訪問看護ステーションは小規模な事業所が多く、看護師の常勤換算が5人未満のステーションが全体のおよそ半数を占めています。
小規模なステーションは、訪問効率が悪い、休みが取りずらい、オンコール対応が負担、成長機会が少ない、廃業リスクがある、などのマイナスイメージを持たれてしまい、優秀な看護師の採用が難しいとされています。
その上、コロナ禍を経たことなどにより最近では、長く働ける職場を希望する安定志向や、ワークライフバランスを重視する柔軟志向が強くなった事から、看護師が10名以上在籍する規模の大きいステーションが採用においてますます有利になってきました。
そのため、規模の小さい訪問看護ステーションでは、募集広告を出しても応募者が集まらず、やむを得ず転職エージェントに高額な手数料を払うことで、経営が圧迫してしまうケースも多くあります。
一方で、小規模ながら年々変化する採用市場に合わせ、創意工夫を重ね優秀な看護師の採用を成功させて、成長している訪問看護ステーションも存在します。
そこで、本日は、訪問看護ステーションの採用の現状と優秀な看護師採用する意義を示し、訪問看護市場において優秀な看護師を定義した上で、規模が小さい訪問看護ステーションが優秀な看護師を採用し定着させる方法について紹介していきます。
訪問看護ステーションの採用の現状と、優秀な看護師採用の意義
まず、訪問看護ステーションの採用の現状はどのようになっているのか、また優秀な看護師を採用することの意義について示します。
(1)看護師の採用の難易度が最も高い訪問看護
下のグラフにあるように、領域別の看護職員の求人倍率を比較すると、訪問看護ステーションの求人倍率が 3.22倍と最高になっています。
これは、1人の看護師に対して約3ステーションが内定を出すほど売り手市場になっており、訪問看護における人材確保が困難である状況にあることを示しています。
参照元:厚生労働省 第2回看護師等確保基本指針検討部会 令和5年7月7日 参考資料2「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」
このように、訪問看護ステーションは採用が難しい領域であり、その難しさが小規模な組織では一層顕著になります。
(2)訪問看護ステーションの成長を左右する採用する看護師の質
採用の難しさから、小規模な訪問看護ステーションでは、応募があると十分な見極めをせずに急いで採用してしまうことがあります。
その結果、働き始めてから、不適切な人材であることが判明するケースも生じがちです。
質の高い優秀な看護師を採用できれば、ケアの質の向上や組織全体のチームワークの向上、他のスタッフに対する相乗効果、高い評価による利用者増などプラスの影響により、訪問看護ステーションの成長につながります。
一方で、不適切な看護師を採用してしまえば、他のスタッフとの調和が乱れたり、業務上のトラブルが生じるなど、ステーションに悪い影響が生じる可能性があります。
看護師の質が訪問看護ステーションの成長を左右するため、優秀な看護師を採用することは小規模ステーションにおいても大きな意義があります。
(3)訪問看護の優秀な看護師の存在が、業界や地域に及ぼす影響とは
たとえ小規模であっても看護師の採用と定着に真剣に取り組むステーションが増え、優秀な看護師が存在するステーションが増加すると、在宅医療業界や地域社会において以下のようなさまざまな好影響をもたらします。
1.質の高い安定した在宅医療サービスが実現
訪問看護ステーションに優秀な看護師が存在することで、地域社会に質の高い安定した在宅医療サービスの提供ができるようになります。
これにより、多くの介護が必要な高齢者や、慢性疾患患者が安心して快適に自宅で療養生活を送れるようになります。
2.地域社会の健康促進や早期予防の推進
看護師が地域社会と緊密に協力し、健康増進や疾病予防の啓発活動を行うことで、予防医療が強化されます。優れた訪問看護師による健康増進や早期予防の推進は、人々の生活品質を向上させるだけでなく、将来的な医療費の削減にも貢献します。
3.地域に合った新たな医療サービスの展開
人口構成、文化的背景、経済状況、地理的条件などの地域特性によって、在宅での医療ニーズは異なります。
