看護師が美容医療で独立起業をする上で必要不可欠となる5つのポイント

近年、美容ブームや健康志向の高まりに伴い、都市部を中心に自由診療(保険適用外)を行う美容クリニックの開業が相次いでいます。

また個人事業主として独立し、クリニックや医師との連携しながら自宅サロン等で美容医療を提供する看護師も増えています。

しかしその一方、美容医療による健康トラブル増加や自由診療における医師の名義貸し等が大きな社会問題になっているのをご存じでしょうか。

今回は、近年の美容医療の現状と看護師が美容医療で独立起業をする上で知っておきたいポイントについてお伝えします。

近年の美容医療の現状と課題

近年、美容医療は、施術の種類が豊富になり、手軽に受けられるものとして、多くの人々に利用されるようになりました。

近年の美容医療の現状と課題について

特に、ボトックス注射やヒアルロン酸注入など、身体への負担が少ない施術は人気が高まっています。

美容医療の施術数の推移

美容医療の施術数の推移

出典元:厚生労働省「美容医療に関する現状について

また以前と比べると、若い年代を中心に美容医療に対する抵抗感や違和感も低下しており美容医療が身近になっていることが伺えます。

美容医療に対する抵抗感や違和感

美容医療に対する抵抗感や違和感

出典元:厚生労働省「美容医療に関する現状について

こうした状況を反映して、美容医療を提供する医師や医療機関の数も増加しています。

診療科別 医療施設従事医師数(2008年を1とした場合)

診療科別 医療施設従事医師数(2008年を1とした場合)

出典元:厚生労働省「美容医療に関する現状について

上記のグラフでは、2008年と比べて、診療所で主に「美容外科」を担当する医師は、3倍以上に増加してることがわかります。また、「形成外科」を担当する医師も、約2倍に増加しています。

しかし一方で、美容医療を受ける人が増えるにつれて、トラブルに遭ったという相談や、健康被害が発生するケースも増えています。

医療サービス及び美容医療に関する相談件数の推移

医療サービス及び美容医療に関する相談件数の推移

出典元:厚生労働省「美容医療に関する現状について

上記のグラフからは年々医療サービス及び美容医療に関する相談件数が増加していることがわかります。

美容医療は保険適用外であり、自由診療として提供されているため、他の医療行為と比較して、国や行政による指導や監査が十分に行われていないのが現状です。

さらに、美容医療は、標準化された治療法が確立されていない多様な施術が含まれており、法律の適用についても不明な点が多く、違法行為への対応が難しいという課題も指摘されています。

また、美容クリニックの中には、消費者保護に関する法律を十分に理解していないところもあり、不当な広告や消費者トラブルが発生してしまうケースも少なくありません。

問題視されている美容医療の現状とは

問題視されている美容医療の現状とは

1. 国による規制・法的な整備が不十分

自由診療であるため、国による規制・法的な整備が不十分なケースも多く、また違法行為を見つけるのが難しく、適切な指導ができない状況があります。

2. 標準化されていない施術が含まれている

美容医療の中には、臨床データが十分に蓄積されておらず、標準的な治療法が確立されていないものも多く含まれます。

同じ施術名でも、医師によって施術方法や使用する機器、薬剤などが異なっているケースが多く、そのため、施術効果やリスクも医師によって異なってきます。

3. 施術内容やリスクに関する情報が不足している

美容医療の施術は多岐にわたり、最新の技術や複合的な治療法も登場しています。しかし、施術に伴うリスクや合併症などの詳細な情報が十分な説明がなされていないケースも見られます。

また、医療機関によって提供される情報量や質に大きな差があり、患者が正しい情報を判断することが困難な状況にあります。

4. 専門的な知識や技術を持つ医師が不足している

美容外科医になるために必要な資格は医師免許のみです。特に美容医療は比較的新しい分野であり、十分な経験を持つ医師が不足している場合があります。

近年は、美容医療経験が浅い医師による施術が増加しており、技術不足が原因のトラブルも発生しています。

5. 消費者保護に関する法律が十分に守られていない

施術内容や費用、アフターケアなどの契約内容が、十分に説明されないまま契約を結んでしまうケースがあります。

美容医療に関連する相談内容

美容医療に関連する相談内容

出典元:厚生労働省「美容医療に関する現状について

一度契約を結ぶと、キャンセルが困難であったり、高額なキャンセル料が発生する事例も報告されています。

6. 施術後のトラブルや健康被害が発生するケースが増加

施術後のトラブルや、健康被害が発生するケースが増加しています。

施術部位の腫脹、出血、色素沈着などの一般的な合併症に加え、神経損傷、血管損傷など、重篤な合併症が発生するケースも確認されています。

また施術に使用する薬剤や材料に対するアレルギー反応が発生するケースも報告されています。

美容医療のうち「危害」と記録された相談件数の内容(2023年度)

美容医療のうち「危害」と記録された相談件数の内容(2023年度)

出典元:厚生労働省「美容医療に関する現状について

横行する自由診療における医師の“名義貸し”

横行する自由診療における医師の“名義貸し”

美容医療による健康トラブルに拍車をかけているのが自由診療における医師の“名義貸し”問題です。

今年、2024年5月29日に放映された「NHKクローズアップ現代」ではこの問題が取り上げられました。

番組では、医師以外でも設立可能な「一般社団法人」のクリニックが急増していることや、金銭目的で医師の「名義貸し」が横行している実態、さらに専門外の医師が美容医療の自由診療に参入している現状が明らかにされました。

