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訪問看護の経営に行き詰まった時に検討すべき2つの選択肢とは

訪問看護ステーションは、超高齢社会の到来、医療費削減などの社会背景が追い風となり、成長が期待できる有望な事業としてこの10年、事業参入が相次ぎました。

しかし、最近では、競合ステーションの増加や看護師の採用難、資金不足などにより、経営に行き詰まってしまうステーションも少なくありません。

しかし、どうにか事態を打開して先へ進むための方法を模索されている経営者もいらっしゃると思います。

そこで今回は、ステーション経営を継続させるための方法について考えていきたいと思います。

経営者には先を見据えた経営判断が求められます

経営者の方々は、志をもって訪問看護ステーションを立ち上げ、スタッフや利用者の確保、労働環境の整備など今日まで様々な苦労や困難を乗り越え、運営を続けてこられたと思います。

しかし、訪問看護ステーションに限らず、会社経営を続けていれば、競争の激化、予期せぬ問題や資金繰りの悪化等により、いくら心を尽くし手を尽くしても経営が行き詰まることは、往々にして起こります。

もちろん、今後においても、何らかの打開策があればステーション経営を続けていく意思や気概は、持ってらっしゃると思います。

大切なのは、様々な情報をもとに先を見据えて適切な経営判断を下していくことです。

訪問看護の経営者が検討すべき打開策とは

地域に根差し、事業を展開する訪問看護ステーションとって重要なのは、出来る限りサービスを継続することです。

訪問看護ステーションとって重要なのは出来る限りサービスを継続すること

そのため、経営に行き詰った際、訪問看護の経営者が検討すべき打開策としては、M&Aによる事業売却、もしくは、事業戦略の見直しが挙げられます。

では、この2つの選択肢について詳しくみていきましょう。

(1)事業売却という選択肢

(1)事業売却という選択肢

訪問看護ステーションが、経営の行き詰まりを打開するための方法のひとつが、会社売却によって会社の経営権を譲る手法です。

実際に近年では、訪問看護ステーションのM&Aによる事業売却が活発化しています。(M&Aの提案の営業メールもよく届くと思います。)

経営に行き詰ってしまう状況において、このまま事業を継続するより、有望企業に事業売却することで、売却によって得られる資金を活用して、新たな事業を始められるといったメリットがあります。

ステーション運営の継続の面から見ても、売却先の経営経験や専門知識により、ステーションの経営戦略の改善や効率化、さらに新たな差別化策が講じられるなど、売却後、スタッフの待遇の向上や、地域への貢献度が増すことも期待できます。

(2)事業戦略の見直し~ナーシングホーム参入という選択肢

訪問看護ステーションが経営の行き詰まりを打開するための選択肢の二つ目として、これまでの事業戦略を見直し、新たな可能性にチャレンジしていくことです。

具体的には、これまで本コラムでもお伝えしている訪問看護との親和性が高いナーシングホームの併設し、経営の安定化を図る方法です。

事業戦略の見直し~ナーシングホーム参入という選択肢

ナーシングホームの参入は、訪問看護ステーション事業を維持継続しながら、安全に事業拡大ができるため、経営の行き詰まりの打開策として有望な選択肢となり得ます。

当然、初期投資は必要ですが、利用者一人当たりの単価が高額となる点や、看護師の入れ替わりが少なく、採用がやりやすいこと、新規利用者獲得の困難性が訪問看護ステーションに比べて低い点、またこれまで築き上げたリソースが有効活用できるなど、メリットが多くあります。

※訪問看護によるナーシングホームに関するコラムの一覧はこちらからご覧いただけます。

5つの視点からみる事業売却とナーシングホーム参入の比較

事業売却と事業戦略の見直し(ナーシングホーム参入)は、全く異なる方法ですが、いずれも開業地域で訪問看護サービスを継続させる方法としては一致しています。

では、経営者は、この2つの選択肢をどのような判断基準で絞っていけばいいのでしょうか。資金面、将来展望、社会的影響、労働力、およびリスクの5つの視点から比較を行いました。

