【最新版】2024年ダブル改定による訪問看護ステーションへの影響と対策とは

介護報酬は3年に1回、診療報酬は2年に1回改定されます。

そのため、6年に1回の頻度で介護報酬、診療報酬ともに改定が行われ、2024年は、このダブル改定にあたるの年となります。

2024年度のダブル改定は、「2025年問題」までに行われる最後の改定になるため、介護・医療の連携体制をより強固な制度へ変えるなど、大きな変革の機会になると予測されています。

介護報酬と診療報酬の改定は、国の重要な方針が反映されるため、訪問看護ステーションはこのダブル改定の内容を把握し、今後の対策を検討することは、非常に重要です。

本日は、先日発表があった2024年の介護報酬と医療報酬の改定の内容について、改定率と基本的な視点を解説した上で、訪問看護ステーションに与える影響や、今から講じておきたい対策についてお伝えします。

目次

2024年介護報酬及び、診療報酬改定における改定率

令和5年12月20日に決定が発表された、2024年介護報酬及び、診療報酬改定における改定率は以下の通りです。

(1)介護報酬の改定率 +1.59%

介護報酬の改定率は、+1.59%となります。その内訳としては、

介護職員の処遇改善分 +0.98%(令和6年6月施行)
その他の改定率(※) +0.61%

※賃上げ税制を活用しつつ、介護職員以外の処遇改善を実現できる水準

また、改定率の外枠として、処遇改善加算の一本化による賃上げ効果や、光熱水費の基準費用額の増額による介護施設の増収効果として+0.45%相当の改定が見込まれ、合計すると +2.04%相当の改定となります。

(2)診療報酬の改定率 +0.88%

診療報酬の改定率 +0.88%となります。

このうち、看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種については、令和6年度にベア+2.5%、令和7年度に ベア+2.0%を実施していくため、特例的な対応として +0.61%となります。

参照元:厚生労働省「診療報酬改定について pdf

2024年介護報酬及び、診療報酬の改定率からみた訪問看護の影響と対策とは

2024年は介護報酬及び、診療報酬が前述のような改定率で改定されることが決定しました。

この決定を受けて、訪問看護ステーションは、どのような点に留意する必要があるのでしょうか。

それでは、この改定率から考察される「訪問看護の影響と対策」について次の二つの観点からをみていきます。

(1)新規参入の増加や既存事業所の新たなエリア進出

2024年では介護報酬、診療報酬ともにプラス改定となります。

その両方が収入源である訪問看護ステーションは、収益性や成長性が期待され注目される事業となるため、新規参入の増加や既存事業所の新たなエリア進出により、地域内に競合が増える可能性があります。

これに伴い供給過多やスタッフの流出などが事業経営に悪影響を及ぼす懸念があります。

今のうちから以下の対策を講じることで、これらの影響を軽減できると考えます。

1.専門性の強化

地域でニーズが高い特定の疾患領域にも焦点を当て、専門性を強化することで差別化を図る体制を準備します。

2.地域連携と協力体制の構築

地域の医療機関、福祉施設などと連携を深め、協力体制を築き包括的なケアサービスを提供することで、地域での存在意義を強めます。

3.専門性向上のための教育プログラムの整備

スタッフに対し在宅医療の専門性向上を図るため、外部の教育機関なども活用し、継続的な教育が施されるよう整備します。

4.情報公開と透明性の確保

ステーションの運営方針や品質向上の取り組みを透明かつ積極的に発信し、ケアマネージャー、医療機関、利用者やその家族との信頼を築きます。また、関係者からのフィードバック収集を通じて、サービスの改善を継続的に行うことも大切です。

5.付加サービスとしての住まいの提供

訪問看護ステーションの新規参入や既存事業所の新たなエリア進出が増えることへの対策として、訪問看護のサービス提供にととまらず、ナーシングホームなどの住まいを付加サービスとして提供することを検討します。