参照元:NHKクローズアップ現代「追跡“自由診療ビジネス”の闇 相次ぐ美容・健康トラブルの深層

一般社団法人のクリニック 都市部で増 医師「名義貸し」証言も

厚生労働省は、美容医療に関するトラブルや健康被害の増加を受け、2024年1月に一般社団法人のクリニックの実態調査を開始しました。

この調査結果を踏まえ、今後、医師の名義貸しや無資格者による施術といった不正行為に対する規制強化や、医療機関への指導体制の強化が予想されます。

看護師が美容医療で独立起業をする上で知っておきたいポイントとは

看護師が美容医療で独立起業をする上で知っておきたいポイントとは

では、こうした美容医療の現状と課題を踏まえ、美容医療での独立起業を検討する看護師は、どんなことに注意すべきでしょうか。

前述のとおり、残念ながら昨今の美容ブームの裏では、顧客に対する不誠実な美容医療の施術が行われているケースも少なくありません。

独立看護師として顧客から信頼される質の高い美容医療サービスをおこなうためには以下の5つにポイントが必要となります。

(1)信頼できる医師との連携

看護師が独立し、個人事業主として顧客に美容医療サービスを提供するためには、美容医療としての実績および臨床経験がある信頼できる医師との連携が不可欠となります。

顧客に医療サービスを提供するだけでなく、施術後の経過や健康のことで悩む場合もいつでも専門医に相談ができます。

自らが提供する保険外・自費サービスのサービス品質は連携する医師に直結すると言っても過言ではありません。

(2)エビデンスに基づいた美容医療の提供

美容医療を自らの事業としていく場合、臨床データが蓄積され、エビデンスに基づいた安全で効果がある、本当に顧客におすすめできる治療・施術内容であることが非常に重要になります。

十分な科学的根拠が得られていない流行りの施術は、予期せぬ副作用や合併症のリスクが高まる可能性があります。

(3)患者への情報提供の充実

保険外・自費で行われる美容医療のため、患者が施術内容やリスクを十分に理解できるよう、看護師自身が分かりやすい情報を提供する必要があります。

その際、各提供メニューにおいて、クリニックで医師が行うレベルの知識と説明力が求められます。

(4)トラブルが生じた時に対応できるバックアップ体制

施術において火傷やアレルギー反応など、トラブルが生じた時に、迅速かつ適切な対応な対応が求められます。

速やかに連携医に報告し、協力して問題解決にあたることができるバックアップ体制が重要になります。そのため連携する医師との良好な関係性を構築しておく必要があります。

(5)提案力と最新知識の習得

保険内のサービスとは異なり、自費・保険外サービスの提供・収益化には、看護師一人ひとりの傾聴力や課題解決能力、プレゼンテーション能力といった提案力が必要となります。

また、美容医療は、日進月歩で進化し、次々と新たな製剤や機器や治療法が誕生します。より安全で効果的な治療を提供するために独立後も、新しい技術や治療法を学び続けることが重要です。

まとめ

今回は、近年の美容医療の現状と課題と看護師が美容医療で独立起業をする上で知っておきたいポイントについてお伝えしました。

以前よりも格段に美容医療が身近になり需要も高まっている反面、その裏側では様々な問題、トラブルが顕在化してきていることをご理解いただけたと思います。

看護師が美容医療で独立するためには、単に知識や技術の取得だけでなく、今後の変化を見据えた様々な準備や心構えが必要となります。

看護師の美容医療での独立をトータルにサポートします

いろいろナースでは、2024年7月より美容医療による独立看護師養成アカデミー「ヴィーナス(Be nurse)」を開講しました。

ヴィーナスでは、看護師が一人で提供できる「訪問型の保険外美容医療メニュー」をパッケージ化、美容医療に関する様々な知識や技術に加え、独立開業に必要なビジネスノウハウを学ぶことができます。

単に知識や技術の習得だけでなく、看護師が独立し、自らの事業として成長していけるように医師との連携も含め、独立を総合的にバックアップ、幅広く活躍できる独立看護師の育成・輩出を目指します。

第1回ヴィーナス(Be nurse)学習交流会

※2024年7月に開催した第1回ヴィーナス学習交流会に参加された看護師さんと西嶌先生。

ヴィーナスアカデミー一期生を募集しています。

美容医療による独立看護師養成アカデミー「ヴィーナス(Be nurse)」

現在、ヴィーナスアカデミーでは一期生を募集しています。

将来の独立を考えられている看護師さん、自費・保険外サービスの導入を検討されている訪問看護ステーションは、是非オンライン説明会にご参加ください。

ヴィーナス(Be nurse)アカデミーのオンライン説明会へは、下記の申し込みフォームより申し込みいただけます。

※説明会は、参加無料です。


※看護師の資格をお持ちの方のみご参加いただけます。


※法人様(訪問看護ステーションの経営に携わる方)は、実際に受講される看護師さんと一緒にご参加ください。


※受講料、カリキュラム等、詳細はオンライン説明会にてご案内いたします。

>保険外美容医療での看護師独立ストーリー

保険外美容医療での看護師独立ストーリー

石原看護師は、約1年前に美容エステと美容医療を組み合わせた独自メニューを提供する美容サロンを自宅で開業されました。
週に2回はクリニックに勤務しながら、子育てや家事と両立できるサロン運営を軌道に乗せています。

石原看護師がどのようにして時間や場所にとらわれない働き方を実現できたのか、その経緯、現在の状況、そして今後のビジョンについてお話をうかがいました。

無料でダウンロードできますので、看護師の独立にご興味のある方は、是非この機会にご一読ください。

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