問看護師の皆様に向けて、時間や労力、コストをかけることなく、在宅でも手軽に始められる「健康・美容増進のコツ」をご紹介していきたいと思います。

皆さま、普段お酒とどんな付き合い方をしていますか?

友人や家族と飲むお酒は楽しいものですが、“お酒は飲んでも飲まれるな”という言葉があるように、飲みすぎれば体調に異変が起こりますし、健康にもよくありません。

ただ、健康を意識するあまり、お酒を我慢して逆にストレスが溜まり不健康になっては本末転倒です。

そこで本日は、自宅でお酒を“かしこく”飲む方法についてお話しさせていただきます。

アルコールの吸収は小腸、分解は肝臓

アルコールは胃で20%、小腸で80%が吸収され、肝臓に送られます。

アルコールは肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)の働きでアセトアルデヒドという毒性物質になった後、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸となり、最終的には水と二酸化炭素となって排泄されます。

お酒が弱いか強いかは、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって決まっている

実は、悪酔いや二日酔いは、アセトアルデヒドが速やかに分解されないために起きます。

悪酔いや二日酔いは、アセトアルデヒドが速やかに分解されないために起きます

ALDHの一種であるALDH2をつくる遺伝子に欠損があるかどうかが、お酒に弱いか強いかを決めています。

ALDH2が正常に働き、アセトアルデヒドを分解する能力が高い遺伝子がN型、アセトアルデヒドを分解できない欠損したALDH2を持つ遺伝子はD型です。

そして、ひとの遺伝子は両親から1つずつ受け継がれるので、NN型、ND型、DD型の3種類が存在します。

お酒が弱いか強いかは、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって決まっている

まずは自分の体質を把握しよう!

まずは、アルコールに対する自分の体質を把握する必要があります。

NN型 アセトアルデヒドの分解能力がとても高い人(お酒に強い人)
ND型 ある程度お酒は飲めるけど、すぐに顔に出る人
DD型 アセトアルデヒドの分解能力がかなり低い人(お酒に弱い人)

 

日本人の場合、NN型50%、ND型40%、DD型10%と言われています。

また、国内では、北海道、東北、九州、沖縄などにNN型が多く、関東、中部、近畿などはD型をもつ人が多く分布します。

ちなみに、「練習してお酒を飲めるようになる」は間違いです。

仮に、お酒に強くなった自覚がある場合は、

①先天的にNN型だったが本人が気づいていなかった

②ND型でお酒が好きになった

のいずれかです。自分の遺伝子型を正確に知りたい人は、唾液や口腔粘膜の検査で調べることができますが、自分やよく一緒に飲む周りの人が何型かは、だいたい予想できるのではないでしょうか。ちなみに私は検査した結果、NN型でした・・・!

これらの型に合わせた飲み方は大切です。

例えばND型の人が、NN型の人のペースに合わせて飲めば飲み過ぎや二日酔いになりやすく、DD型やND型の人は空腹時に飲まない、度数の高い物は薄める、チェイサーと交互に飲む、などアセトアルデヒドをためない飲み方を意識すると良いです。

お酒には5つの効用がある!

お酒には適度に飲めば、健康に貢献する5つの効用があると言われています。

お酒の5つの効用

(1)アルコールによる食欲増進効果

アルコールが体内に入ると、胃と腸の蠕動運動が始まり、その刺激により空腹感が増して、食欲が増進します。例えば、フランスでは、「アペリティフ」と呼ばれる食前に酒を飲む習慣があります。

(2)血行促進効果

アルコールを摂取すると血管が拡張されて血液の流れが良くなり、血行が良くなることで体の疲労を回復させます。

(3)気分高揚効果

アルコールは脳の抑制を一時的にゆるめ、平常時よりも陽気になって元気になります。

(4)ストレス緩和効果

アルコールには万病のもとであるストレスを緩和する効果があります。事実、お酒が飲める人(NN型の人)が意にそぐわずに断酒すると、かえってストレスがたまり、腸内環境が悪化する例もあります。

(5)HDLコレステロールの増加

アルコールは血流を促し、動脈硬化などを予防するHDLコレステロールを増やして、血栓症を予防する効果があります。

ただし、これは「適量」に限った話です。在宅で質の悪いアルコールを大量に飲んでも健康には繋がりませんので、注意して下さいね。

身体に優しいお酒の種類は?

