早朝・夜間訪問看護加算・深夜訪問看護加算とは(介護保険・医療保険)

早朝、夜間、深夜の時間帯に訪問看護を実施した場合、時間帯を評価した加算が発生します。

訪問看護ステーションを運営する上で、この時間帯での訪問を評価した加算の算定がどのくらいあるのか、介護保険と医療保険のそれぞれの要件や留意点を知っておくことは、とても大切です。

今回は、訪問看護の早朝・夜間・深夜の時間帯での訪問における加算(医療保険・介護保険)についてお伝えします。

夜間・早朝加算、深夜加算(介護保険)とは

介護保険における時間帯での訪問を評価する加算は、「早朝・夜間加算」および「深夜加算」と呼ばれます。

サービス計画や訪問看護計画において、サービス提供が午後6時から翌朝8時までの時間帯にある場合に、これらの加算が適用されます。

夜間・早朝加算、深夜加算(介護保険)の算定要件

(1) 夜間・早朝加算

午後6時から午後10時までの夜間帯および午前6時から午前8時までの早朝時間帯に、利用者や家族からの要望に応じて訪問看護を提供した場合、訪問看護計画に基づき、1回あたり所定単位数の25%の加算が算定できます。

(2)深夜加算

午後10時から午前6時までの深夜時間帯に、利用者や家族からの要望に応じて訪問看護を提供した場合、訪問看護計画に基づき、1回あたり所定単位数の50%の加算が算定できます。

早朝・夜間・深夜の時間帯と算定額

時間帯 算定額
早朝(6:00~8:00) 基本単位数の25%
夜間(18:00~22:00)
深夜(22:00~6:00) 基本単位数の50%

介護保険における夜間・早朝加算や深夜加算は、他の介護サービス(例: 訪問介護)でも同様の加算が適用される仕組みとなっています。そのため、医療保険の定額の加算とは異なり、介護保険では基本単位数に応じた割合の加算が行われます。

夜間・早朝加算、深夜加算(介護保険)の留意点

介護保険における夜間・早朝加算、深夜加算を算定する際には、以下の点に留意する必要があります。

(1)全体のサービス提供時間に占める割合がわずかな場合は算定でない

夜間・早朝加算や深夜加算(介護保険)の算定条件は、訪問看護のサービス開始時刻が加算対象となる時間帯にある場合に適用されます。

ただし、利用時間が長時間であっても、加算対象となる時間帯のサービス提供時間が全体のサービス提供時間に占める割合が極めてわずかな場合は、加算は算定できません。

例えば、午前7時55分から午前9時55分まで2時間の訪問を行う場合、午前7時55分以降の5分間は早朝時間帯に該当しますが、全体としてその割合が非常に少ないため、加算が難しい状況となります。

また、早朝や夜間、深夜であっても、20分未満の訪問には加算が適用されません。

(2)緊急時訪問の場合、月の1回目は算定ができない

介護保険における夜間・早朝加算や深夜加算の算定において特に留意すべき点は、緊急時訪問に関して月初めの1回目は特定の加算が適用されないことです

早朝や夜間、深夜における緊急訪問の場合、月初めの緊急訪問は所定の単位数に基づく算定のみが行われます。

しかし、2回目以降の緊急時訪問については、早朝・夜間加算や深夜加算が適用されます。そのため利用者や家族に対しては、2回目以降の緊急時訪問からは割増が適用されることを説明しておくことが大切です。

夜間・早朝訪問看護加算、深夜訪問看護加算(医療保険)とは

医療保険における「早朝・夜間訪問看護加算」、「深夜訪問看護加算」とは、利用者やその家族の要望に応じて午後6時から翌朝8時までの時間帯に指定訪問看護を行うことで算定できる加算です。

夜間・早朝訪問看護加算、深夜訪問看護加算(医療保険)の算定要件

(1)夜間・早朝訪問看護加算

午後6時から午後10時および午前6時から午前8時の時間帯に訪問看護を実施した場合、1回あたり2,100円の加算が算定できます。

(2)深夜訪問看護加算

午後10時から午前6時の時間帯に訪問看護を行った場合、1回あたり4,200円の加算が算定できます。

夜間・早朝・深夜の時間帯と算定額

時間帯 算定額
早朝(6:00~8:00) 2,100円
夜間(18:00~22:00)
深夜(22:00~6:00) 4,200円

介護保険では基本単位数に応じた割合の加算が行われる一方で、医療保険では定額の加算が適用される点に留意する必要があります。

夜間・早朝訪問看護加算、深夜訪問看護加算(医療保険)の留意点

医療保険における夜間・早朝訪問看護加算や深夜訪問看護加算を算定する際には、以下の点に留意する必要があります。

(1)ステーションの都合で時間帯を変更した場合は算定できない

夜間・早朝加算および深夜加算は、それぞれ1日につき1回ずつ、計2回まで算定が可能ですが、訪問看護ステーションの都合により時間帯を変更した場合は加算が適用されません。

たとえば、訪問看護職員の人数が不足していたり、スケジュールが調整できずに本来の訪問看護開始時間が午後5時から午後6時に変更された場合には、夜間・早朝訪問看護加算は算定できません。

(2)同日に2回訪問した場合の算定漏れに注意

夜間・早朝訪問看護加算および深夜訪問看護加算は、それぞれ1日につき1回まで算定できますが、同じ利用者に対して同日の夜間・早朝時間帯である朝7時と夜7時に訪問した場合、夜間・早朝訪問看護加算は1回分しか適用されません。

特に注意すべきは、夜間・早朝訪問と深夜訪問の両方を行った場合です。

朝7時と同日の深夜23時に訪問した場合、夜間・早朝訪問看護加算1回と深夜訪問看護加算1回が適用され、2,100円+4,200円、合計6,300円の算定が可能ですので、算定漏れには注意しましょう。

まとめ

今回は、訪問看護の早朝・夜間・深夜の時間帯での訪問における加算(医療保険・介護保険)についてお伝えしました。

管理者やレセプト請求をおこなう事務員だけでなく、訪問看護師自身も早朝、夜間、深夜の時間帯に訪問看護を実施した際には、どのくらいの算定があるのか、介護保険と医療保険の違いや留意点などを知っておくことは、とても重要です。

本記事が訪問看護事業に従事される方や、これから訪問看護事業への参入を検討される方の参考になれば幸いです。

※本記事は、作成時の最新の資料や情報をもとに作成されています。詳細な解釈や申請については、必要に応じて最新情報を確認し、自治体等にお問い合わせください。