訪問看護は、その名の通り利用者の自宅や施設などを「訪問」する移動が伴う仕事です。ほとんどの看護師さんが訪問看護の経験がなく入職するため、管理者としてはこの訪問という行為に対して様々な注意を払う必要があります。
今回は、訪問看護の管理者向けに、訪問ルート管理についてお伝えします。
訪問ルートを決めるに注意すべきポイント
最初に訪問ルートを決める際に注意すべきポイントをお伝えします。
訪問看護ステーションの管理者として訪問エリアおける訪問ルートは、どのように決めればいいのでしょうか。
患者さんの状態に合わせた訪問ルートの作成
訪問看護は、患者さんが自宅で受けられる医療や介護を提供するサービスです。患者さんの状態によって、一人ひとりに合わせた訪問ルートを作成することが必要です。たとえば、容体が悪化している患者さんには、できるだけ早く訪問する必要があるため、優先的に対応する必要があります。
交通事情を考慮した訪問ルートの作成
訪問エリアによっては、交通渋滞や駐車場不足などの問題が発生することがあります。このため、交通事情を考慮した訪問ルートを作成することが重要です。また、自転車を使用する場合は、自転車専用の道路や歩行者用の道路を利用することが望ましいです。
効率的な訪問ルートの作成
訪問看護は、多くの患者さんを訪問するためには、効率的な訪問ルートの作成が必要です。訪問ルートを最適化することで、時間やコストの削減ができます。具体的には、近隣の患者さんをまとめて訪問したり、訪問地域を地図にプロットして最短距離を計算するなどの方法があります。
定期的なルートの見直し
訪問エリアや患者さんの状態は常に変化します。定期的に訪問ルートを見直し、最適なルートを確保することが重要です。また、患者さんからの要望や意見を取り入れることで、より良い訪問ルートを作成することができます。
訪問看護の不安を軽減する訪問ルート管理とは
冒頭で述べてように、初めて訪問看護で働く看護師さんにとって、病院勤務では、ほぼ無かった訪問という行為は、訪問看護の仕事に不安を感じてしまう要素の一つです。
訪問看護における自動車訪問での不安を軽減させるためには、管理者による適切な訪問ルート管理が必要です。
(1)訪問エリアの地理的な特徴を把握する
訪問エリアの地理的な特徴を把握し、訪問先となるお宅の場所をマップ上にピンポイントで把握することが重要です。また、訪問先の周辺にはどのような道路があるか、交通量はどの程度かなども調査しておくことが望ましいです。
(2)最適な訪問ルートを考慮する
訪問先の場所を把握したら、最適な訪問ルートを考慮する必要があります。最短距離や最短時間だけを重視するのではなく、渋滞の状況や道路の交通量、駐車場の有無なども考慮して、最適な訪問ルートを設定しましょう。
(3)ルート案内を提供する
訪問ルートを考慮したら、看護師にその情報を提供することが必要です。ナビゲーションシステムやルート案内図を提供することで、従業員がスムーズに訪問先に到着できるようになります。
(4)ルートの修正や再設定に柔軟に対応する
時には、渋滞や工事などの影響で訪問ルートを修正したり、再設定したりする必要が生じることがあります。その場合、素早く対応できるように、スタッフ同士でのコミュニケーションや、訪問ルート管理の責任者を決めておくことが大切です。
看護師が初めての訪問看護でも安心して訪問に臨めるよう、しっかりと訪問ルートの管理を行いましょう。
訪問看護で使用する車・自転車の選び方
訪問看護の訪問には、主に軽自動車や電動自転車(主に東京都内のステーション)が使用されます。
管理者としてどのような車・自転車の選び方を用意すればよいのでしょうか。
訪問看護で使用する車を選ぶポイント
荷物の積載量
必要な医療器具や薬剤、看護師の持ち物などを積載できる大きさが必要です。
走行性能
よく走り、燃費が良く、交通事故を起こしにくい車が望ましいです。
アクセス性
患者様のお宅にスムーズに入り、出ることができる車が望ましいです。
