訪問看護の営業活動は、利用者を獲得し、自社のサービスや利点を広く知ってもらうための重要な取り組みです。
訪問看護の営業活動は、一般的な営業活動とは異なり、自分たちの存在や提供するサービスを広く知ってもらうことに重点を置いています。
今回は、訪問看護の営業活動をテーマに主な営業先との関わり、事前準備、成果を出すための営業のポイントなどについてお伝えします。
訪問看護の営業の目的とその意義
言うまでもありませんが、訪問看護ステーションの営業は、在宅で医療・看護を必要とする利用者を獲得することを目的としています。
営業活動を通じて居宅介護支援事業所のケアマネジャーや病院のソーシャルワーカーなどに訪問看護ステーションの存在を覚えてもらい、利用者の紹介や関係構築を図ります。
また訪問看護は地域の医療・介護資源との連携が不可欠です。
営業活動は地域の病院、クリニック、地域包括支援センターなどとの連携を促進し、継続的なケアの提供や利用者のニーズへの対応の円滑化にもつながっているのです。
5つの主要営業先と訪問看護ステーションとの関わり
訪問看護ステーションは、主に以下の5つが主要な営業先となります。
(1)居宅介護支援事業所
(2)地域包括支援センター
(3)病院の地域医療連携室・退院支援室
(4)クリニック・診療所・在宅療養支援診療所などの医療機関
(5)各都道府県の訪問看護協会
それぞれが営業先として訪問看護ステーションどのような関わりを持っているのかを解説します。
(1)居宅介護支援事業所
居宅介護支援事業所は、在宅での介護や生活支援を行う施設です。彼らは高齢者や障害者などの利用者を対象に、ケアプランの策定やサービスの提供、相談支援などを行います。訪問看護ステーションの営業先として、居宅介護支援事業所には、訪問看護の利用を検討している利用者やその家族、ケアマネージャー以外の専門スタッフが在籍しています。
営業の際には、訪問看護のサービス内容や利点、協力体制などを説明し、訪問看護の利用のメリットを伝えることが重要です。また、連携や相互の情報共有など、地域のケア連携に貢献することも期待されます。
(2)地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者や障害者などの地域住民を支援するための施設です。彼らは生活相談やケアプランの作成、介護サービスの調整・提供、地域の情報提供などを行っています。訪問看護ステーションの営業先として、地域包括支援センターは重要な存在です。
営業の際には、訪問看護の役割や利点、提供するサービスの内容や特徴を説明し、地域住民の健康管理や在宅生活の支援における訪問看護の役割を伝えることが重要です。また、地域連携や相互の情報共有、地域でのネットワーク形成などにも積極的に取り組むことが求められます。地域包括支援センターとの連携を強化することで、地域の在宅医療や介護の質の向上に貢献できます。
(3)病院の地域医療連携室・退院支援室
病院の地域医療連携室や退院支援室は、地域との連携を図りながら患者の円滑な退院や在宅復帰を支援する部署です。訪問看護ステーションの営業先として、これらの室は重要なパートナーとなります。
営業の際には、訪問看護の役割や利点を病院の地域医療連携室や退院支援室に対して明確に伝えることが重要です。訪問看護ステーションの提供する在宅医療や看護サービスの充実度、専門性、柔軟性を強調しましょう。また、患者の安全な退院や在宅での健康管理における訪問看護の役割を具体的に示し、連携を通じて医療チームの一員として貢献できることをアピールします。
さらに、地域医療連携室や退院支援室との情報共有や連携体制の整備も重要です。相互の連絡手段や情報提供の方法、連携プロセスなどについて明確に話し合い、スムーズな連携を確保しましょう。定期的な面談や会議に参加し、地域医療連携の一翼を担う姿勢を示すことも大切です。
