訪問看護でつくる未来|いろいろナースは、看護師の独立と訪問看護ステーションの成功を支援する総合Webメディアです。

経営理念が訪問看護の事業成長の重要な要素となる理由

訪問看護ステーションの開設を考えるとき、多くの方々は希望に満ちた理想を抱き、それを訪問看護事業を通じて実現したいと強く願っています。その理想を具現化するためには、経営理念が不可欠です。

経営理念は、私たちの価値観や信念を明確にし、組織の方向性を示す重要な柱となります。

このコラムでは、経営理念の要素や作り方、そして採用における効果などについて詳しく解説します。また、経営理念が組織の信頼性や社会的貢献度に与える影響についても触れていきます。

コラムの最後に、訪問看護の経営理念の作成に役に立つ「訪問看護経営理念作成シート」を無料でダウンロードできますので、ぜひごらんください。

目次

訪問看護ステーションの経営理念とは

訪問看護ステーションの経営理念とは

経営理念は、経営者が事業を通じて何をしたいのか、なぜその事業を行っているのかという「想い」や存在意義を表現したものです。経営者が経営理念を持つことは、事業の目的や方向性を明確にするだけでなく、自身がなぜその事業を行っているのかを確認する重要な手段となります。

経営者は事業を始める際に、利益を追求するだけでなく、より大きな目的や価値を追求したいと考えます。このような想いは、経営者自身が何のために事業を行っているのかという目的を明確にするために重要です。経営者がなぜその事業を行い、何を実現したいのかを理解することで、自身の情熱やモチベーションを保ち、困難な状況や挑戦に立ち向かう力を持つことができます。

また、経営者が経営理念を持つことは、組織内外のステークホルダーとの共感や共鳴を生み出す重要な要素です。経営者の想いや存在意義が経営理念として明確に示されることで、従業員や顧客、地域社会などの関係者が経営者の思いに共感し、事業への参加や支持を得ることができます。このような共感や共鳴は、組織の結束力を高め、信頼関係を築くことにつながります。

経営理念がイメージやブランディングにも影響を与える理由

経営理念は、組織のイメージやブランディングにも影響を与えます。経営者の想いや価値観が明確に経営理念として示されることで、利用者や地域社会に対して組織の特徴やケアの姿勢が伝わります。

経営理念が魅力的であり、利用者や地域社会のニーズや期待に合致している場合、組織のイメージは向上し、信頼を得ることができます。これにより、利用者や地域からの支持や選ばれる存在となることができます。

経営理念が採用~人材獲得につながる理由

また、経営理念は組織に合った人材の獲得にも繋がります。経営理念が明確に示されている組織は、自身の価値観や目指す方向性に共感する人材を惹きつけることができます。

経営理念が採用~人材獲得につながる理由

人材採用の際に、経営理念を伝えることで、志向やモチベーションの合致した人材を集めることができます。組織内には経営理念に共鳴し、共同の目標を追求する仲間が集まることで、チームワークやパフォーマンスの向上にもつながります。

経営理念が他の訪問看護ステーションとの差別化と成長に繋がる理由

経営理念は、訪問看護ステーションが他の競合する組織と異なる存在であることを示します。経営理念に基づいた訪問看護ステーションの特徴や価値を明確に伝えることで、患者や関係者に対して独自性をアピールすることができます。

経営理念が明確であり、訪問看護ステーションがその理念に忠実に取り組むことで、持続可能な発展と競争力の確保が可能となります。経営理念を実践することによって、訪問看護ステーションは長期的な成果を生み出し、業界内での競争優位性を築くことができます。

経営理念が定まっていない場合に起こり得ることとは

経営者が経営理念を持たない場合、事業の目的や方向性が曖昧になり、組織の中での意思統一や行動の一貫性が欠ける可能性があります。また、困難や挫折に直面した際に、経営者自身が何を目指しているのかを見失ってしまう恐れがあります。

また経営理念が定まっていない場合、スタッフや関係者は法人の考えや価値観を共有することが難しくなります。経営者が自身の想いや存在意義を明確にせずに事業を進めると、組織内の意思統一や行動の一貫性が欠ける可能性があります。