快適性
訪問看護師が快適に運転できるよう、エアコンや座席の調整機能、車内の清潔さなども重要です。
コスト
維持費や修理費が安く、コストパフォーマンスに優れた車が望ましいです。
訪問看護で使用する車の購入方法
訪問看護ステーションで使用する車は、自社所有であれば新車を購入することもできますが、中古車を購入することもできます。
中古車の場合、販売店や中古車市場、オークションなどから購入することができます。車種や車両の状態、価格などを比較し、必要な書類や点検、整備なども確認しましょう。
また、車両の保険や車検、税金なども忘れずに確認しておくことが重要です。
ナビの使用の際の注意点
訪問看護で使用する車や自転車にナビを使うことは、訪問先に迷わずに到着するために役立ちます。ただし、ナビが必ずしも正確であるとは限らないため、訪問先の住所や地図を事前に確認し、ルートを頭に入れておくことが重要です。
また、ナビを使用する場合でも、交通事情や道路状況に合わせて臨機応変に対応することが求められます。
訪問先の方にも事前に到着予定時刻を伝え、迷った場合は迅速に対応できるようにすると良いでしょう。
訪問看護に適した自転車の特徴
人口が密集する東京都内は、自動車よりも自転車の方が訪問に適しているエリアが多くあります。
訪問看護において使用する自転車は、患者様宅の近隣を移動するために使用することが多いため、機動性や乗り心地が重要です。
電動アシスト自転車
電動アシスト自転車は、通常の自転車よりもはるかに少ないエネルギーで移動することができるため、長時間の移動や坂道など訪問看護師が移動しても疲れにくく、仕事に専念できます。
書類や機器などの積載力
訪問看護師が必要な書類や機器を持ち運べるよう、大きめカゴがついたものが便利です。
真夏や雨の日など天候が悪い日に自転車を使用する場合には、以下の点に注意することが重要です。
真夏の場合
日焼けや熱中症にならないように、帽子や日焼け止め、こまめな水分補給が必要です。また、服装も蒸れにくく通気性が良く、動きやすいものを選ぶようにしましょう。
雨天の場合
防水加工のあるレインウェアを着用し、防水のバッグやポーチに業務に必要なものを入れて濡れないようにします。また、路面が滑りやすくなるため、自転車の制動力にも注意が必要です。
天候が悪い場合には、業務の内容や地域の交通事情に合わせて、自転車以外の交通手段を検討することも必要です。
交通規則の順守
訪問看護師が車や自転車を使用して訪問する場合、交通規則に従うことが必要です。以下に気をつけるべきポイントをいくつか挙げます。
駐車許可証の取得
市区町村によっては、訪問看護師が駐車するためには駐車許可証が必要な場合があります。駐車許可証が必要な場合には、必ず取得するようにしてください。
違法駐車に注意
訪問看護師が車を駐車する場合、違法駐車にならないように注意が必要です。路上駐車はできるだけ避け、有料駐車場や訪問先の駐車場を利用するようにしましょう。
自転車の交通ルールの遵守
訪問看護師が自転車を使用する場合、自転車の交通ルールを守ることが大切です。信号や標識に従い、歩行者や車両の通行を妨げないように気をつけましょう。
安全運転の徹底
訪問看護師が車や自転車を使用する場合、安全運転を徹底することが重要です。交通事故に遭わないように、スピードを抑えたり、周囲の状況に注意を払うようにしましょう。
訪問中の交通事故などのトラブルへの対策
訪問看護の管理者が従業員の看護師の交通事故などに備えるためには、以下のような対策が考えられます。
交通ルールの周知徹底
訪問看護師に対し、交通ルールや交通事故の危険性について周知徹底することが大切です。交通ルールを遵守することで、交通事故のリスクを低減することができます。
運転免許証の確認
訪問看護師が車両を運転する場合には、必ず運転免許証を確認し、有効期限内であることを確認してください。
定期的な健康チェック