訪問看護ステーションの営業先として病院の地域医療連携室や退院支援室との連携を強化することで、患者の継続的なケアや地域での医療連携の質の向上に貢献できます。
(4)クリニック・診療所・在宅療養支援診療所などの医療機関
クリニック、診療所、在宅療養支援診療所などの医療機関は、地域の一次医療を担う重要な拠点です。訪問看護ステーションの営業先として、これらの医療機関との連携は非常に重要です。
営業の際には、訪問看護ステーションの役割と利点を明確に伝えることが重要です。訪問看護が提供する在宅医療や看護サービスの充実度、専門性、柔軟性を強調しましょう。地域の医療機関が抱える在宅患者のニーズや課題に対して、訪問看護がどのように貢献できるかを具体的に示します。
また、相互の連携体制の構築も重要です。訪問看護と医療機関の連携における情報共有や連絡手段、連携プロセスを明確に話し合いましょう。医療機関の医師や看護師との定期的な連絡や相談、情報提供の仕組みを確立し、患者のスムーズなケア移行や継続的な在宅医療の実現に向けて協力します。
また、医療機関のスタッフへの教育や情報提供も重要な要素です。訪問看護の役割やサービス内容、連携方法について、わかりやすく説明しましょう。医療機関のスタッフとのコミュニケーションを通じて、お互いの専門性や役割を尊重し、連携を円滑に進めることが重要です。
訪問看護ステーションの営業先として、医療機関との連携を強化することで、地域の医療連携の質の向上や患者の継続的なケアの実現に貢献できます。
(5)各都道府県の訪問看護協会
各都道府県の訪問看護協会では、訪問看護の普及や情報提供、専門職の育成、地域との連携などを通じて訪問看護の発展に取り組んでいます。
営業先として訪問看護協会にアプローチすることで、訪問看護の関連情報や連携の機会を得ることができるでしょう。
訪問看護の営業にあたり事前に準備するものとは
訪問看護の営業にあたり事前に用意するものをご紹介します。
(1)営業先リスト
営業活動を効果的に進めるために、訪問看護ステーションのターゲットとなる営業先のリストを作成します。このリストには、病院、クリニック、介護施設、地域包括支援センターなど、訪問看護に関連する機関や組織を含めます。リストは地域ごとに作成し、営業の優先順位やアプローチ方法を考慮して整理します。
(2)ホームページ
訪問看護ステーションの公式ウェブサイトは、営業先や潜在的な利用者に対して情報提供やアピールを行う重要なツールです。ホームページでは、訪問看護のサービス内容や特徴、スタッフの紹介、お問い合わせ先などをわかりやすく掲載します。ユーザーフレンドリーなデザインや使いやすいナビゲーションも重要です。
(3)トークスクリプト
看護師さんが営業活動を行う際に使用するトークスクリプトは、営業のプロセスやメッセージを統一し、一貫性のあるアプローチを実現するためのツールです。トークスクリプトでは、訪問看護の利点やサービスの説明、成功事例などを組み込み、スムーズなコミュニケーションと効果的な伝達をサポートします。ただし、自然な会話の流れを大切にし、相手の反応や質問に柔軟に対応することも重要です。
これらのツールは訪問看護ステーションの営業活動において役立ちますので必ず事前に用意しましょう。
営業に持っていく訪問看護における営業ツール
次に実際に営業に持っていく訪問看護における営業ツールをご紹介します。
(1)パンフレットやリーフレット
訪問看護ステーションのサービスや特徴を簡潔にまとめた資料です。訪問看護の利点や提供されるサービスをわかりやすく伝えるために活用します。
(2)名刺
訪問看護ステーションの連絡先や担当者の情報が記載された名刺です。営業先との連絡や交流の際に渡し、連絡先の確保や印象付けに活用します。
(3)訪問看護ステーションの紹介資料
訪問看護ステーションの事業所概要、特徴、サービスの流れ、料金表、メンバー紹介などを一つにファイリングした紹介資料です。営業先から利用者の紹介を受ける時に必要な情報になります。
