訪問看護師が怖い!?ケアマネジャーとの連携で心得るべきポイント

地域の健康ケアを円滑に進めるためには、訪問看護師とケアマネジャーの連携が欠かせません。訪問看護サービスにおける二つの専門職が協力し、利用者の療養生活を支えるためには、どのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか。

本コラムでは、訪問看護師とケアマネジャーの役割や連携の重要性に焦点を当てながら、効果的なチームワークの構築に向けてのポイントを探っていきます。

ケアマネジャーとは

訪問看護を利用するとなった時に、主に利用者との相談に応じてくれるのがケアマネジャー(介護支援専門員)です。

ケアマネジャーは、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、または病院・介護保険施設などに所属しています。彼らは介護保険に関する相談や認定調査を行い、要介護認定(要支援認定)を受けた人々に適切なサービスを検討し、ケアプランを策定します。

介護保険法では

「介護支援専門員」とは、要介護者又は要支援者(以下「要介護者等」)からの相談に応じ、及び要介護者等がその心身の状況等に応じ適切な各種サービスを利用できるよう各種サービス事業を行う者等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有するもの

参照元:介護保険法第7条第5項から抜粋

と定義されているように介護認定を受けた方やその家族など「介護の受け手」と、介護サービスを提供する機関である「介護サービス提供者」を結びつける役割も果たします。

居宅介護支援事業所では、ケアプランに基づいて、居宅サービス事業者や関連機関とのコミュニケーションや調整を行い、個々の利用者に適した支給限度額の管理と実績の評価を行います。

ケアマネジャーによる要介護認定業務とは

ケアマネジャーが担当する重要な業務の一つが、要介護認定業務です。要介護認定業務は、高齢者や障害者などの方々が日常生活において必要とする介護の度合いを評価し、介護保険のサービスを受けるための要介護認定を行うプロセスです。

要介護認定業務の主なステップは次の通りです。

1.申請と受付

要介護認定の対象となる高齢者や障害者、またはその家族が、介護保険を利用するために申請を行います。この際、ケアマネジャーが申請書類の提出をサポートし、必要な情報を収集します。

2.評価と訪問

ケアマネジャーは、申請者の自宅を訪問し、その方の日常生活や身体的・精神的な状態を評価します。この評価には、日常生活動作(ADL)や医療的ニーズ、社会的サポートなどが含まれます。

3.要介護度の判定

ケアマネジャーは評価結果を基に、厚生労働省が定める要介護度の基準に従って、申請者の要介護度を判定します。要介護度には要支援1から要介護5までの段階があり、それぞれの段階ごとに必要な介護のレベルが異なります。

4.認定結果の通知

ケアマネジャーは要介護度の判定結果を申請者に通知し、認定内容や介護保険の利用方法について説明します。また、認定の理由や再評価のタイミングも説明されます。

5.介護度の見直し

要介護認定が行われた後も、ケアマネジャーは現在の認定に沿っているかを定期的に確認します。介護度が進んでいる状態になっていれば、要介護認定を検討しなおさなければならないので、その状況確認を行います。また、更新が必要な場合であれば申請に必要な書類を作成します。

訪問看護サービスにおけるケアマネージャの役割とは

介護保険を活用して訪問看護を受ける際には、要支援の場合は地域包括支援センター、要介護の場合は居宅介護支援事業所のケアマネジャーが、利用者の代わりにケアプランの立案やサービスの調整、サービス給付費の計算や請求書の処理などを行います。

訪問看護に介護保険を適用する場合、要介護の度合いによって給付額が変動します。

このため、ケアマネージャーは各利用者の給付額を確実に理解し、利用者や家族が負担する金額を管理します。

また、訪問看護の利用者の状態が変化した場合、介護度の変更手続きも行います。

サービスの開始時やその後も、必要に応じて関係者を集め、サービス提供者会議を組織して情報を共有し、サービスの内容や調整について検討することも、ケアマネジャーの重要な役割となります。

訪問看護とケアマネジャーとのかかわりとは

訪問看護師は、ケアマネジャーが策定したケアプランを確認し、利用者のケア目標や、利用者と家族の希望、必要なケア内容を理解した後で、「訪問看護計画書」を起草し、利用者と家族から承認を得てサービスを実施します。

定期的に、利用者の健康状態の進展やケアの進捗状況を記録した「訪問看護報告書」を作成し、ケアマネジャーに提出して情報を共有します。

訪問看護の利用中に、スケジュール変更が必要な場合、予定のキャンセルや急な訪問、ケア内容や訪問頻度の変更が発生した場合には、適切なタイミングでケアマネジャーに連絡し、手続きを進めます。

大切なのは、ケアマネジャーとの顔の見える関係づくり

訪問看護師とケアマネジャーとの顔の見える関係づくりは、訪問看護の効果的な実施や利用者の総合的なサポートにおいて不可欠な要素となります。

(1)異なる役割を持つ専門職の協力

ケアマネジャーは大部分が介護福祉士など介護の専門家であり、訪問看護師は医療と介護の両方に関わる専門家です。二つの専門職が連携し合うことで、利用者のニーズに合った最適なケアプランを組み立てることができます。