これらの対策を段階的に講じることで、ダブル改定の影響により地域で新規参入が増える可能性がある訪問看護市場において差別化を図り、競争力を高めることができます。

(2)スタッフの獲得競争が激化

2024年改定の介護報酬と診療報酬ともに増加分のうち、6割以上が賃上げに充てられているため、高給与を提示する訪問看護ステーションが多く現れる可能性があります。

このことにより、スタッフが転職してしまうことや、新規スタッフの獲得が難しくなるといった影響が考えられます。

獲得競争が激化する中で、適切なスキルを持つスタッフを確保し、高品質なサービスを提供し続けるための対策を以下にまとめました。

1.働きやすい環境の整備

柔軟な勤務制度や労働条件、ワークライフバランスを考慮した働きやすい環境を整備し、魅力を発信することで、既存スタッフの定着と新規採用を促進します。

2.福利厚生の拡充

福利厚生制度の拡充や改善を行い、スタッフの継続的な雇用と新規採用を促進します。例えば、スタッフの健康増進プログラムや研修支援の提供などが考えられます。

※訪問看護ステーションの福利厚生についてはこちらの記事も参考にしてみてください。

訪問看護ステーションが福利厚生を充実させるメリットとは?

3.柔軟な給与制度の構築

競争が激化する労働市場では、柔軟かつ適正な給与制度の構築が不可欠です。スキルや経験に基づいた評価制度やインセンティブ制度を導入し、スタッフのやる気を向上させます。

4.効果的な採用プロセスの仕組みづくり

競争が激しい中で、適切なスキルを持つスタッフを確保するためには、複数のステップを組み合わせ、効果的な採用プロセスを仕組み化する必要があります。

5.キャリアパスの整備

将来のキャリアパスを明確に示し、成長や昇進の機会を提供することで、スタッフの定着意欲を向上させます。

6.社内コミュニケーションの促進

チームビルディングや社内コミュニケーションを促進します。
良好な人間関係が、スタッフの職場における満足度と定着率を向上させます。

7. 新たな層の発掘

これまで雇用が難しかった、単独での訪問や車の運転に不安を感じる人材を募集するために、職場内には複数の同僚がサポートする仕組みがあり、車移動が不要のナーシングホームの併設を検討し、新たなスタッフ層を発掘します。


これらの対策を実施することで、ダブル改定の影響により獲得が激化する訪問看護市場において、適切なスキルを持つスタッフの確保が促進でき、高品質な訪問看護サービスの提供が継続できるでしょう。

令和6年度『介護報酬』改定に向けた基本的な視点(案)

次に、2024年の介護報酬改定の方針を理解するため、本年5月以降、計10回の社会保障審議会・介護給付費分科会において、各サービスや横断的課題について行われた議論で掲げられた「令和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)」の内容をみていきましょう。

令和5年10月11日の社保審-介護給付費分科会がまとめた「令和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)」に内容は、以下になります。

令和6年度からスタートする第9期介護保険事業計画期間では、2025年には団塊の世代が全員が75歳以上になる見込みです。

これまでの介護報酬や制度の改定により、地域包括ケアシステムの推進が進んできましたが、2040年頃に高齢者がピークに達することを考えると、人口構造や社会環境が変わる中で、引き続き見直しが必要です。

同時に、生産年齢人口の減少や介護分野での人材不足が深刻な課題となり、最近では物価上昇や産業全体での賃金引き上げ、DXなどの事業環境変化も発生しています。これらの経済的変化にも適切に対応する必要があります。

この背景を考慮し、今回の介護報酬改定における基本的な視点は以下の4点に整理できます。

【今回の介護報酬改定に向けた基本的な4つの視点】

(1) 地域包括ケアシステムの深化・推進

認知症や単身高齢者、医療ニーズが高い高齢者など、様々な状況にある利用者が住み慣れた地域で尊厳を守りながら、質の高いケアマネジメントや必要なサービスを効率的かつ柔軟に提供するために、地域の実情に即した取り組みを進めます。

これには医療・介護の連携、感染症や災害への対応、高齢者虐待の防止なども含まれます。

(2) 自立支援・重度化防止に向けた対応

高齢者の自立支援と重度化の防止を目指し、多職種連携やデータの活用を促進します。リハビリテーション、口腔・栄養の一体的なアプローチ、そしてLIFEを活用した質の高い介護などが含まれます。