これらの営業ツールは、訪問看護ステーションの特徴や利点をわかりやすく伝えるために役立ちます。営業活動の際には、目的や営業先のニーズに合わせて適切なツールを選び、効果的に活用することが重要です。
また、ツールの作成や準備にあたっては、プロの手を借り出来るだけクオリティの高い資料を作成することも他事業所との差別化にもつながります。
※訪問看護の営業で使えるパンフレットやチラシテンプレートは、こちらのページより無料でダウンロードできます。
営業力と高める!効果的な訪問看護営業を行うための4つのポイント
(1)笑顔で元気の良い挨拶を心がける
基本的なことですが、訪問看護の営業活動において、笑顔で元気の良い挨拶は非常に重要です。
笑顔で元気の良い挨拶は、最初の接触での印象を左右します。相手に好印象を与えることで、信頼関係を築きやすくなります。笑顔は温かさや友好性を伝えるため、相手があなたに興味を持ち、話を聞きたくなるでしょう。
具体的なポイントとしては、以下のことに注意して挨拶を行いましょう。
・目を合わせて笑顔で挨拶する。
・声のトーンに明るさや元気さを持たせる。
・相手の名前を覚えて呼びかける。
・自然な姿勢を保ち、身体言語でも笑顔や好意を表現する。
・言葉遣いや態度に丁寧さと尊敬を示す。
笑顔で元気の良い挨拶をすることで、相手との距離感を縮め、関係をより深めることができます。
(2)時間の制約を考慮し、伝えたいことを短く簡潔に話す
営業先でのケアマネージャーなどの医療・介護の関係者の時間は限られていますので、伝えたいことを極力簡潔に短く話すことは、非常に重要です。
重要なポイントや要点を絞り込み、専門用語や複雑な表現、詳細な情報は省くように心がけましょう。
(3)相手の話を傾聴する
相手の声に真摯に耳を傾ける姿勢は、信頼関係を築き、成功した営業活動につながる重要な要素です。
相手の話を傾聴することで、相手が抱えている課題や問題点を把握でき、それに適した解決策や提案を行うことができます。
相手の話を傾聴するためには、以下のポイントに留意することが重要です。
・相手に集中し、目を合わせて聴くこと。
・無駄な中断や遮りを避け、相手の話を途切れさせないこと。
・聞いたことを確認し、相手の意図や感情に対して共感や理解を示すこと。
・聴くだけでなく、フィードバックや質問を通じて相手の話を深めること。
これらのアプローチによって相手とのコミュニケーションを円滑に進めることができます。相手の意見や感情に共感し、適切な反応やフィードバックを行うことで、相手との関係を深めることができます。
(4)あらかじめステーションのアピールポイントや強みを整理しておく
訪問看護の営業活動において、あらかじめステーションのアピールポイントや強みを整理し、営業活動の中で明確に伝える準備を行うことが重要です。
訪問看護ステーションの強み・アピールポイントとなる例をあげてみます。
24時間体制
ステーションが24時間体制でサービスを提供できることは大きなアピールポイントです。これは、利用者がいつでも必要な医療ケアやサポートを受けることができることを意味します。緊急時や夜間の状況にも対応できる体制が整っていることを強調しましょう。
休日対応・オンコール体制
ステーションが休日や祝日でもサービスを提供し、オンコール体制を整えていることも重要です。利用者やその家族が安心していつでも連絡し、必要なケアを受けることができることを伝えましょう。
医療依存度の高い方への対応
ステーションが医療依存度の高い方々へのケアにも対応できることを強調しましょう。例えば、人工呼吸器や経管栄養、在宅人工透析などのケアを提供できる看護師や専門スタッフを配置していることをアピールポイントとして挙げることができます。
小児や精神疾患、認知症に対応できるスタッフ在籍
ステーションには小児看護や精神疾患、認知症に特化したケアに携わる経験豊富なスタッフが在籍していることをアピールしましょう。特別なニーズや疾患に対しても専門的なサービスを提供できることを伝えることが重要です。
