【医師が解説】忙しい訪問看護師の美と健康を守る効果的なケア方法とは

在宅看護での重労働、慢性疲労、移動中の日焼け、対人ストレス……。訪問看護の現場で働くナースならではの悩みは、様々あります。

心も体も健やかに、働きながら美しくなるために、日ごろから取り入れたいケアや効果的な方法について、美容クリニック院長の西嶌暁生先生にうかがいました。

体のこりや食いしばりはボトックスで解消

——西嶌先生、よろしくお願いします。

訪問看護の看護師は、患者さんの体位変換などの力仕事も含め、ケアをすべて一人でこなす必要があるので、体のコリや歯の食いしばりで悩む人も多いと聞きます。どんな治療が効果的ですか?


はい。訪問看護をやられている看護師さんは、特に肩こり、首こりに悩む方が多いようです。状況に合わせて、半年に1回程度、ボトックスを打つのが効果的だと思います。

肩から首にかけての緊張がほぐれ、こりが解消します。打ち慣れていないと、最初はだるい感じがあるかもしれませんが、日常生活に支障が出るような副作用はありません。

えらボトックスも、歯の食いしばりや、首、肩こり、頭痛に効果的です。口腔外科でマウスピースを作っても効果がないほど歯ぎしりをする人でも、食いしばりを緩めることができます。

慢性疲労は短時間の点滴&注射がおススメ

——ありがとうございます。

訪問看護師さんの中には、日々の業務やオンコールなどによる不規則な勤務体制により、慢性的な疲労で悩んでいる人も多いです。そのような方におススメはありますか?


慢性的な疲労感には、ビタミン点滴、グルタチオン点滴で、体の代謝やデトックスを促進することをおすすめします。

プラセンタ注射やニンニク注射も疲労回復に効果がありますし、もう少しステップアップしたものになると、幹細胞培養上清液を使った点滴も、選択肢としてはいいと思っています。

もちろん、内服で治療を行うこともできますが、せっかく医療従事者なので、点滴や注射への抵抗も少ないでしょうから、短時間で効果を実感しやすい治療がお勧めです。

日焼け対策、エイジングケアで、若々しい肌を保つ


——病院勤務の看護師に比べ、訪問看護師に圧倒的に多い悩みは、移動中の日焼けです。徒歩や自転車移動だけでなく、車で移動する看護師からも「運転中に右の腕だけ焼ける」という声があります。

夏に限らず、年間を通して紫外線は肌にもダメージが大きいですよね。


そうですね。かといって仕事を変えるわけにはいかないので、ケアが必要です。紫外線を浴びてケアをしないでおくと、しわやくすみの原因にもなります。

目周りや眉間、おでこなどの表情シワでお困りの方は、ボトックスをおすすめします。その他、バニーラインやあごのしわに効果があります。

日焼け対策としては、ちまたで出ている〝飲む日焼け止め〟もいいと思いますが、それと同じ効果が得られるビタミンC、E、トラネキサム酸、薬名で言えば「シナール、ユベラ、トランサミン」も、安全なものですし、美白の内服薬としていいと思います。

マルチビタミン、グルタチオン、アリナミンなど含めた、アンチエイジング点滴もおすすめです。

自宅でのスキンケアは、あれもこれも足しすぎないのがお勧めです。基本的には洗顔と保湿の2ステップだけでよいと思います。

看護師さんは医療の専門の知識があるので、メーカーのプロモーションや広告にまどわされず、成分表示をみて選んでほしいです。

私は「less is more」をモットーに、本当によいものだけを選び、継続可能なシンプルなスキンケアをお勧めしています。

当院のセルフケアの考え方

また、可能なら月1回、イオン導入でビタミンⅭやトラネキサム酸を、自分へのごほうびとして入れてあげるのも良いのではないでしょうか。

ストレスからくる過食、薄毛、不眠も対策できる


——ほかにも、対人関係のストレスを悩みとしてあげる看護師が多いです。訪問看護ステーションの看護師は病院勤務と比べて事業所内の人数が少なく、狭いコミュニティーで働いています。

また、訪問先の患者さんやそのご家族対応にも、神経をつかいます。ストレス性の過食や薄毛など、様々な形で表れるようですが、美容の面から対策をとることはできますか。


一番大切なのは、原因となるものを取り除くことですが、人はどんな環境でもストレスを感じます。それを受け入れながら、改善することが大切でしょう。

健康面では、まず自分の栄養評価をしてみてはいかがでしょうか。

例えば、オーソモレキュラー栄養療法という、採血によって「こういう栄養素が自分に足りない」ということを知り、食生活を改善することで、様々な不調を解消していく方法があります。

ストレスによる体重増加で悩んでいる人で、効率的に短期間でダイエットをしたい場合は、薬を用いるのも一つの方法です。

また、女性の薄毛は男性以上に悩みが深いですし、男性ほど治療が確立していません。

方法としては、ミノキシジルや、プラセンタ、亜鉛の内服などがあります。ただし、ミノキシジルを内服する場合は、高血圧の薬を飲んでいる人や、癌の既往のあるの人など、使ってはいけない人もいるので、専門医を受診して相談してください。

最近は男性看護師も増えています。男性の薄毛にはAGA治療があります。

不眠を解消し、健康と美を実現

——ストレスで不眠になる人も多いようです。何か対策はありますか。


睡眠薬は副作用もあるから使いたくない、という人もいますので、サプリメントでもいいと思います。メラトニンのサプリメントが効く人もいますが、これも副作用がないわけではありません。

睡眠サポートには、CBD(カンナビジオール)も利用されています。当院の場合は患者さんの悩みに合わせて、オーダーメイドで処方しています。


——こうしたケアが訪問看護ステーションの福利厚生として受けられれば、「ここで働きたい!」と思う看護師もいると思いますし、働く人のことを考え、仕事環境を整える立場の経営者の方たちにも、新しい取り組みとしておすすめしたい内容です。


そうですね。忙しい仕事だからこそ、元気に働き続けるためには、自分自身のことも大切にしてほしいと思います。美容クリニックの立場から、ケアのお手伝いができたらと思っています。

訪問看護ステーションに向けた美容医療による福利厚生サービスの内容ついては、当クリニックのホームページに掲載していますのでご確認ください。

訪問看護ステーションに向けた美容医療による福利厚生サービス


——〝しっかり働き、自分の健康も美しさもあきらめない〟そんな看護師が増えれば、訪問看護の現場で働きたいと思う人も増えるのではないでしょうか。訪問看護ステーションの福利厚生のひとつとしても、魅力的に感じました。

西嶌先生、本日は、貴重なお話を有難うございました。

西嶌 暁生(にしじまあきお)プロフィール

医学博士、形成外科専門医
恵比寿こもれびクリニック 院長

2013年より筑波大学の形成外科で、創傷治癒、外傷、再建、美容外科及び美容皮膚科を専門とする臨床医として従事。その後、「恵比寿形成外科・美容クリニック」の副院長を経て、2023年7月に「恵比寿こもれびクリニック」を開院。肌細胞の再生をキーワードに、美と健康のパーソナルドクターとしてオーダーメイド医療を提供している。

詳細は「いろいろナース」まで、お問い合わせください。

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