(3) 良質な介護サービスの確保に向けた働きやすい職場づくり

介護人材不足への対応として、介護サービスの質向上を図るために、処遇改善や生産性向上による職場環境の改善を進めます。介護ロボットやICTの活用、介護助手の導入、柔軟な働き方などが含まれます。

(4) 制度の安定性・持続可能性の確保

介護保険制度の安定性と持続可能性を高め、全世代が安心できる制度を構築します。これには評価の適正化・重点化、報酬体系の整理・簡素化などが含まれます。


※上記は、以下の発表内容を要約しています。

出典元:社保審-介護給付費分科会 第 227 回(R5.10.11) 資料2-1「和6年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)

令和6年度『介護報酬』改定に向けた基本的な視点(案)による訪問看護の影響と対策とは

それでは、2024年の介護報酬改定に向けた上記の「基本的な4つの各視点」が訪問看護に与える影響と対策を考えてみましょう。

(1) 地域包括ケアシステムの深化・推進に伴う影響と対策

2024年の介護報酬改定で掲げられている、地域包括ケアシステムの深化・推進において、訪問看護ステーションに与える影響として、訪問看護ステーションに対し、認知症や単身高齢者、医療ニーズが高い中重度の高齢者の増加への対応力がいっそう求められるようになります。

また、訪問看護ステーションが、地域包括ケアシステムにおいて他の医療・介護機関と連携・協力する必要性が高まり、地域包括ケアの一環として必要なサービスが切れ目なく提供されるように努めることとなります。

これらの影響を見据えて、今から講じる対策を以下にまとめました。

1. 専門性の強化に向けた教育体制の構築

認知症や医療ニーズが高い利用者への対応を強化するため、訪問看護ステーションのスタッフに対して専門的なト教育を提供し、スキルを向上させます。

2. 連携体制の整備

地域包括ケアシステムにおいて他機関との連携が強化される中、訪問看護ステーションも円滑な情報共有や連携を確保するための体制整備を行います。

3. 多様で柔軟なサービス提供

地域の実情に応じ、訪問看護ステーションが多様で柔軟なサービスを提供できる仕組みとスタッフを整えます。

4.ナーシングホームの併設を検討

認知症や医療ニーズが高い中重度の高齢者で自宅での介護が困難な人へ適切な介護・医療ケアを提供するために、ナーシングホームを併設することを検討します。

ナーシングホームを併設することにより、訪問看護ステーションが、認知症や単身高齢者、医療ニーズが高い中重度の高齢者の増加への対応力を高め、地域包括ケアシステムにおいて他の医療・介護機関と連携・協力し、切れ目のないサービス提供ができるようになります。

(2)自立支援・重度化防止に向けた対応に伴う影響と対策

2024年の介護報酬改定では、自立支援・重度化防止に注力し、LIFEを活用した高品質な介護の提供が求められています。

影響として考えられることは、高齢者の自立支援と重度化の防止のための、訪問看護やリハビリテーション領域においても、ケアにおける効果を定量的に評価し、効果的なアプローチの実践と改善が求められる可能性があります。

これらの影響を見据えて、今から講じる対策を以下にまとめました。

データの効果的な収集と分析

質の高い介護を実現するために、科学的介護情報の収集と分析を実施し、訪問看護の評価と改善に役立てます。

(3)良質な介護サービスの確保に向けた働きやすい職場づくりに伴う影響と対策

2024年の介護報酬改定において掲げられている、良質な介護サービスの確保に向けた働きやすい職場づくにおける訪問看護ステーションに与える影響としては、スタッフの働きやすさが求められ、 サービスの質向上と生産性向上の両立に向け、業務プロセスや役割の再編成、ICT活用を強化することが求められる可能性があります。

