在宅中心静脈栄養法(HPN)における訪問看護師の必要な知識とサポート内容

急性期治療を終えた慢性期・回復期患者の受け皿として,終末期ケアも含む「生活の質」を重視した医療としての在宅療養のニーズが高まっています。

病院から在宅復帰する際に問題となることのひとつが栄養摂取方法です。特にがんの手術などで腸管を切除した場合や、腸管の機能が著しく低下している場合は、カテーテルで高カロリー輸液をおこなうことによって栄養状態を改善する方法「在宅中心静脈栄養法(HPN)」をとるケースが多くみられます。

この「在宅中心静脈栄養法(HPN)」の医療的ケアは、主に訪問看護師が中心となっておこなうため、基本構造やトラブル時の対処法の理解しておくことは非常に大切です。

本コラムでは、訪問看護における在宅での医療処置のひとつである「在宅中心静脈栄養法(HPN)」について必要な知識とサポート内容について詳しく説明します。

目次

在宅中心静脈栄養法(HPN)とは

病態は安定しているものの、消化管に問題があって経腸栄養法ができない場合には、中心静脈にカテーテルを留置し、そこから高カロリー輸液を注入する方法が取られます。この方法を「中心静脈栄養(Total Parenteral Nutrition:TPN)」といいます。

この中心静脈栄養法(TPN)を家庭で行うことを、在宅中心静脈栄養法(HPN:HomeParenteral Nutrition)と呼ばれています。

在宅中心静脈栄養法(HPN)は、消化管を経由せずに必要な栄養を補給する方法であり、医療スタッフの指導の下で患者や家族が適切な管理を行うことができれば、長期入院を避け、日常生活や社会生活を営むことが可能となるため、QOLの向上につながります。

HPNの輸液製剤の成分について

HPNの輸液には、人間の身体に必要な三大栄養素である炭水化物(糖質)・たん白質・脂肪とともにビタミン・ミネラルが含まれています。ただし、炭水化物、たん白質、脂肪は直接血管内に投与できないため、それぞれが消化吸収された後の成分が輸液に含まれています。

(1)糖 質

ブドウ糖を投与し、エネルギー源として患者に供給します。

(2)たん白質

アミノ酸を投与して、筋肉などを構築するたん白質の基本成分を提供します。

(3)脂 肪

必須脂肪酸の補給とエネルギー源として投与します。

(4)ビタミン

在宅中心静脈栄養法は長期にわたる治療が多いため、必要なビタミンをバランスよく投与し、栄養の不足を防ぎます。

(5)微量元素

在宅中心静脈栄養法を受ける患者は長期的に治療を受けることが多いため、亜鉛、マンガン、ヨウ素、鉄、銅などの微量元素も投与され、栄養のバランスを保つ役割を果たします。

参考文献:大塚製薬工場HP:在宅中心静脈栄養法(HPN)の手引き

在宅中心静脈栄養法(HPN)の対象者

在宅中心静脈栄養法(HPN)は、消化管の機能が不十分な場合や高カロリー輸液が必要な場合、または静脈栄養が2週間以上の長期間にわたる場合に適用されます。

具体的な疾患や状態としては、以下が挙げられます。

難治性下痢

治療が難しい慢性の下痢症状がある患者に対して、栄養の補給や症状の管理のためにHPNが適用されます。

嘔吐

嘔吐により経口摂取が困難な場合、HPNが食事の代替手段として使用されることがあります。

消化管瘻

消化管に穴や瘻(瘻孔)ができている場合、食物が正しく消化・吸収されないため、HPNが必要となります。

消化管閉塞

消化管が閉塞して食物が通らない場合、HPNが栄養供給の主要な手段として使用されます。

重症急性膵炎

膵臓の急性炎症により、経口摂取が難しい場合に、HPNが栄養支援の選択肢となります。

炎症性腸疾患(クローン病)