経営理念が明確であれば、経営者は自身の想いを基にして事業を進めることができ、組織やステークホルダーとの連携も円滑に行えるのです。

また共通の理念に基づく意思統一や行動の一貫性が生まれることで、組織の結束力やパフォーマンスが向上し、目標の達成に向けた努力がより効果的になります。

訪問看護ステーションの経営理念の作り方

訪問看護ステーションの経営理念の作り方

では、訪問看護ステーションの経営理念は、どのように作ればよいのでしょうか。

経営理念の作り方は、自身の理念や価値観に基づき、訪問看護の提供において重視する価値や信念を具体化することです。それを組織全体で共有し、実際の行動指針や目標に落とし込むことが重要です。

訪問看護ステーションの経営理念の作り方を4つのステップに沿ってご紹介します。

経営理念作成の4つのステップ

STEP1.他のステーションの経営理念に目を通す

STEP2.「自分の夢」を書き出す

STEP3.「仲間と共有したい価値観」を書き出す

STEP4.「利用者・社会に向けたメッセージ」を書き出す

STEP1.他のステーションの経営理念に目を通す

STEP1.他のステーションの経営理念に目を通す

経営理念を作りにあたりまずは、他の訪問看護ステーションがどのような経営理念を作っているかを参考にすることをお勧めします。

他のステーションの経営理念に目を通すことには以下のような理由があります。

(1)アイデアの収集と参考にするため

他のステーションの経営理念を調査することで、さまざまなアイデアや視点を得ることができます。他のステーションがどのような理念を持ち、どのような価値を重視しているのかを知ることで、自身のステーションの経営理念の構築に役立つ参考となります。

(2)競争状況や市場動向の把握

他のステーションの経営理念を把握することで、競争状況や市場の動向を理解することができます。同じ地域や同じターゲット層を対象とするステーションの経営理念を比較し、自身のステーションがどのように差別化するかを考えることが重要です。

(3)ベストプラクティスの発見

他のステーションの経営理念を調査することで、成功しているベストプラクティスや良い取り組みを発見することができます。他のステーションの経営理念がどのように実践され、成果を上げているのかを学び、自身のステーションに適用することで効果的な経営を行うことができます。

(4)独自性と差別化の確保

他のステーションの経営理念を調査することで、自身のステーションがどのように独自性を持ち、差別化するかを考えることができます。他のステーションの経営理念に類似点がある場合、それに対して自身のステーションがどのような付加価値や特徴を提供するかを見出す必要があります。


他のステーションの経営理念を調査することは、アイデア収集や参考にするためだけでなく、競争状況や市場の把握、ベストプラクティスの発見、独自性と差別化の確保のためにも重要です。

STEP2.「自分の夢」を書き出す

訪問看護ステーションの経営理念を作るにあたり「自分の夢」を書き出すことで自身の夢やビジョンが具体化され、経営理念の策定やステーションの経営において明確な指針となります。

(1)ステーション開設理由

ステーションを開設する理由は、そのステーションがどのような価値や使命を持つかを示します。開設理由を書き出すことで、なぜ自身が訪問看護ステーションを始めたいのか、どのような社会的な貢献をしたいのかを明確にすることができます。

(2)提供したい訪問看護の特徴や価値

経営理念には、ステーションが提供したい訪問看護の特徴や価値を示すことが重要です。どのようなケアやサービスを提供し、どのような効果や利益を患者や地域社会にもたらしたいのかを明確にすることで、ステーションの方向性や目標が具体化します。

(3)訪問看護を通じた喜びや達成感

訪問看護を行うことで得られる喜びや達成感も重要な要素です。自身が訪問看護を通じて最も嬉しかったことや感動した出来事を振り返り、そのような経験をもたらす訪問看護を提供したいという思いを経営理念に反映させることができます。

(4)10年後の目標

経営理念には長期的な展望や目標を含めることも重要です。10年後の目標を設定することで、ステーションの成長や発展に向けた具体的な指針を示すことができます。これにより、ステーションの経営戦略や取り組みが方向性を持ち、目標達成に向けた計画的な行動を促すことができます。