これらの影響を見据えて、今から講じる対策を以下にまとめました。

1. 業務プロセスの見直し

スムーズで効率的な業務の遂行に向け、業務プロセスの見直しを行います。

2. スタッフの専門性の向上

教育・研修プログラムの提供や資格取得のサポートを行い、スタッフの専門性を向上させます。

3. 労働環境の改善策の検討

処遇改善や生産性向上に伴い、労働環境の改善策を検討します。
働きやすい環境づくりがスタッフのモチベーション向上に繋がり、サービスの質の向上に寄与します。

4. ナーシングホーム併設の検討

ナーシングホームでは、生産性向上を図りつつもスタッフの負担を最小限に抑えるための効果的な業務プロセスを構築します。これにより、サービスの質向上とスタッフの働きやすさが両立できるようになります。

5.コミュニケーションの強化

変化に対する理解や協力が効果的な業務遂行に不可欠なため、スタッフとの円滑なコミュニケーションを強化します。

(4)制度の安定性・持続可能性の確保に伴う影響と対策

2024年の介護報酬改定において、介護保険制度の安定性と持続可能性を確保し、全世代が安心して利用できる制度を構築するために、評価の適正化・重点化、報酬体系の整理・簡素化が行われことになります。

報酬体系の変更により、訪問看護ステーションの提供サービスの加算や減算などが収益構造に影響が出ることが予想されます。

これらの影響を見据えて、今から講じる対策を以下にまとめました。

1. サービスと配置の見直しを検討

効率的で質の高いサービス提供を強化すると共に、コスト削減を検討します。また、新たな報酬体系を見越した、適切なスタッフの配置を検討する必要があります。

2.ナーシングホーム併設の検討

ナーシングホームを併設することで、訪問看護だけでなく、日常的なケアなど幅広いサービスを提供できます。これにより、収益の多角化が可能となり、制度変更による影響を分散できます。

2024年の介護報酬改定に向けた基本的な4つの各視点が訪問看護に与える影響において、これらの対策を総合的に実施することで、訪問看護ステーションは、継続的に成長発展を遂げることができるでしょう。

令和6年度『診療報酬』改定の基本的視点と具体的方向性

続いて、2024年の診療報酬改定の方針を理解するため、社会保障審議会医療保険部会 社会保障審議会 医療部会が発表した「令和6年度診療報酬改定の基本方針」の内容をみていきましょう。

令 和5年 12月11日に上記部会が発表した「令和6年度診療報酬改定の基本方針」の資料を抜粋し以下に紹介します。

平成30年度の診療報酬、介護報酬、及び障害福祉サービス等報酬の同時改定では、2025年に団塊の世代が全員が75歳以上になる見込みを踏まえ、医療機能の分化・強化と連携、医療と介護の連携を進める改定が行われました。また、令和2年度診療報酬改定では、医師等の働き方改革などに重点を置いて取り組まれました。

令和4年度診療報酬改定では、これらの取り組みを一層進めつつ、新型コロナウイルス感染症への対応や、感染拡大によって浮き彫りになった医療提供体制の課題に対処しました。

そして、令和6年度診療報酬改定では、物価高騰、賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を考慮しながら、ポスト2025年の医療・介護提供体制を見据え、DX等の新たな社会経済の流れを取り入れながら、効果的かつ効率的で質の高い医療サービスの実現に向けた取り組みが求められています。

