こんにちは、恵比寿こもれびクリニックの院長、西嶌暁生です。
美容に興味のある看護師さんは、「マッサージピール」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
これは、ピーリング剤による施術だけでも、まるでレーザーの施術を受けたかのように肌が綺麗になる治療です。
本日は、「マッサージピール」とはどのような治療なのか、その仕組みから期待できる効果、そして訪問美容看護における自費・保険外サービスの可能性についてお伝えします。
フロスティングを起こさない「マッサージピール」
マッサージピールは、「PRX-T33」という成分を肌にマッサージしながら浸透させるピーリング治療です。
この「PRX-T33」はイタリア発のもので、医療機関のみで取り扱うことができます。
従来のトリクロロ酢酸(TCA)を使ったピーリング治療では、肌の表皮を剥離し、再生を促すことが目的でした。
しかし、この方法では施術後に「フロスティング」と呼ばれる皮膚の皮むけが生じることが多く、いわゆる「ダウンタイム」が発生してしまう点が課題でした。
(従来のピーリング剤による皮むけ)
いわゆる「ダウンタイム」であり、そのような症状は患者さんにとってあまり好ましくありませんでした。
この問題を解決するため、イタリアのDr. Rossana Castellana氏が10年にわたる臨床研究を経て開発したのが「PRX-T33」です。
この新しいピーリング剤は、高濃度トリクロロ酢酸(TCA)に低濃度の過酸化水素(H2O2)を組み合わせることで、フロスティング(皮むけ)を起こさずに真皮の深層に働きかけ、コラーゲンの生成を強力に促進する画期的な治療法です。
マッサージピール(PRX-T33)の成分構成
マッサージピール(PRX-T33)は3つの成分で成り立っています。
(1)高濃度のトリクロロ酢酸(TCA)33%
・真皮を刺激し、角化細胞の増殖因子を活性化
・コラーゲンの生成を促進
(2)低濃度の過酸化水素(H2O2)
・TCAピーリング(剥離)作用から表皮を保護する働き。
・刺激を繰り返し生じさせて、作用効果を高める。
(3)コウジ酸5%
・キレート作用があり、炎症後色素沈着(PIH)を防ぐ。
・チロシナーゼにより阻害作用により、メラニン の沈着を抑える。
本稿の読者は、看護師さんや医療従事者が多いと思うので、さらに詳しく作用機序を説明します。
トリクロロ酢酸(TCA)による肌の活性化・再生作用
トリクロロ酢酸が皮膚の組織に活性化・再生作用(バイオリバイタライジング作用)をもたらす経緯は主に3つあります。
1つ目は、成長因子の増殖です。「血小板由来増殖因子(PDGF-B)」、「トランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β1)」、「TGF-α」、「血管内皮増殖因子(VEGF)」などが挙げられます。
2つ目は、炎症と非炎症性のインターロイキンによるバランスの取れた炎症作用です。「IL-1およびIL-10」が関与しています。
3つ目は、皮膚ストレス応答システム(SSRS)です。
これらは、日本の研究グループの2012年の発表により、トリクロロ酢酸が皮膚のコラーゲン形成を誘導する機序が特定されたことが寄与しています。
過酸化水素(H2O2)の役割
過酸化水素(H2O2)にはトリクロロ酢酸によって生じた作用に対する皮膚の反応を促進させる作用があります。
真皮乳頭層に到達したH2O2は真皮の表層を通過する際にトリクロロ酢酸の水素イオンのもつ刺激の強い作用を低減し、角質層のタンパク質の編成を防いで水分を放出します。
さらに、H2O2は創傷治癒を促進させたり、線維芽細胞増殖因子を増殖させたりします。
以上の作用機序をまとめると、下記ようなイメージになります。
これらマッサージピールの複雑な作用機序の特徴を、簡潔な文章にまとめると、
「マッサージピール(PRX-T33)は、33%のトリクロロ酢酸(TCA)によって皮膚に害を及ぼすことなく、線維芽細胞増殖因子の発現を増強し、過酸化水素(H2O2)によって、その効果を促進し、コウジ酸によってメラニン色素を減少させる。」
となります。
マッサージピールの適応
マッサージピールの施術部位は顔のほか、首、デコルテ、バスト上部、手の甲など全身に可能です。
・光老化や加齢に伴う肌老化(シミ、シワ、たるみ)
・首の老化(シミ、シワ)
・手の甲の老化(シミ、シワ)
・メラニン色素の沈着
・傷跡
・妊娠線
・バストの引き締め
・ニキビ跡、など
マッサージピールは訪問美容看護との相性がgood!
皆様は、訪問美容看護でアンチエイジングや美容医療を提供する際のポイントは何だと思いますか?
私は、治療を提供する看護師の立場から見た場合のポイントは、下記の6つだと思っています。
①エビデンスがあり、効果が期待できる治療
②トラブルが少なく、安全な治療
③1回あたりの治療単価が高い
④1ヶ月に1回程度、継続して行える治療
⑤施術時間が長すぎない
⑥他の治療との併用が可能
実は、マッサージピールは、これらの条件をほぼ満たしており、新しい保険外看護のサービスとして、ぜひお勧めしたいのです。
マッサージピールと相性のよい併用療法
下記に列挙するものは、マッサージピールと相性のよい治療です。
・マイクロニードル(ダーマペン)
・高周波(RF)
・フラクショナルレーザー
・ヒアルロン酸注入
・多血小板血漿(PRP)など
そして、この中で、訪問看護として展開していく中で最も良いものは、「マイクロニードル(ダーマペン)」との併用です。
実際の使用法やメリット、利益率、ビジネスモデルなどの詳細に関しては、ヴィーナス(Be nurse)のセミナーでお伝えしていきます。
マッサージピールを訪問美容看護で行うためには
実際にマッサージピールを患者さんに提供するにあたり、いくつか必要なステップがあります。
STEP1 マッサージピールの知識を習得する。
STEP2 マッサージピールを行う技術を習得する。
STEP3 医師やクリニックと連携する。
STEP4 集患する。
まずは、STEP1を通して、将来的に本気で訪問看護として提供していきたいなら、STEP2〜4をサポートする体制も準備しております。
おわりに
マッサージピール(PRX-T33)は世界で初めて、フロスティング(皮膚の皮むけ)を起こさないピーリングとしてイタリアで誕生し、日本でも広まってきました。
そして、訪問美容看護と相性のよい治療であり、応用の幅も広いです。自分で独立して頑張っていく看護師さんを支えるメニューの1つになると思います!
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