では、お酒にはどのような種類があるのでしょうか。

お酒は大きく、醸造酒と蒸留酒に分けられます。

醸造酒は穀物や果物を酵母でアルコール発酵させたもので基本的に糖質を含みます。ビール、日本酒、ワインなどが醸造酒にあたります。

ビール

蒸留酒は醸造酒を蒸留して作った酒であり、糖質を含みません。焼酎、泡盛、ウイスキーなどが蒸留酒にあたります。

ウイスキー

蒸留酒の方が、血糖値を上げにくい性質があるため、「飲みすぎない」という前提において、蒸留酒の方が体によいと言えるでしょう。

ただし、ポリフェノールをたくさん含んだ辛口の赤ワインもお勧めです。

赤ワイン

ポリフェノールは抗酸化作用を持っている上、ポリフェノールの一種である「プロシアニジン類」を摂取すると、腸内の善玉菌が増えます。

さらに、腸内細菌の「アッカーマンシア菌」に働きかけ、腸管のバリア機能を向上させ、脂質代謝異常や糖尿病の予防にもなります。

また、日本酒にはグルタミンやアルギニンなどの「アミノ酸」を多く含むため、保湿効果もあり、美肌につながることがあります。

日本酒

ただし、甘口の日本酒は辛口に比べて血糖値を上げやすいので注意が必要です。

<低糖質で血糖値を上げにくいお酒>

・蒸留酒(焼酎、泡盛、ウイスキーなど)

<体によい成分が含まれているお酒>

・赤ワイン

・日本酒

健康との相性を考えながらお酒を選択することも楽しみの一つとして下さい。

アルコールは体の水分を奪ってしまう

お酒を語る上で避けられないのが水の話です。

人間の身体の6~7割は水でできています。摂取した水のほとんどは小腸から吸収されるため、小腸の腸内環境は重要です。

また、食事も含めて1日の水分摂取量の目安は体重1㎏あたり0.04リットルとされ、体重60㎏の場合は2.4リットル、70㎏の場合は2.8リットルです(実際に飲む水の量としては、1日1.5~2.0リットル)。

しかし、アルコールは血管拡張作用があるため、腎臓の血流量が増えて、尿を増やす作用があります。

例えば、ビール1,000mlを飲むと、約1,200mlの尿が出るため、約200mlの水分を失うことになり、脱水が進行します。

脱水になると血液がドロドロになったり皮膚が乾燥したりと、健康と美容に大きなダメージを与えてしまいます。

お酒を飲んだ後は、コップ1~2杯の水を飲み、体に水分を補充させることが必要になります。

大量のアルコールは腸内環境を悪化させる

アルコールは胃で20%、小腸で80%が吸収され、肝臓に送られます。

お酒を飲み過ぎると小腸粘膜の働きが弱くなり、脂肪や水分、ナトリウムなどが吸収されにくくなります。

本来なら小腸で消化吸収されるべきものが吸収されずに大腸へ流れ込むので、お酒を飲んだ翌日は下痢をしやすくなる人も多いのではないでしょうか。

下痢をしやすくなる人も多い

おなかの弱い人は、飲む時は脂質や糖質が少なく、消化によいお酒やつまみを選択することが良いでしょう。

自宅に置いて、習慣的に大量のアルコールを飲んでいる人は、腸内フローラが乱れ腸内環境が悪化しやすく、免疫力の低下を招きやすいです。

またアルコールは肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)の働きでアセトアルデヒドという毒性物質になり、最終的には水と二酸化炭素となって排泄されます。

このアセトアルデヒドには発がん性があり、大腸癌のリスクも高くなりますので、過剰飲酒は避けましょう。

お酒を美味しく飲むための水のルール

自宅でお酒を飲む際に、ちゃんとチェイサーを用意していますか?

悪酔いや二日酔いをしないように、楽しくお酒をのむコツは水です。

(1)まず、お酒を飲む前にコップ一杯の水を飲む。

(2)水を飲んだあとに、お酒を飲み始める。

(3)お酒とチェイサーを一緒に少しずつ飲む。

(4)お酒をお変わりするときは、水も一緒にお変わりをする。

(5)寝る前にコップ1~2杯の水を飲む。

これらのポイントを実行して頂くことでアルコールによる脱水を防ぎながらお酒を楽しむことができます。

チェイサーに適した水の種類は?