例えば、都市部では慢性疾患管理や緊急対応が必要とされる場合があり、訪問看護師は、利用者の自宅での医療ケアを効果的に提供し、緊急時には素早く対応することが求められます。
地方や農村地域では、医療アクセスが悪いことや、老々介護や独り暮らしの住民が多い傾向があるため、訪問看護師は、重度化しても暮らせる住宅ニーズへの対応も必要となります。
また、特定の地域では特定の疾患がより頻繁に見られる傾向があり、訪問看護師はその地域の疾患に精通し、適切な医療ケアを提供するための専門知識が求められます。
優秀な訪問看護師は、柔軟性と創造性を持って、地域特性と医療ニーズに合った新たな医療サービスを提供することができる能力があります。
これにより、地域の在宅医療体制はより効果的になり、地域住民の福祉が向上します。
4.医療費の効率的な運用
訪問看護ステーションに優秀な看護師が増加することで、在宅医療ケアがより効率的かつ効果的に進み、治療やケアにおける無駄が減少します。
また、不必要な入院や再入院を回避し、利用者が自宅で適切な医療を受けられるようになります。
これにより、医療費が効率的に運用できるようになり、地域の医療財源の支出を減少させることができます。
地域の医療資源がより効果的に活用されることで、地域の住民が健康で生産的な生活を送ることができるため、地域全体の生活水準が向上することも期待されます。
このように、優秀な看護師の増加による在宅医療ケアの効率化は、医療費の適切な運用と地域経済の発展につながります。
5.慢性疾患の管理と早期対応
経験豊富で判断力のある訪問看護師は、定期的なアセスメントやモニタリングを通じて、利用者の健康状態を継続的に評価し、異常や悪化の兆候を迅速に捉えることができるため、慢性疾患やそのリスクを早期に発見し、適切な管理を行うことが可能となります。
この早期対応により、患者の健康状態が安定し、急な医療介入や入院の必要性が減少します。
例えば、高血圧や糖尿病などの慢性疾患の場合、適切な薬物療法や生活習慣の管理により、合併症のリスクを低減し、病気の進行を抑制することが可能です。
このように、訪問看護ステーションの優秀な看護師の存在は、慢性疾患の管理と早期対応によって、地域医療の向上に貢献します。
6.地域全体の医療リソースの最適活用
訪問看護ステーションが地域全体の医療リソースと協力することで、入院患者の退院がスムーズになります。
訪問看護師は、患者が医療施設から退院した際に、自宅での適切なケアや治療を提供し、安心して自宅での生活を再開できるよう支援します。
これにより、入院期間の短縮や再入院のリスクの低減を実現させます。
訪問看護師の優秀な看護師が、退院支援から在宅移行への一連を適切に推進できることで地域全体の医療リソースが最適に活用されます。
7.地域コミュニティの結束
行動力のある訪問看護師が地域社会と協力して、地域コミュニティや福祉イベントなどの地域参加することで、地域住民の支え合いを促し、地域全体のつながりが深まります。
このような結束は、地域の安全や福祉の向上につながります。
8.地域の魅力向上
訪問看護ステーションが地域社会と連携し、健康増進プログラムや福祉活動を展開することで、地域住民の健康状態が改善し、生活の質が向上します。
また、訪問看護師が質の高い在宅ケアを行うことで、地域全体の福祉が向上し、住みやすい地域環境が整います。住みやすい地域環境や充実した福祉サービスを重視する若い世代にとっても魅力的な居住地となり、新たな住民の流入が促進され経済が活性化します。
こうして多様な人々が地域に暮らすことで、地域の文化や社会が豊かになり、地域全体の発展が促進されます。
このように、訪問看護ステーションは、さまざまな側面から、在宅医療業界や地域社会の発展に寄与する重要な役割を持っています。
このように、たとえ、小規模な訪問看護ステーションの小さな活動であっても、優秀な看護師による継続的な活動は、将来の業界と地域社会の発展に大きな意義があります。
訪問看護ステーションにとって優秀な看護師とは
優秀な看護師の採用と定着は、ステーションの成長に寄与するだけでなく、在宅医療業界と地域社会において持続可能で健全な発展を促進するなど好影響をもたらすことを述べました。