クローン病などの炎症性腸疾患で栄養不良が起きる場合、HPNが必要なことがあります。

経腸栄養不耐症

経腸栄養が不可能または不耐性の場合、HPNが栄養供給手段として利用されます。

重症感染症

重症感染症により摂取能力が低下した場合、HPNが必要なことがあります。

外科周術期

外科手術を受けた後、摂取能力が回復するまでの期間にHPNが使用され、栄養不良を予防します。

がん化学療法や放射線療法を行っている患者

がん治療に伴う副作用や摂取困難な状態で、HPNが栄養支援に使用されることがあります。

骨髄移植をした患者

骨髄移植後、免疫抑制薬により摂取能力が低下する場合、HPNが必要となります。

妊娠悪祖がある患者

妊娠に伴う悪心・嘔吐により食事が難しい場合、HPNが妊娠中の栄養補給方法として適しています。

がんの終末期で緩和ケアを行っている患者

がんの終末期において経口摂取が難しい場合、HPNが緩和ケアの一環として利用され、患者の生活の質を維持します。

HPNカテーテルの種類~主流は、皮下埋め込み式

HPNカテーテルには、「体外式カテーテル」と「皮下埋め込み式カテーテル(CVポートまたはポート)」の2つの種類があります。

体外式カテーテル

体外式カテーテルは、カテーテルの先端が心臓近くの静脈に留置されていますが、末端は体外に固定されています。カテーテルの穿刺部の皮膚が感染の原因となりうるため、皮膚を消毒し、通気性のある放水フィルムを使用して清潔を保つことが重要です。また、定期的なカテーテル交換が必要です。

皮下埋め込み式カテーテル

皮下埋め込み式カテーテルでは、カテーテルとポートが完全に皮下に埋め込まれています。ポートは、療養者自身が穿刺する場合には、療養者が見やすい位置に、医療者や家族が行う場合には鎖骨下など、穿刺が容易な位置に固定されます。皮膚表面からCVポートにヒューバー針を穿刺し、体内に補液や薬剤を点滴することができます。針を抜いた後は、通常の生活、例えば更衣や入浴などを普通に行うことができます。

CVポートは、輸液投与時以外にカテーテルを外すことができます。行動に制約がないため、HPN治療において主流な方法となっています。

HPNの輸液の投与方法

輸液の投与方法には、「24時間持続注入」と、「8~14時間かけて注入する間欠的注入」の2つがあります。間欠的注入は、療養者の希望に合わせて、日中または夜間におこないます。

(1)間欠的注入

間欠的注入は、食事摂取量や摂取水分が少ない場合や、脱水時の補液、薬剤投与が必要な時に行う方法で、通常は1日のうち数時間から十数時間にわたります。

高カロリーの輸液が必要な場合には、通常は24時間連続した滴下が必要ですが、病態が安定している場合には、間欠的に輸液を行うことも可能です。ただし、この際には血糖値や電解質の変動、注入速度に留意する必要があります。

輸液の滴下が終了したら、ヘパリン化生理食塩水でカテーテルをロックし、カテーテルの閉塞を予防します。

(2)24時間持続注入

24時間持続注入は、高カロリー輸液などの補液を24時間連続で投与する方法です。高カロリー輸液には、高濃度の糖質液、アミノ酸、電解質などが含まれています。

この方法では、療養者に必要な1日の総カロリーと体重あたりの輸液量を計算し、24時間を均等に投与できるように、輸液ポンプなどを使用して滴下を調整します。

在宅中心静脈栄養法(HPN)のメリット

在宅中心静脈栄養法(HPN)は、在宅で適切な栄養を投与し、栄養状態を維持・改善することを通じて、入院を必要とせずに自由でより良い生活を送り、社会復帰を実現することを目指しています。

輸液を行う上大静脈は心臓に近く、非常に太い血管であるため、血液量が多く血流も速い特徴があります。このため、上大静脈を利用することで、高濃度の糖濃度を含む輸液を投与することも可能です。

従って、中心静脈栄養法では、1日に1000~2500kcal程度の栄養を投与でき、末梢静脈栄養法よりも多くのエネルギーを摂取できます。さらに、消化管を経由せずに水分や栄養を補給でき、末梢静脈栄養法に比べて長期間にわたる利用も可能です。

また、何度も針を刺す必要がなく、外出や入浴に制限がない場合もあるため、患者の負担を軽減できる可能性があります。

在宅中心静脈栄養法(HPN)のデメリット

在宅中心静脈栄養法(HPN)のデメリットは、注入中以外は管につながれず、行動が制約されない反面、急激な代謝変動を起こしやすく、低血糖を引き起こすリスクが存在します。

また、カテーテルが長期間留置されることにより、カテーテル閉塞や消化管の機能低下の恐れがあり、さらにカテーテルの挿入部から細菌が侵入してカテーテル感染などのリスクも考えられます。

