在宅医療ドクターズコラム(15)腸内環境を整える善玉菌の“育菌””に必要なシンバイオティクスとは

こんにちは、恵比寿こもれびクリニックの院長、西嶌暁生です。

人生100年時代と呼ばれる社会において、「笑顔で自分らしく、活き活きと自立して生きる」ためには「健康」が不可欠です。

このコラムでは、在宅の現場で日々奮闘している訪問看護師の皆様に向けて、時間や労力、コストをかけることなく、在宅でも手軽に始められる「健康・美容増進のコツ」をご紹介していきたいと思います。

本日は、インナーケアに必要な「腸活」の第5回として、腸内環境を整える善玉菌の“育菌”に必要な方法である「シンバイオティクス」についてお伝えします。

理想の腸内環境には善玉菌を育てる“育菌”がポイント

不要な毒素を排出し、しっかり代謝できるようになったら、次は腸内環境を整えて理想に近づけるフェイズに入ります。

以前お伝えしたように理想の腸内環境とは、腸内細菌のバランスが「善玉菌2:日和見菌7:悪玉菌1」であること。

腸内細菌のバランスが「善玉菌2:日和見菌7:悪玉菌1」であること

善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑えることで、腸内フローラが整います。

腸内環境を整えるには、この善玉菌をいかに育てるかの“育菌”が大きなポイントになります。

“育菌”に必要な「シンバイオティクス」とは?

「シンバイオティクス」は、腸内環境を改善するために有益な菌を摂取する方法です。

具体的には、「プロバイオティクス」と呼ばれる善玉菌と、その善玉菌のエサとなる「プレバイオティクス」を一緒に摂ることで、腸内フローラの健康を促進します

どちらが欠けても理想の腸内環境をつくることはできません。

次から詳しく解説しますが、このふたつをしっかり摂ることを2~3カ月は続けてください。そうすれば、腸内環境はかなり改善されるはずです。

プロバイオティクスで有益な腸内細菌を育てる

プロバイオティクスで有益な腸内細菌を育てる

プロバイオティクスとは、「ともに生きる」という意味で生きたまま腸に届いて体によい影響を与える微生物や、その微生物を含む食品を指します。

特に重要なものとして挙げられるのが「酪酸菌」「乳酸菌」「ビフィズス菌」の3つです。

これらが腸内での悪玉菌の発育を抑制し、善玉菌の住みやすい環境に整えてくれます

それぞれの菌種を含んだ具体的な食品の例を以下に紹介します。

酪酸菌

酪酸菌は、短鎖脂肪酸の一種である酪酸を産生することで知られています。酪酸は腸の粘膜細胞のエネルギー源となり、腸の機能をサポートする重要な役割を果たしま

酪酸菌の食品例

発酵食品: 納豆、キムチ、味噌

穀物: 全粒穀物(玄米、全粒粉パンなど)

海藻: わかめ、昆布

乳酸菌

乳酸菌は、糖を分解して乳酸を産生する細菌の総称です。乳酸菌は、腸内環境を整えるだけでなく、免疫力を高める効果も期待されています。

乳酸菌の食品例

乳製品: ヨーグルト、チーズ、バターミルク

発酵食品: 漬物(白菜漬け、きゅうり漬けなど)、ザーサイ

飲料: 乳酸菌飲料

ビフィズス菌

ビフィズス菌は、特に母乳育児中の乳児の腸内に多く存在する善玉菌です。腸内環境を整え、免疫力を高める効果が期待されています。

乳酸菌の食品例

乳製品: ビフィズス菌入りのヨーグルト

母乳: 母乳には、ビフィズス菌を増やす成分が含まれています。

発酵食品: ヨーグルト、チーズ、キムチ

乳酸菌とビフィズス菌は、同時に摂取することで相乗効果が見込めます。

酪酸菌は健康で長寿な人の腸に多いという研究結果から、別名〝長寿菌〞とも呼ばれています。

また、ビフィズス菌はそれを含む発酵乳を飲むと肌の角質層の水分量が保たれ、乾燥が抑えられるという報告もありますから、それぞれ2~3カ月を過ぎても、日常的に摂取する習慣をつけておくとよいですね。

「プレバイオティクス」で理想の腸内環境へ近づける

そして、プロバイオティクスの活動を促すのが「プレバイオティクス」です。

簡単に言うと、プレバイオティクスは「善玉菌をサポートするための食べ物」です。

プレバイオティクスは「善玉菌をサポートするための食べ物」です。

具体的には、オリゴ糖や食物繊維の一部を指します。

「プロバイオティクス」をサポートするだけでなく、ミネラルの吸収を促進したり、腸の炎症がもとで起こる病気の予防や改善にも効果があるとされています。

「プレバイオティクス」の代表的な食品の例を以下に紹介します。

プレバイオティクスの食品例

オリゴ糖を多く含む食品:玉ねぎ、キャベツなど

不溶性食物繊維を多く含む食品:果物、きのこ類、豆類、とうもろこしなど

水溶性食物繊維を多く含む食品:大麦、海藻など

食物繊維とは、ヒトの消化酵素で消化されない、食べもののなかにある難消化性の成分のこと。腸の腐敗物質の排出を促す掃除役で、善玉菌の働きを高めてくれます。

水に溶ける水溶性と、溶けない不溶性の2種類がありますが、どちらかにかたよることなく両方とも摂る必要があります。

善玉菌の“育菌”にシンバイオティクスが不可欠な理由

善玉菌の“育菌”にシンバイオティクスが不可欠な理由

それでは、善玉菌の「育菌」にシンバイオティクスが不可欠なのでしょうか?それは、以下の3つ理由が挙げられます。

(1)相乗効果

プロバイオティクス単体では、腸内の環境によっては定着しにくいことがあります。

プレバイオティクスを一緒に摂ることで、善玉菌が腸内に定着しやすくなり、その働きをより効果的に発揮することができます。

(2)持続性

プロバイオティクスを摂取しても、腸内の環境によっては一時的にしか増えないことがあります。

プレバイオティクスを継続的に摂取することで、善玉菌が安定して増殖し、腸内環境が改善されます。

(3)多様な善玉菌の増殖

プレバイオティクスには、様々な種類の善玉菌のエサとなるものがあります。

シンバイオティクスを摂取することで、多様な善玉菌を増やし、よりバランスの取れた腸内フローラを形成することができます。

まとめ

今回は、腸内環境を整える善玉菌の“育菌”に必要な方法である「シンバイオティクス」についてお伝えしました。

腸内細菌の善玉菌を「育てる」ためには、プロバイオティクスとプレバイオティクスの両方をバランス良く摂ることが重要です。

シンバイオティクスは、これらの効果を最大限に引き出すことができるため、腸内環境の改善を目的とする方にはおすすめです。

腸内環境を整えることは、健康な生活を送るために非常に重要です。食事から積極的にシンバイオティクスを取り入れ、腸内環境を整えましょう。

>保険外美容医療での看護師独立ストーリー

保険外美容医療での看護師独立ストーリー

石原看護師は、約1年前に美容エステと美容医療を組み合わせた独自メニューを提供する美容サロンを自宅で開業されました。
週に2回はクリニックに勤務しながら、子育てや家事と両立できるサロン運営を軌道に乗せています。

石原看護師がどのようにして時間や場所にとらわれない働き方を実現できたのか、その経緯、現在の状況、そして今後のビジョンについてお話をうかがいました。

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