これらのそれぞれの要素を深く考えることで、自身の情熱や使命感が経営理念に反映され、テーションの成長や発展に向けた戦略的な取り組みが可能となります。

STEP3.「仲間と共有したい価値観」を書き出す

「仲間と共有したい価値観」を書き出す

訪問看護ステーションの経営理念を作るにあたり「仲間と共有したい価値観」を書き出すことでステーションのメンバーが同じ目標に向かって結束し、協力し合うチームを形成することができます。

(1)方向性の共有と一体感の醸成

経営理念に盛り込まれる「仲間と共有したい価値観」は、ステーションの方向性や共通の目標に関連するものです。これを明確にすることで、ステーションのメンバーは共通の価値観や理念を持ち、一体感を持って行動することができます。それぞれのメンバーが同じ目標に向かって協力し、組織全体が一丸となって成果を上げることができるでしょう。

(2)チームビルディングと人材採用の基準

経営理念には、ステーションに求める人物像や価値観も含まれます。これを明確にすることで、ステーションのメンバーを採用する際の基準や選考プロセスに反映させることができます。共有したい価値観に共感し、それに合致した人材を採用することで、ステーションのチーム全体が一貫した文化や価値観を持つことができます。

(3)チームワークの重要性の認識

経営理念には、チームワークや協力の重要性が示されます。これを共有することで、メンバーは自身の役割や責任を認識し、チームとしての目標達成に向けた協力を行う意識を持つことができます。また、チームワークが重要であるという実際の出来事を共有することで、メンバーはその重要性を実感し、相互支援や連携を強化することができます。


このように経営理念に「仲間と共有したい価値観」を含めることは、ステーションの方向性を明確化し、メンバーの共感や協力を促す効果があります。

STEP4.「利用者・社会に向けたメッセージ」を書き出す

STEP4.「利用者・社会に向けたメッセージ」を書き出す

訪問看護ステーションの経営理念を作るにあたり「利用者・社会に向けたメッセージ」を書き出すことは、ステーションの特徴やケアの姿勢の明確化、社会貢献の実現、ステーションの想いや存在意義の表明に大きな意味を持ちます。

(1)ステーションの特徴やケアの姿勢の明確化

経営理念に含まれる「利用者・社会に向けたメッセージ」は、ステーションの特徴やケアの姿勢を伝える重要な要素です。これにより、利用者や地域社会はステーションの独自性や提供する価値を理解することができます。明確なメッセージは、利用者の信頼を得る上で重要な役割を果たし、ステーションの差別化や競争力を高めることにも繋がります。

(2)社会貢献の実現

経営理念には、ステーションが実現したい社会貢献も含まれます。これを明確にすることで、ステーションの事業活動やケアの提供が地域社会の健康や福祉にどのような影響を与えるのかを示すことができます。具体的な社会貢献の目標や取り組みを示すことで、利用者や地域社会に対して信頼と貢献度を高めることができます。

(3)想い・柱となる考え・存在意義の表明

経営理念には、ステーションの想いや柱となる考え、存在意義も反映されます。これはステーションがなぜ存在し、どのような目的や使命を持つのかを明確にするためのものです。メッセージを通じて、ステーションの情熱や使命感を伝えることができ、利用者や社会との共感や共鳴を生むことができます。


これらの4つステップを経て、実現したい想い・柱となる考え・存在意義を整理し経営理念を作成していきましょう。

経営理念が確定したら、スタッフや信頼のおける人々と意見を交換することも効果的です。経営理念は経営者が自由に選択できるものですが、共感を得られないものや伝わらないものでは意味がありません。

また、少し時間をおいて冷静に考えることも重要です。

経営理念は組織の基盤であり、頻繁に変更することは好ましくありません。経営理念を掲げる前に、一度落ち着いて再確認してみましょう。

経営理念を発信し実践に落とし込む方法

経営理念を発信し実践に落とし込む方法

経営理念は単に作成するだけでは意味がありません。それをスタッフと共有し、組織全体に浸透させる必要があります。このためには定期的な共有の機会を設けたり、目に見える場所に掲示するなど、積極的な取り組みが重要です。

さらに、具体的な行動指針や目標に経営理念を落とし込んでいくことも大切です。

以下にその方法と外部へのアピールについて説明します。

(1)行動指針の策定

経営理念を実現するための具体的な行動指針を策定しましょう。これは、組織内のすべてのメンバーが参考にして、日常業務や行動に反映させるためのガイドラインとなります。行動指針は、経営理念の要素を具体化し、組織の文化や行動基準を示すものです。