在宅中心静脈栄養法(HPN)の実施方法

(1) 療養者の状態観察

療養者の健康状態を確認し、血圧、脈拍、体温、呼吸、排尿・排便、脱水症状、体重、浮腫、高血糖または低血糖症状、電解質異常などをチェックします。

(2)カテーテルの観察

カテーテルの位置や滴下状況、皮膚の状態、カテーテルへの負荷などを注意深く観察します。

(3)必要物品の準備

皮下埋め込み式の場合、専用の針(ヒューバー針)、消毒薬、ドレッシング材、針捨て容器、点滴ボトルのフックやハンガーなど、必要な物品を用意します。

(4)輸液剤の準備

医師の指示に基づき、補液を準備します。療養者の状態に変化がある場合、医師に報告し、輸液剤の種類や量について検討します。

(5)実施中

療養者に補液を行う方法を説明し、ポートに穿刺するか、体外式カテーテルの末端に輸液ルートを接続します。

(6)実施後

状態の再観察: 療養者の状態を再度観察し、補液の適切さや栄養状態の維持・改善を評価します。体重、BMI、血液検査などが評価材料となります。

ヘパリン生理食塩水の注入: 間欠的な輸液法の場合、輸液終了後にカテーテル内の閉塞を予防するために、ヘパリン生理食塩水を注入します。

在宅中心静脈栄養法(HPN)で懸念されるトラブル

(1)感染症

在宅中心静脈栄養法(HPN)で懸念されるトラブルの一つは「感染症」であり、これは中心静脈栄養を使用する際に最も一般的な問題です。

感染は主にカテーテル周囲で発生し、手洗いや手指消毒、手袋着用の徹底など感染対策が重要であり、作業環境の清潔維持や機材の接触にも注意が必要です。感染症の発生は治療の複雑化や患者の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、予防が非常に重要です。

(2)合併症

在宅中心静脈栄養法(HPN)における懸念事項の一つが「合併症」であり、以下の様々な合併症が発生する可能性があります。

・血栓症

血管内のカテーテルが原因で血栓が発生することがあります。

・高トリグリセリド血症

高カロリーの輸液が原因で、トリグリセリドレベルが上昇することがあります。

・ビタミン欠乏症、微量元素欠乏

長期間にわたるHPNのため、ビタミンや微量元素の不足が発生することがあります。

・高血糖

糖分を多く含む輸液が使用されるため、高血糖が起こることがあります。

また、血管内留置カテーテル関連感染症(CRBSI)、カテーテルの自然断裂、カテーテルの閉塞、ポートの破損、ポート留置部分の皮膚遺瘍、輸液血管外漏出などが発生すると、さらに胸郭水腫や胸水貯留などの合併症が生じることがあります。

合併症が発生した場合、通常はカテーテルを交換する必要があります。

(3)ルートのトラブル

在宅中心静脈栄養法(HPN)で懸念されるトラブルの一つは「ルートのトラブル」です。これは、輸液ルートに関連する問題で、以下の点に注意が必要です。

・ルートの詰まりによる滴下不良

輸液ルートが詰まると、輸液が滴下しづらくなります。ヒューバー針の固定状況や接続状態を確認し、針浮きなどの問題に気を付ける必要があります。

・輸液中のトラブル

輸液中に滴下しない、滴下速度が異常に速いまたは遅い、輸液ルートからの補液漏れ、針周辺の皮膚の発赤や痛み、カテーテルの抜去など、補液中に起こり得る問題点について療養者に説明します。

・療養者の移動時の対処

療養者が移動する際には、輸液ルートが引っ張られないように適切な扱い方を指導し、ルートの安定性を確保します。

ルートのトラブルを防ぐために、患者と家族に正しいケアの方法を教育し、定期的なルートの点検を行うことが重要です。

在宅中心静脈栄養法(HPN)で懸念されるトラブルのひとつ「ポンプのトラブル」について以下の文章を踏まえて簡単に解説してください。

(4)ポンプのトラブル

在宅中心静脈栄養法(HPN)でのトラブルの一つは「ポンプのトラブル」です。

ポンプのトラブルは、輸液ポンプが異常を検知した際に鳴るアラームに関連しています。アラームが鳴った場合、以下の対処法が重要です。

・アラームの確認

アラームが鳴ったら、まず輸液が空になっていないか、輸液ルートに空気が入っていないかを確認します。

・原因の特定

アラーム音の原因がわからない場合は、医療機器業者や看護師に連絡を取り、問題を特定するための支援を受けることが重要です。

特に、中心静脈栄養を始めたばかりの療養者や家族は、アラーム音に戸惑うことがあるため、事前に警報音が鳴る状況やその対応方法について詳しく説明し、安心できる環境を整えることが必要です。