【今回の診療報酬改定の基本的視点】

(1) 現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進


・医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取り組み


・各職種が専門性を発揮するための勤務環境の改善やチーム医療の推進


・ICTの利活用の推進など、業務の効率化に資する取り組みを評価します。

(2) ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進


・医療DXの推進や遠隔医療の活用


・地域包括ケアシステムの深化・推進のためのリハビリテーションや栄養管理の連携推進


・質の高い在宅医療・訪問看護の確保など、ポスト2025を見据えた具体的な方向性を採ります。

(3) 安心・安全で質の高い医療の推進


・物価高騰への対応


・患者にとって安心・安全な医療を提供するための体制の評価


・アウトカムに着目した評価や、特定の分野への適切な評価を進めます。

(4) 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上


・後発医薬品やバイオ後続品の使用促進や費用対効果評価制度の活用


・適正な評価や医療DXの推進などを通じて、医療保険制度の安定性・持続可能性を向上させます。


※上記は、以下の発表内容を要約しています。

出典元:「令和6年度診療報酬改定の基本方針 」令和5年 12月11日 社会保障審議会医療保険部会 社会保障審議会医療部会

令和6年度『診療報酬』改定に向けた基本的な視点による訪問看護の影響と対策とは

それでは、上記の2024年の診療報酬改定に向けた基本的な視点が訪問看護に与える影響と対策を考えてみましょう。

(1)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進による影響と対策

賃上げが他の産業に追いついていない状況下で、医療従事者の不足が悪化している中、訪問看護ステーションでも働き方の改善が求められます。

対策としては、賃上げによる処遇改善や、働きやすい職場環境の整備や、タスク・シェアリング、チーム医療の体制を整備します。

(2)ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進に伴う影響と対策

影響として、地域包括ケアシステムの進化が求められ、訪問看護はこれに連携しつつ質の高いサービスを提供することが求められます。

対策では、地域全体での医療機能の分化・強化、連携を進めると同時に、リハビリテーション、栄養管理、口腔管理などの連携も強化します。

(3)安心・安全で質の高い医療の推進に伴う影響と対策

利用者に対する医療提供体制の評価が求められ、質が重要視されるようになるといった影響が考えられます。

このことにより、利用者の状態に応じた質の高いリハビリテーション、さらにアウトカムにも着目した評価を推進できる対策が必要となります。

(4)効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上に伴う影響と対策

医療保険制度の効率化・適正化を求める医療保険改革に伴い、訪問看護ステーションは業務プロセスや報酬体系が変更されるといった影響を受ける可能性があります。

その対策として、自動化やデジタル化の導入などを検討し、業務の合理化を進めます。また、地域の特性やニーズに応じて、訪問看護ステーションが持つ役割を明確化し、無駄のない効率的かつ持続可能なサービス提供体制を築きます。

2024年介護報酬・診療報酬改定に対する訪問看護ステーションの展望~ナーシングホーム併設の戦略的意義

2024年の介護報酬や診療報酬の改定は「人材確保・働き方改革の推進」「地域包括ケアシステムの深化」「安心・安全な医療の推進」が重要な方向性となります。

上述のような、対策とともに、訪問看護ステーションはこの重要な方向に合った対策を講じる必要があり、その一環としてナーシングホームの併設が有効と言われています。

2024年介護報酬・診療報酬改定に対する訪問看護ステーションの展望としての、ナーシングホーム併設の戦略的意義は次の通りです。

1. 人材確保と働き方改革への対応

ナーシングホームの併設は、訪問看護ステーションが質の高いサービスを提供し続けるために必要なスキルを持ったスタッフを確保する手段となります。

また、働き方改革を進める上で、柔軟な雇用形態の提供やスタッフの働きやすい環境を整備できます。

2. 地域包括ケアシステムの深化と推進

ナーシングホームの設置は、地域包括ケアの一環として、訪問看護と施設ケアを統合した包括的なサービス提供を可能にします。地域包括ケアの様々なニーズに対応でき、切れ目のないサービス提供ができるようになります。

3. 安心・安全で質の高い医療の推進

ナーシングホームでは、利用者に対して安心できる環境での医療を提供する一翼を担います。

特に重度の高齢者や難病患者に対して、24時間の看護や医療ケアを提供することで、安全な環境を確保できます。

4. 介護保険・医療保険制度の安定性・持続可能性の向上

ナーシングホームを併設することは、制度の変化に対する柔軟性を高め、収益の多様化を図る手段となります。

これにより、介護報酬や診療報酬の改定による経済的な影響を緩和し、持続可能な運営を目指すことができます。

まとめ

2024年度のダブル改定は、「2025年問題」までに行われる最後の改定になるため、介護・医療の連携体制をより強固な制度へ変えるなど、大きな変革の機会になると予測されています。

介護報酬と診療報酬の改定は、国の重要な方針が反映されるため、訪問看護ステーションはこのダブル改定の内容を把握し、今後の対策を検討することが不可欠となります。

2024年の介護報酬と医療報酬の改定の内容やポイントを把握し、訪問看護ステーションに与える影響を鑑み、今から対策を講じることも大切です。