それでは、訪問看護ステーションにとって優秀な看護師とは、どのようなスキルや資質を持つ人材なのでしょうか。
優秀な訪問看護師が有するであろう特徴やスキルを以下15項目にまとめました。
1.専門知識
優秀な訪問看護師は、利用者の病状や治療法に関する医学的な専門知識を持った上で、適切な看護ケアを提供する能力を持っています。
2.コミュニケーションスキル
訪問看護では、利用者やその家族と効果的にコミュニケーションをとり、感情や状態を理解し、情報を適切に共有することが求められます。優秀な看護師は、コミュニケーションスキルが高く、利用者や家族の安心と信頼を得ることができます。
3.利用者中心のアプローチ
優秀な看護師は利用者の個別の生活状況やニーズを理解尊重し、利用者中心のアプローチを常に意識し、利用者や家族が主体となり療養生活ができるようサポートします。
4.問題解決能力
訪問看護では予測できない状況に直面することがあります。
優秀な看護師は、柔軟かつ効果的な対応ができる問題解決能力を持っています。
5.自己管理と時間管理
訪問看護師は単独で働くことが多く、自己管理能力と時間管理スキルが高い看護師は、効率的にケアし、予定外の遅れや問題を最小限に抑えることができます。
6.エンパシー※とチームワーク
優秀な看護師はエンパシー豊かで、利用者やその家族の感情に共感し、サポートを提供します。また、他の医療従事者や関係者と協力して、総合的なケアを提供することができます。
(※エンパシーとは、相手の立場になって考えや感情を想像する力を意味します。)
7.リーダーシップ
ステーションが成長していくためには、自身の業務を遂行するだけでなく、同時に部下の成長を促進するリーダーシップが欠かせません。
経験豊かで専門的な知識を積極的に共有することで、訪問看護師たちのスキル向上を促進することで、全体の医療ケアの質が向上し、組織がより専門的なサービスを提供できるようになります。
8.自己効力感とポジティブな姿勢
自己効力感は、特定の仕事や課題に対して自分がどれだけ能力を持っていると信じるかという心理的な概念です。
高い自己効力感を持つ訪問看護師は、自分のスキルや能力に自信を持ち、困難な状況にも前向きなアプローチで対処できる傾向があります。
また、ポジティブな姿勢は、仕事や状況に対して楽観的で前向きな態度を持つことを指します。
ポジティブな姿勢を持つ訪問看護師は、困難な状況にも柔軟に対処でき、利用者やその家族とのコミュニケーションが円滑に進む傾向があります。
訪問看護師が自身の能力を信じ、ポジティブな姿勢を持つことは、利用者へのケアの質や組織全体のパフォーマンスに良い影響を与える要因となります。
9.利用者へのセルフケアをサポート
利用者やその家族に対して、健康に関する情報を提供し、予防やセルフケアの重要性を教育し、利用者が自身の健康を理解し、積極的にセルフケアができるようにサポートします。
10.健康的な生活への意識
健康的な生活はストレスの軽減や心身の健康促進につながります。健康と美を意識した生活を送ることで、訪問看護師は心のゆとりを持ち笑顔で利用者と接することができます。
訪問看護師が自身の生活において健康を大切にし、美に注意を払っている姿勢は、周囲の健康的な生活へのモチベーションを高めるきっかけとなります。
11.継続的な専門知識の向上
優秀な看護師は、医学や看護の進歩に対応するために、継続的な学習と専門知識の向上に力を注いでいます。
12.同僚やメンターからのフィードバックの受容
訪問看護では、常に向上心を持ち、同僚やメンターからのフィードバックを受け入れる姿勢が大切です。優秀な看護師は、素直にフィードバックを受容します。
13.自己評価と振り返り
優秀な看護師は自己評価を行い、自身の強みや改善すべき点を振り返ることができます。反省と改善のサイクルを通じて、自己成長に努めます。
14.伝達スキル
看護師はエビデンスを基に、医療情報をわかりやすく利用者やその家族に伝えるスキルが求められます。優秀な訪問看護師は、複雑な医学的な情報を分かりやすく説明し、利用者やその家族に対し治療やケアに関する理解や意思決定を促す能力を持っています。
15.テクノロジーへの理解