(2)医療のアドバイスと調整

訪問看護師は利用者の健康を支える役割を果たしています。ケアマネジャーと協力して、利用者の医療ニーズを理解し、医師や他の医療専門家との連絡調整を行うことで、適切な医療サポートを提供できます。

(3)効果的なコミュニケーション

直接顔を合わせることで、情報の共有や連絡が迅速に行えます。サービス担当者会議や利用者宅でコミュニケーションを取ることで、利用者の状態やニーズについて正確な情報を得ることができます。

(4)チームワークの強化

訪問看護と介護のチーム全体が連携することで、利用者にとってより良いケアが提供されます。ケアマネジャーとの連携は、利用者の立場に立ったサービスを実現するために不可欠です。

看護師は怖い!?職種によって伝わる言葉・伝わらない言葉は異なります。

在宅での療養生活を支えるためには、さまざまな専門職が協力してチームを組み、サポートを提供することが重要です。

その中でも、医療分野の専門家である看護師は、他の職種から「怖い」と感じられることがあるかもしれません。ですから、看護師自身が自分たちの役割を認識し、周囲とのコミュニケーションを大切にすることが必要です。

特に、ケアマネジャーとの連携の際には、医療専門用語や略語などは極力避け、わかりやすい言葉で説明するように努めましょう。これによって、医療情報を理解しやすくし、スムーズな情報共有と協力が実現できます。

医療の専門知識を持つ看護師とケアプランを調整する際には、互いの専門分野を尊重し、共通の目標である利用者の健康と福祉を最優先に考えることが大切です。

医療専門用語と略語の例

・トランスファ → 移乗動作

・曖気 → げっぷ

・点注 → 点滴注射

・IC → インフォームド・コンセント

・IV → 静脈注射

・ROM → 関節可動域

・アウリーチ → 手をさしのべる

・流涎 → よだれ

・嘔気 → 吐き気

・ヘマトーマ → 血腫

・穿刺 → 注射針を刺す行為

・ナルコーシス → 昏睡状能

・エビデンス → 根拠

・不穏 → 情動不安

・家族歴 → 家族や親族の病歴

会話が進行する中で意味が通じないまま進んでしまい、「あの人、理解してないみたい」という状況が生まれると、看護師とケアマネジャーの関係がギクシャクする可能性があります。

コミュニケーションが円滑に行われるようにするためには、相手が理解しやすい言葉を選び、質問しやすい雰囲気を作ることが大切です。

さらに、「わかりにくい点はありませんか?」という形で、失礼のないように確認する姿勢が重要です。

またステーションのスタッフに対しても、他の職種とのコミュニケーションにおいて気を配る必要があることを、何度も繰り返して伝えていくことが必要です。

訪問看護師からケアマネジャーへの報告、連絡方法にも注意が必要

訪問看護師からケアマネジャーへの報告頻度や連絡方法にも注意を払う必要があります。

毎月の報告書は受け取っているが、看護ステーションに電話しても訪問中で連絡のとれない事が多い、情報共有の場が少ないと感じているケアマネジャーも実は、少なくありません。

また、ケアマネジャーや医師は月に1回から2回、利用者の状態を確認する機会が多いのに対し、訪問看護師やリハビリ職は週に少なくとも1回は訪問するため、細かな変化を素早く察知できる専門職と言えます。

信頼関係を築く観点からも、「ケアマネージャーに伝えた方がいいのかな?」と疑問に思った時は、とにかく報告する方が良いでしょう。

ケアマネジャーへの報告方法も注意が必要です。介護業界では、未だ電話、FAX、紙などで業務を行うという共通認識があります。さらに、ケアマネジャーは看護師からの報告内容をヘルパーや他のサービスに伝える必要があります。

電話だけでは情報が漏れたり用語が誤解される可能性があるため、FAXやメールなど、ケアマネジャーご自身に適した方法を選ぶと良いでしょう。

まとめ

在宅での療養生活の質を高めるためには、看護師とケアマネジャーの連携が鍵となります。このコラムでは、看護師の視点から、ケアマネジャーとの連携の重要性をお伝えしました。

ケアマネジャーは利用者のニーズを把握し、適切なケアプランを調整する役割を果たしています。その際、看護師との連携が円滑であれば、利用者の健康状態や医療ニーズを正確に伝えることができ、適切なケアが提供されます。一方で、訪問看護師は利用者の健康状態をモニタリングし、必要な医療ケアを提供します。この連携によって、利用者は安心して在宅での療養生活を送ることができます。

専門職同士の連携は、利用者の多様なニーズに素早く対応する上で非常に重要です。看護師の知識とケアマネジャーの知識を共有し、連携を深めることで、利用者の健康管理や生活支援が効果的に行われます。この連携が、在宅での療養生活の質の向上につながることは言うまでもありません。

今後も、看護師とケアマネジャーが連携を強化し、利用者の個別ニーズに合ったサポートを提供していくことが求められます。在宅での療養生活がより快適で安心なものとなるために、専門職同士の連携を大切にしていきましょう。

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