訪問看護師には、定期的な健康チェックを実施することが必要です。適切な健康状態でなければ、安全に運転することができません。
車両の点検・整備
車両が安全に運転できる状態であるかどうか、定期的に点検や整備を行ってください。タイヤの摩耗や空気圧、ブレーキの効き具合など、安全性に影響を与える要因についても確認することが重要です。
交通事故に備えた保険の確認
万が一の事故に備えて、訪問看護師に適切な保険が加入されているかどうか確認してください。保険の内容や保険金額などについても把握しておくことが必要です。
事前の研修や事故対応マニュアルの作成
訪問看護の看護師には交通事故やトラブルに対処するための研修の実施や交通事故対応マニュアルを作成しておくとよいでしょう。
安全に訪問するための事前研修の実施
訪問看護未経験の看護師には、安全運転のルールや車や自転車の点検方法、交通事故時の対応方法、患者さん宅でのトラブルに対応する方法など、様々な事象についてのトレーニングが必要となります。
最初に安全に訪問するための事前研修の実施しましょう。
これらの研修によって、看護師が安全かつスムーズに訪問を行い、万が一の際にも適切に対処することができるようになります。
また、1回だけでなく定期的に研修を実施し、安全教育や運転技術の向上など、予防的な対策をおこないましょう。
事故発生時の対応マニュアルの作成
訪問看護において自動車や自転車を使用する場合、万が一事故が起きた際には、スムーズかつ適切な対応が求められます。
そのため、訪問看護ステーションの経営者や管理者は、事故発生時の対応マニュアルを作成し、全従業員に周知徹底することが重要です。
対応マニュアルには、以下のような内容が含まれると良いでしょう。
・事故発生時の連絡先(警察、救急車、保険会社など)
・現場での対応方法(被害者の安全確保、現場写真の撮影、証言者の確保など)
・事故後の手続き(保険会社への連絡、書類の提出方法など)
・従業員への指示(事故発生時の報告方法、現場からの離脱方法など)
直行直帰のための車両の貸し出しの注意点
最近では、看護師の効率的な働き方を考慮し、自宅から直接利用者宅に向かいステーションに寄らずに帰宅する)直行直帰制度を取り入れる訪問看護ステーションも増えてきています。
訪問業務で使用する車両を従業員である看護師に貸し出す際に注意すべきポイントをお伝えします。
車両の管理
車両管理責任者を設け、貸し出し前後に車両の点検やメンテナンスを行い、車両状態を常に管理しましょう。また、貸し出し前には、車両の使用方法や事故対応などについて指導し、貸し出し時には使用者に責任を持ってもらうようにします。
保険の確認
貸し出す車には、必ず自賠責保険や任意保険をかけておきましょう。また、貸し出し時には、使用者が適切に運転できるかどうか確認し、必要に応じて運転免許証の確認をします。
使用者の選定
車両を貸し出す際には、使用者の選定にも注意が必要です。運転経験や運転技術、交通ルールの知識などを確認し、適切な人物に貸し出しましょう。
事故対応の確認
貸し出す際には、事故発生時の対応策を確認しておきましょう。使用者には、事故発生時の緊急連絡先や保険会社の連絡先、警察への報告方法などを指導します。
貸し出し期間の制限
車両の貸し出し期間にも制限を設けましょう。長期間にわたって貸し出す場合には、途中で点検やメンテナンスを実施するようにし、車両の状態を確認してから再度貸し出しを行います。
以上のような点に注意して、訪問看護ステーションの車の貸し出しを行いましょう。
まとめ
今回は、訪問看護における訪問ルート管理について、訪問の不安を軽減する方法、車両、自転車の管理、安全に対しての取り組みなどについてお伝えしました。
従業員が安全かつ安心して業務に従事できるよう、適切な対策を講じることも管理者の重要な業務になります。
今回の記事が訪問看護の管理者の参考になれば幸いです。
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