訪問看護においてもテクノロジーへの理解力が必要となります。
IT関連の知識をオンラインなどで学習したり、必要に応じてITツールの導入を検討することも求められます。
小規模な訪問看護ステーションが優秀な看護師を採用し、定着させる方法とは
上記では、優秀な看護師の採用と定着は、ステーションの成長に寄与することはもちろん、在宅医療業界や地域社会に対してさまざまな好影響をもたらし、大きな意義があること、そして優秀な看護師の特徴やスキルについて紹介しました。
ステーションが成長した暁に、優秀な看護師が採用できると考える経営者もいるかもしれません。
しかし、ステーションの成長が先ではなく、優秀な看護師の採用が先であり、そして、その人材が戦力となり、定着してこそ、その採用は成功したと言え、結果としてステーションが成長することとなります。
そのため、小規模な時こそ優秀な看護師採用と定着に力を注ぐ必要があります。
規模が小さい訪問看護ステーションであっても優秀な看護師を採用することは充分に可能です。
そこで、優秀な看護師の特性を考慮した上で、発展途上の規模の小さいステーションがさほどお金をかけずとも、優秀な看護師の採用と定着の可能性を高めるための方法を紹介します。
小規模な訪問看護ステーションが優秀な看護師を引きつけるためには、給与の引き上げや求人広告の増量などの表面的な手段だけではなく、求職者への訴求力を高めるために以下の3つの要素の抜本的な見直しを図る必要があります。
(1)企業文化
(2)明確さ
(3)不安解消
その上で求職中の看護師に正しく認識してもらうための訴求活動が必要となります。
(1)企業文化
求職中の優秀な看護師からみて、応募したいと思える企業文化を整えることが、採用を成功させる大きなポイントとなります。
以下に具体的に看護師に認識してもらう、持つべき7つの企業文化について説明します。
企業文化(1):他と比べて圧倒的に面白い、ステーション独自の取り組み
訪問看護の求職者は、複数のステーションを比較検討しています。その中で、他と比べて圧倒的に面白いとアピールできるステーション独自の取り組みが重要となります。
例えば、特別な保険外訪問看護サービスを独自に開発していること、地域コミュニティを形成しステーション間の交流や協力を促進していることや、看護師の成長を支援する特別なトレーニングやメンターシッププログラムを提供していることなどが挙げられます。
自己成長ができて、やりがいを感じつつ、地域社会と深く関わることができると確信できる、ステーション独自の取り組みが求職中の優秀な看護師にとって魅力的な要素となります。
企業文化(2):長く続けられる職場環境
看護師は優秀であればあるほど、長い目で、地に足をつけて地域の信頼づくりや自己成長を果たしたいと考えています。
そのためには、優秀な看護師は、ステーションを選ぶ際に、以下の6つの視点を持って、働き続けるための環境があるかを判断します。
1.職場環境の改善
看護師からの意見をもとに、働きやすいスケジュールや効果的な休憩時間の確保、作業環境の整備など看護師が快適に働けるように職場環境の改善に柔軟に取り組むことで、長く続けられる職場環境となります。
2.キャリアパスの明確化
看護師が自身のキャリアパスを明確に把握できるような仕組みを整備します。さらにキャリアの先には昇進やスキルアップの機会が用意され、看護師が将来の展望を持ちながら働けるような環境を提供します。
3.経営陣との対話機会
経営陣と看護師が定期的に対話する機会をつくり、経営層が看護師の不安不満を理解し、可能な限りの解決策を講じることで、納得して働き続けることができるようになります。
4.教育のサポート
優秀な看護師は、自身のスキルアップを常に意識しています。
看護師の専門性を高める教育や研修の機会を提供し、看護師が最新の知識やスキルを身につけ、仕事にやりがいを感じられるようなサポートを行うころで、長く働きたいとの意欲が高まります。
規模が小さいステーションでは社内で教育をすべて実施することは難しいため、外部研修やオンライン、書籍などを組み合わせることで、教育サポートが可能となります。
5.感謝と認識