チェイサーに適した水の種類は?

水と言っても様々な種類があり、大きく硬水と軟水に分けられます。

硬水はミネラル(マグネシウムとカルシウム)の含有率が多く、海外に多いですが、軟水はミネラルの含有率が低く、日本に多いです。

一般的に、カルシウムは蠕動運動を活発にして、免疫力の活性化や栄養素や水分の吸収促進に働き、マグネシウムは便を柔らかくすることで排便機能が高まるため、硬水の方が腸には良いとされています。

ワインなど硬水を使った洋酒のチェイサーには硬水を、日本酒など軟水を使ったお酒のチェイサーには軟水を合わせると、水同士の相性がよく美味しく飲めます。

これは食事にも当てはまり、例えば硬水で作られた食事には洋酒と硬水を合わせるとよいと言われています。

自宅用に自分でチェイサー用に水を購入する際は、天然のミネラルが補給できる「ナチュラルミネラルウォーター」と表記されている物を選びましょう。

アルカリ性のものならなおよいです。飲酒によっても活性酸素は発生するのですが、アルカリ性の水は活性酸素を抑える還元力を持っているからです。

水道水は塩素が含まれており、水の中では塩酸と次亜塩素酸として溶けており、弱い酸性です。酸性の水は殺菌作用があり、腸内細菌にとってはよくありません。

糖質ゼロやカロリーオフの実態

どうしても、“安くて手軽に酔える”ことから、コンビニの缶チューハイを自宅で愛飲している人は多いでしょう。

糖質ゼロやカロリーオフの実態

私も以前はよく飲んでおり、購入する際は、決まって「糖質ゼロ」を選択していました。しかし、店で飲むよりも悪酔いすることも多く、「糖質ゼロ」の割には、太りにくくなったと実感することもなかったです。

「糖質ゼロ」の飲料は、カロリーのない人工甘味料などを使用しているのですが、実は、この人工甘味料は脳の満足度を狂わせ、「もっと欲しい」という欲求を助長させしまうのです。

結果として飲酒の量が増えてしまいます。

さらに、味覚や脳の反応を鈍らせ、摂取量が積み重なると認知症につながる可能性があります。

また、国が定めている「食品表示基準」では、100mlの飲み物については、5キロカロリーまでは「カロリーゼロ」と表示でき、20キロカロリーまでは「カロリーオフ」「低カロリー」「カロリーライト」などと表示できるのです。

結局、たくさん飲んだり、食欲増進によりカロリー摂取が増えると、肥満につながっていくのです。

さいごに

自宅でお酒を飲むことでストレス解消をしている人もいると思います。それは決して悪いことではなく、むしろ大切な習慣です。

時には羽目を外して飲みたい時もある

しかし、(「結局、それか」と言われそうですが…)アルコールは適量の摂取が大事です。

NN型(お酒の強い人)のアルコールの上限は100gまで(ビール大瓶2本、日本酒2合)、ND型(お酒がほどほど飲める人)はビール中瓶1本、日本酒1合程度です。

ただし、時には羽目を外して飲みたい時もあるし、飲まずにはやっていられない時もあるでしょう。ですから、自宅にいる時ぐらい自分の飲みたい種類のお酒を選択したらよいと思います。

そんな時は、本日ご説明した

・お酒の種類

・お酒と水のルール

・チェイサー(水)の種類

を考えて、飲んで頂くと、悪酔いや二日酔いをしにくくなるはずです。

皆様、健康的に楽しめるような工夫をして、お酒との付き合い方を素敵なものにしていきましょう。

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いろいろナースから生まれた看護師の独立事例を冊子にまとめました。岩田看護師(34才女性)は、総合病院に勤めながら「看護師が働き続けられる職場を作りたい」と訪問看護での独立を志望。

訪問看護は未経験であり自己資金もゼロでしたが、ある経営者さんとの出会いにより新規立ち上げの訪問看護ステーションで将来の独立を前提に管理者として働くことが決定しました。 現在年収600万円を得ながら経営ノウハウを習得し、3年後の独立、理想の訪問看護ステーション作りに邁進されています。

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