緩和ケアや看取りケアへの対応
ステーションが緩和ケアや看取りケアにも力を入れていることをアピールしましょう。痛みや苦痛の軽減、心理的・精神的なサポート、家族の支援など、終末期の患者とその家族に寄り添ったケアを提供できることを強調しましょう。緩和ケアや看取りケアの専門的な知識や技術を持つスタッフが在籍しており、患者とその家族に寄り添った心温まるケアを提供できることを伝えます。
これらの強みは、資料やプレゼンテーションを通じて具体的な事例や成功事例を紹介し、ステーションの専門性と信頼性をアピールすると効果的です。また、利用者やその家族が抱える課題や悩みに対して、どのようにサポートできるかを具体的に示すことも重要です。
訪問看護の営業を定期的に行わなければならない5つの理由
訪問看護の営業で大切なのは、ケアマネ事務所や病院などの営業先に最低でも月1回は顔を出すことです。
定期訪問の意味と訪問看護の営業を定期的に行わなければならない理由を5つにわけて詳しく説明します。
(1)信頼関係の構築
定期的な顔出しは、ケアマネ事務所や病院などの営業先との信頼関係を構築するために重要です。直接顔を合わせることで、信頼や協力関係を築くことができます。また、定期的な顔出しにより、営業先とのコミュニケーションが円滑になり、情報共有や相談の機会が増えます。
(2)露出度の向上
定期的な顔出しは、訪問看護ステーションの露出度を向上させる効果があります。営業担当者が定期的に営業先を訪れることで、ステーションの存在感やサービスの提供状況が営業先に認知されやすくなります。これにより、営業先からの依頼や紹介の機会が増える可能性が高まります。
(3)顧客獲得の促進
定期的な顔出しは、依頼数の増加につながる要素となります。営業担当者が営業先を訪れることで、訪問看護ステーションのサービスや特徴をより具体的に伝えることができます。営業先が訪問看護のニーズを抱えている場合、営業担当者との対話や情報交換を通じて、ステーションのサービスに関心を持ち、依頼や契約の機会が増える可能性があります。
(4)信頼と継続的な関係構築
定期的な顔出しは、営業先との信頼関係を築くだけでなく、継続的な関係を構築するためにも重要です。顔を合わせることで、お互いのビジネスニーズや関心事を把握し、長期的なパートナーシップを築くことができます。これにより、営業先からの継続的な依頼や契約の機会が増えるだけでなく、競合他社よりも優先的に選ばれる可能性も高まります。
(5)営業数と依頼数の関係
営業数と訪問看護ステーションへの依頼数には一定の関係があります。一般的に、営業担当者の数が増えるほど、営業活動の範囲や効果が拡大し、訪問看護ステーションへの依頼数が増加する傾向があります。営業担当者が定期的に営業先を訪れ、信頼関係を築きながら情報を共有し、営業の効果を最大化することが重要です。
ただし、営業の数だけでなく、営業活動の質やアプローチ方法も依頼数に影響します。顧客のニーズを理解し、適切な提案や解決策を提供すること、コミュニケーションや関係構築のスキルを持つことも重要です。効果的な営業活動を行い、定期的な顔出しを通じて信頼関係を築くことで、訪問看護ステーションへの依頼数を増やすことができます。
訪問看護の営業活動において、これらの要素を考慮し、戦略的なアプローチを取ることが成功への道となります。
まとめ
今回は、訪問看護の営業活動をテーマに主な営業先との関わり、事前準備、成果を出すための営業のポイントなどについてお伝えしました。
訪問看護の営業活動は、訪問看護ステーションの存在を広く知らせると同時に、利用者や関係機関に対してステーションの価値や特徴をアピールすることが重要です。
今回の記事が訪問看護ステーションの今後の営業活動の参考になれば幸いです。
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