在宅中心静脈栄養法(HPN)には、本人と家族の理解、協力、手技の習得が不可欠

HPNは、家庭内での自己管理に頼る必要がある治療法であり、そのために以下の理由から本人と家族の協力が不可欠です。

(1)輸液の管理

家族は輸液バッグをヒューバー針のコネクタ部分に接続し、栄養を補給する役割を担います。この作業は日常的に行われ、正確かつ衛生的に実施する必要があります。

(2)ヒューバー針の交換

HPNでは週に1回程度、ヒューバー針を交換する必要があります。この作業は主治医または看護師が行いますが、家族の協力が必要です。

(3)ポート部の管理

ポート部の清潔さや健康状態を維持するために、家族と療養者自身で管理を行う必要があります。感染予防策や適切な手技の習得が欠かせません。

(4)自己管理

在宅中心静脈栄養法では、本人や家族が自己管理に頼ることが多く、訪問看護師が不在の場合でも適切な処置ができるようになる必要があります。

医師からの説明を基に、物品の扱い方や感染対策などを正確に理解し、実践できるようになるためには、訪問看護師の指導と家族の協力が欠かせません。

感染リスクを最小限に抑え、治療がスムーズに進行するように支援することが大切です。

看護のポイント~HPNケアにおける訪問看護師の心得

高カロリー輸液を用いたHPNは、療養者の栄養状態を維持または改善するために行われます。そのため、訪問看護師は以下のポイントに注意しながら看護を行います。

(1)療養者の栄養状態のアセスメント,苦痛の緩和や健康状態の改善の観察

・栄養状態のアセスメント

療養者の栄養状態を評価し、栄養不足や栄養失調の兆候を早期に発見します。体重の変化、BMI(体重指数)、血液検査結果などを基に栄養状態を把握し、適切な栄養療法を提供します。

・高カロリー輸液合併症の予防

高カロリー輸液を使用する際には、合併症のリスクを最小限に抑えるために注意が必要です。感染症や血栓症、ビタミン欠乏症、高血糖などの合併症を予防するため、厳格な感染管理や適切なカロリー調整などを行います。

・苦痛の緩和と健康状態の改善の観察

療養者の健康状態や症状を定期的に観察し、苦痛がある場合には適切な措置を講じます。疼痛管理や不快症状の軽減は、療養者の生活の質を向上させる重要な要素です。

(2)療養者・家族の視点にたった医療の提供

・理解と協力

療養者と家族が栄養状態のアセスメントや感染予防の技術、輪液の基本について理解し、積極的に協力できるようにサポートします。

・安全な医療環境

安全に輪液を行うための基本的な知識を提供し、療養者や家族が医療環境で安心して過ごせるように努力します。

・生活の尊重

療養者が安全に治療を受けることと同時に、生活の質や日常生活に支障がないように心掛けます。療養者や家族の生活スタイルや望みに合った医療を提供し、そのニーズに敏感に対応します。

・継続的な支援

療養者や家族が医療の提供に馴染むまで、継続的なサポートを提供します。その際、療養者や家族の視点を尊重し、不安や疑問に答えることが大切です。

(3)感染の防止

・定期的な観察とモニタリング

カテーテルが血管内に挿入されているため、感染の早期発見が不可欠です。訪問看護師は、訪問のたびにカテーテル挿入部の皮膚状態や発熱の有無、カテーテルの長さなどを注意深く観察します。これによって、感染の兆候を早期に捉えることができます。

・家族の教育と協力

家族介護者に対しても、カテーテル周囲の皮膚の正常状態や異常の兆候に注意を払うように指導します。また、感染の早期発見に役立つ情報を提供し、医療者に的確な情報を伝えることが重要です。

・発熱や悪寒戦慄への対応

特に発熱や悪寒戦慄の症状が現れた場合、これは敗血症の兆候となります。訪問看護師は、これらの症状が出た際には迅速に看護師や主治医に連絡し、適切な対処を行います。この点を療養者や家族に積極的に伝え、対応方法を教育します。

・定期的なモニタリング

病状や全身の状態、栄養状態、カテーテル挿入部の確認など、定期的なモニタリングが欠かせません。訪問看護師は、最低でも2週間に一度、療養者の状態を評価し、合併症の予防や早期発見に努めます。

HPNにおける医療廃棄物の処理方法

在宅医療廃棄物は、廃棄物処理法上、一般廃棄物として取り扱われます。療養者に対しては、主治医や薬局、訪問看護ステーションから在宅医療廃棄物の処理方法について説明し、廃棄方法を周知させます。