(1)資金面

(1)資金面

はじめに、訪問看護経営に行き詰まったときの対策となる、事業売却とナーシングホームへの参入について、資金面において比較したいと思います。

事業売却では、素早く現金を得られ、経営の困難から解放されることになります。

例えば、年間3,000万円の営業利益がある訪問看護ステーションを売却する場合、営業利益の3年分に相当する9,000万円が概ねの売却額となります。

そこからM&Aの仲介手数料や税金を差し引くと、実際に手に得られる資金は約5,000万円程度となります。

(※この金額は、あくまで概算であり、事業価値の算出方法や仲介手数料、その他の要素によって異なります。)

一方で、ナーシングホームへの参入では、初期投資が必要ですが、入居者が安定すれば、床数によりますが、返済や経費、税金を差し引き、低く見積もっても年間1,000万円程度の安定した資金を生み出すことが可能です。

売却によって得られる資金が同額となる参入から5年経過したナーシングホームは収益力があるため、資金面を長期的に見るとナーシングホームの参入が有利な場合もあります。

(2)将来展望

(2)将来展望

次に、訪問看護経営に行き詰まったときの対策となる、事業売却とナーシングホームへの参入における将来展望の視点で比較したいと思います。

事業売却は、資金を迅速に調達できる上、訪問看護の経営から離れることによって、他のビジネスにリソースや時間を割り当てることが可能です。

そのため、新規事業の展開や既存事業の拡充など、事業の将来に明確な展望がある場合には、事業売却が適しています。

一方、ナーシングホームは、まだまだ競合が少ないブルーオーシャン領域であり、先行者利益を享受できる可能性があります。

また、訪問看護で築き上げたノウハウや看護師などの人的リソースを活用できる上、事業の収益源を多様化できます。

訪問看護とナーシングホームの組み合わせは、収益の安定性を高め、将来的な成長や持続可能なビジネス展開を図ることが期待されます。

特に、将来展望の視点では、事業売却の選択は、経営者が将来において注力したい事業分野に、売却によって得た資金や時間を注ぐ価値があるかどうかが鍵となります。

もし在宅医療・介護分野に注力すべきと判断した場合、ナーシングホーム経営はより将来の成功が期待できる可能性がある選択と言えます。

(3)社会的な影響

(3)社会的な影響

続いて、訪問看護経営に行き詰まったときの打開策としての、事業売却とナーシングホームへの参入について、それぞれの社会的な影響において比較したいと思います。

事業売却では、売却先の新しい経営陣が持つビジョンや経営ノウハウにより、訪問看護サービスの範囲や専門性が拡充され、地域の医療ニーズにより適応した高品質な医療・介護が提供されることが期待されます。

これにより、地域社会の在宅医療が活性化し、利用者やその家族にとってより充実したサービスが提供される可能性があります。

同時に、事業の活性化が新たな雇用機会の創出につながります。

ただし、新しい経営者が異なる経営方針を導入することで、既存のスタッフの中には、適応できず離職する人が出ることもあります。

これにより、雇用の安定性に不確実性が生じる可能性もあることを考えておく必要があります。

事業売却は地域社会に有益な影響をもたらす一方で、経営方針の変更に伴い社会的なマイナスの影響を及ぼす可能性があるといった、懸念される不確実な側面を有しています。

一方で、ナーシングホームの運営には看護師、介護士、調理スタッフなど多岐にわたる職種が必要とされ、雇用機会が増加することと同時に、配食やリネンなど付随する事業やサービスにも波及するため地域経済に対する影響が生まれます。

また、近年問題となっている、老々介護や単身高齢者の医療・介護難民といった社会課題の解決の一助となります。

さらに、ナーシングホームでは、高齢者が適切なケアを受け、状態が維持されることで、重度化予防や病院への頻繁な受診や入院が減少し、医療費の抑制という観点からも社会的な好影響があります。

どちらの選択肢も社会に少なからず影響を与えるものであり、経営者は慎重に検討し、地域社会との調和を重視しながら、長期的な視点で、訪問看護経営の行き詰まりの打開策を検討することとなります。