例えば、経営理念が「利用者中心の看護サービスを提供すること」であれば、行動指針として「利用者の個別のニーズに対応し、心のこもったケアを提供する」「コミュニケーションを重視し、利用者との信頼関係を築く」といった具体的な行動指針を設定することができます。

(2)行動目標の設定

経営理念を実現するためには、明確な行動目標を設定し、それに向かって取り組む必要があります。行動目標は組織全体や個々の部門・メンバーに対して具体的な成果や行動の方向性を示します。

例えば、経営理念が「地域社会への貢献を重視すること」であれば、行動目標として「地域の健康教育イベントへの積極的な参加とサポートを行う」「地域の福祉施設や団体と連携し、地域の看護ケアの質を向上させる」といった具体的な目標を設定することができます。

(3)内外へのアピール

経営理念を外部へアピールすることは重要です。これにより、利用者や地域社会からの信頼や共感を得ることができます。アピールする方法は多岐にわたりますが、以下の点に注目することが有効です。

ウェブサイトや広報資料に掲載する

経営理念をウェブサイトや広報資料に明確に掲載しましょう。これにより、訪問看護ステーションのビジョンや価値観を訪問者や潜在的な利用者に伝えることができます。経営理念に基づくメッセージや取り組みを具体的に説明し、利用者が共感しやすい形で情報を提供しましょう。

SNSやブログの活用

ソーシャルメディアやブログを活用して、経営理念に関連するコンテンツを発信しましょう。例えば、利用者の声やケーススタディ、地域イベントへの参加報告など、経営理念を実現する実践事例を共有することで、信頼性や関心を高めることができます。

パートナーシップとの連携

経営理念を実現するために、関連する組織や地域のパートナーとの連携を強化しましょう。共通の目標や価値観を持つ組織との提携や協力関係を築くことで、経営理念の実現に向けた取り組みを強化することができます。また、パートナーとの連携や協力関係を積極的に広報することで、地域へのアピールを高めることもできます。

まとめ

訪問看護ステーションの経営理念は、組織の方向性や存在意義を示す重要な要素です。経営理念が明確でない場合、組織やスタッフの方針や目標が一致せず、利用者や地域との連携や信頼性が損なわれる可能性があります。

経営理念を作る際には、経営者やスタッフの共感や参画を得ることが重要です。具体的な方法としては、情報共有や意見交換の場を設けることや、経営理念を具体的な行動指針や目標に落とし込むことが挙げられます。

また、経営理念を発信し実践するためには、内外へのアピールが必要です。ウェブサイトや広報物を活用して、経営理念を明確に伝え、組織の信頼性や社会的貢献度を高めることができます。

経営理念は組織の方向性を示す一本の大きな柱であり、経営において重要な存在となります。経営者やスタッフが共有し、実践に落とし込むことで、訪問看護ステーションはより一層の成果を上げ、利用者や地域に貢献することができるでしょう。

訪問看護ステーションの経営理念作成シートをプレゼント

訪問看護ステーションの経営理念作成シート

訪問看護ステーションの経営理念を作成する際に役に立つ「訪問看護ステーションの経営理念作成シート」を無料でプレゼントします。

下記の申込フォームよりお申込みください。

参考文献:新版 訪問看護ステーション開設・運営・評価マニュアル 第4版

>自己資金ゼロからの独立事例ダウンロード

自己資金ゼロからの独立事例ダウンロード

いろいろナースから生まれた看護師の独立事例を冊子にまとめました。岩田看護師(34才女性)は、総合病院に勤めながら「看護師が働き続けられる職場を作りたい」と訪問看護での独立を志望。

訪問看護は未経験であり自己資金もゼロでしたが、ある経営者さんとの出会いにより新規立ち上げの訪問看護ステーションで将来の独立を前提に管理者として働くことが決定しました。 現在年収600万円を得ながら経営ノウハウを習得し、3年後の独立、理想の訪問看護ステーション作りに邁進されています。

無料でダウンロードできますので、訪問看護での独立にご興味のある方は、是非この機会にご一読ください。

CTR IMG