廃棄の際には、以下の点に留意する必要があります。

1.注射針などの鋭利なアイテムは、針が突き抜けない特別な容器に安全に収納し、医療機関などに返却することが求められます。

2.鋭利でない物は、一般の廃棄物として適切に処理するよう指導されます。ただし、廃棄方法の詳細な規定は各市町村によって異なるため、未回収のゴミが発生しないように、地元のルールを確認して遵守することが必要です。

ー般廃棄物として処理できるもの

在宅中心静脈栄養法(HPN)における医療廃棄物の中で、一般廃棄物として処理できるものにはいくつかのアイテムが含まれます。これらの医療材料は、一般の生活廃棄物と同じ「燃やすごみ」として廃棄できます。

・点滴バッグ

使用済みの点滴バッグは内容物を完全に空にし、新聞紙などで包んで市区町村指定のごみ袋に入れて廃棄します。

・蓄尿バッグ

使用後の蓄尿バッグも、内部の内容物を空にして包装し、市区町村の指定袋に捨てます。

・CAPD用廃液バッグ

腹膜透析用の廃液バッグも同様に、内容物を完全に排出し、包んで一般のゴミ袋に入れて廃棄します。

・ストーマ装具

使用済みのストーマ装具は、適切に清潔にし、包装後に一般の生活ごみ袋に廃棄します。

・インスリンなどの注射筒(針以外)

注射筒の針を取り外し、内容物を排出し、包装して市区町村の指定袋に捨てます。

・ラインやカテーテル類(針のないもの)

使用済みのラインやカテーテル類も、適切に清潔にし、包装後に一般のゴミ袋に廃棄できます。

これらのアイテムは、使用後に内部の内容物を十分に空にし、適切に包装してから廃棄することが、感染や公衆衛生に配慮した適切な方法です。

廃棄方法は市区町村によって異なる場合があるため、地元のルールに従って処分することが重要です。

在宅中心静脈栄養法(HPN)に関連する訪問看護の診療報酬について

さいごに在宅中心静脈栄養法(HPN)に関連する訪問看護の診療報酬について説明します。

在宅中心静脈栄養指導管理 3,000 点

この診療報酬は、在宅で中心静脈栄養法を受ける患者の指導と管理に関するものです。以下は詳細を解説します。

・対象患者

原因疾患の有無にかかわらず、中心静脈栄養以外の栄養摂取が困難な患者が対象です。つまり、通常の経口摂取や経管栄養が難しい場合、中心静脈栄養が必要と医師によって認められた患者が該当します。

・診療内容

在宅中心静脈栄養法を受ける患者に対して、中心静脈栄養法の指導と管理を提供した場合に、この報酬を請求することができます。指導管理には、栄養摂取の方法、カテーテルのケア、感染予防、安全な使用方法など、患者と家族に対する教育とサポートが含まれます。

・算定回数

在宅中心静脈栄養法指導管理料は、月に1回算定できます。つまり、1か月ごとに、患者に対する指導と管理の提供を行った場合に、この報酬を請求できます。

・加算項目

上記の在宅中心静脈栄養法指導管理料に加えて、以下の加算項目も適用されます:

在宅中心静脈栄養法輸液セット加算(月1回): 2,000 点

在宅中心静脈栄養法を実施するための輸液セットを管理・提供する際に、月に1回請求できる加算です。

注入ポンプ加算(月1回): 1,250 点

中心静脈栄養法に必要なポンプの管理と提供に関する加算で、月に1回請求できます。

これらの報酬項目は、在宅中心静脈栄養法を受ける患者に対する診療の提供と管理を支援し、適切な医療を提供するための財政的な支援として設計されています。

看護師や医師などの医療プロフェッショナルが、患者とその家族に対して適切なケアを提供できるようにするための制度です。

参照元:一般社団法人神奈川県訪問看護ステーション協議会「訪問看護に関連する診療報酬について 」

まとめ

在宅中心静脈栄養法(HPN)は、栄養摂取が難しい患者にとって重要な医療オプションとなっています。この治療法を提供し、患者が自宅で快適に過ごせるようにサポートする役割を果たすのが訪問看護師です。

HPNの知識と実施方法を理解し、トラブル時に的確に対処できることが、訪問看護師の重要な役割の一つです。また、患者と家族への教育や感染の予防にも注力することが、HPNケアの質を向上させる鍵と言えるでしょう。

このような継続的なサポートと専門知識を提供することにより、在宅中心静脈栄養法を受ける患者が安心して治療を受けられる環境を整え、彼らの生活の質を向上させるお手伝いができます。

参考文献:ナースのためのやさしくわかる訪問看護

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