(4)労働力

(4)労働力

4つ目に、訪問看護経営に行き詰まったときの打開策としての、事業売却とナーシングホームへの参入について、それぞれの労働力において比較したいと思います。

事業売却では、新しい経営陣が引き継ぐことで、スタッフの雇用は維持できると共に、売却先が、同業種の経験を持っている場合、看護師などスタッフのスキルアップが期待できます。

しかし、その反面、新しい経営陣が持つ文化や価値観が異なる場合、組織内での変化への適応に時間がかかることや、不安を感じるスタッフが現れる可能性があり、労働力の安定に時間を有する可能性があります。

一方で、ナーシングホームでは、訪問看護の延長でありつつ、より高度な医療・介護サービスを提供するため、看護師や介護士は、より専門的なスキルを向上させ、新たな役割に適応することが期待されます。

また、ナーシングホームは施設内業務が中心となるため、スタッフにはチームワークの向上やコミュニケーション力、連携力が醸成されます。

このような要素により、ナーシングホームへの進出は労働力においても雇用の維持と、多岐にわたる能力が身に付くことへの期待が示唆されます。

(5)リスク

(5)リスク

さいごに、訪問看護経営に行き詰まったときの打開策としての、事業売却とナーシングホームへの参入について、それぞれのリスクの視点において比較したいと思います。

訪問看護ステーションの事業売却には多くの手間と労力が必要であり、それに割く時間と費用が大きなリスクとして挙げられます。

希望通りの売却先がなかなか見つからないケースや、売却先との条件の交渉が希望にかなわないことや、進んでいた交渉が破談してしまうこともあり、これらもリスクとなります。

また、売却先との交渉や調整の過程でなど、訪問看護ステーションの事業売却についてスタッフや関係者に漏れた場合、経営状況や経営者への不信感を招き、従業員が離職するなど事業に悪影響を与える可能性があります。

売却が成立した後も、新しい経営者の組織文化の変化や人事調整により、運営に不安定性が生じる可能性があり、リスクとなります。

また、新しい経営者が事業方針やサービス提供の方向性を変更することで、ケアマネージャや利用者や家族など関係者との不調和は生じる可能性があり、リスクとなります。

一方で、ナーシングホーム参入のリスクとして、施設の建設や設備投資には大きな資金が必要であり、事業の収益が見込まれるまでの期間がかかる可能性が挙げられます。

また、施設運営では厳格な規制が課されるため、法令順守や施設基準へ適応する必要があります。

さらに、ナーシングホームは、現在は競合が少ないものの、注目の事業分野であることから、競争激化となる時代がくるリスクも存在します。

どちらの選択肢もリスクは存在しますが、事前の調査や計画、リスクマネジメントを進めて、訪問看護経営の行き詰まりにおける打開策を検討することになります。

まとめ

今回は、ステーション経営が行き詰ったときに運営を継続させるために経営者が考えるべき方法についてお伝えしました。

訪問看護ステーションは、経営は時代の変化に伴い、これまでのような右肩上がりの成長が難しくなり、行き詰まってしまうケースも多くなってきました。

しかし、地域に密着して事業を展開をおこなう訪問看護ステーションに期待されているのは、出来る限りサービスを継続することです。

ステーションの運営を継続するためには、会社売却によって会社の経営権を譲ることもひとつの方法ですが、資金余力があるうちに事業戦略を見直し、ナーシングホーム経営に参入することも地域のニーズに応える有望な方法となります。

訪問看護ステーションのナーシングホーム参入事例について詳しく知りたい方は、以下のフォームよりお気軽にお問合せください。

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いろいろナースから生まれた看護師の独立事例を冊子にまとめました。岩田看護師(34才女性)は、総合病院に勤めながら「看護師が働き続けられる職場を作りたい」と訪問看護での独立を志望。

訪問看護は未経験であり自己資金もゼロでしたが、ある経営者さんとの出会いにより新規立ち上げの訪問看護ステーションで将来の独立を前提に管理者として働くことが決定しました。 現在年収600万円を得ながら経営ノウハウを習得し、3年後の独立、理想の訪問看護ステーション作りに邁進されています。

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