看護師の業績や貢献を積極的に認識し、表彰制度や感謝の伝達が日常的に行われ、この積み重ねが看護師が自身の仕事の重要性を実感できるような意識を育て、働き続ける基盤となります。
6.ライフステージに合わせた労働環境
子供の成長などライフステージに合わせた柔軟な労働条件や休暇制度など、家庭との両立が図れるように配慮することで、職場からの離脱防止につながります。
企業文化(3):他にない福利厚生
優秀な看護師は、自己効力感とポジティブな姿勢を持ち、健康的生活に心がけています。
こうした看護師の採用には、健康促進のためのサポートや、美容医療を割引価格で受けられる補助制度など、他にはない、新たな福利厚生サービスを考える必要があります。
企業文化(4):価値の向上への取り組み
企業価値の評価において、従来は財務指標や利益に重点が置かれていましたが、現在では事業を支える従業員の幸福やウェルビーイングなど、心身の健康や社会的な側面も企業価値として重要視されるようになっています。
このような価値向上の取り組みは、優秀は看護師の共感を呼びます。
企業文化(5):訪問看護に追加価値を加えた将来への期待
訪問看護ステーションが将来の展望を持つことは、優秀な看護師の採用と定着にとって大きな魅力となります。
たとえば、将来展望のひとつに訪問看護業務に追加価値を加えたナーシングホームの設立があります。
優秀な看護師は、利用者中心のアプローチを常に考えています。
在宅医療では、老々や独居で自宅での療養生活が限界となる人も多く、ナーシングホームの設立は、利用者中心アプローチを常に考える優秀な看護師にとって、ステーションの企業姿勢に大きく共感できる要素となります。
企業文化(6):家族を大切にできる制度
優秀な看護師は、家庭内の調和も重要と考える人材が多いです。
家族を大切にできる環境や柔軟な休暇制度を提供し、看護師が仕事と家庭を両立させやすい状態を作り出すことで、ステーションへの定着が高まります。
企業文化(7):趣味も充実できる
趣味も充実できるステーション環境が優秀な看護師の採用に不可欠です。
優秀な看護師は、仕事とプライベートのバランスを取りながら充実した生活を送りたいと考えています。
趣味を楽しめる環境が提供されることで、仕事のストレスから解放され、心身の健康を保つことができます。
また、趣味を通じて新しいことに挑戦することで、看護師の創造性や能力が向上します。これは仕事においても応用され、問題解決能力や柔軟性が高まります。
趣味が充実できる環境が提供されることで、事業所の魅力が向上し、看護師がステーションにとどまる意欲が高まります。
(2)明確さ
求職中の優秀な看護師は、明確さがないと効率的に働くことが難しくなると考えているため、ステーションの体制が明確であることが大切です。
以下に具体的に4つの明確にしておきたい体制について説明します。
明確にすること(1):業務内容が明確になっている
業務の透明性を確保するため、日々の業務内容や責任範囲を明確に定義し、看護師に共有します。これにより、看護師は自身の役割や責任を理解し、自信を持って業務に取り組むことができます。
明確にすること(2):利用者に対するステーションの方針、考えが一貫している
利用者に対するステーションの方針や考えが一貫していることは、訪問看護ステーションが提供するケアやサービスに対する基本的な価値観や方針が一貫していることを指します。
ステーションの看護師も共通の方針に基づいて行動し、より効果的かつ効率的なケア提供が可能となります。
優秀な看護師を採用し定着させる企業姿勢として、この方針や考えをぶらさないことが大切です。
明確にすること(3):やりたい看護ができる
優秀な看護師の中には、病院での看護に限界を感じ、在宅で自らが目指すやりたい看護を実践し、利用者や地域社会に貢献したいという強い志を持つ人材が多くいます。
看護師が持つ志や価値観を尊重し、自らの使命や意義を実現できるようサポートし、やりたい看護を実践できる環境を提供することも重要です。
明確にすること(4):稼げる仕組みがある
優秀な看護師は、自らの努力や成果が正当に評価される給与や報酬制度を求める傾向があります。
適切な報酬を受け取り、自らの努力や成果が正当に評価される仕組みを整えることは、優秀な採用と定着に大切な事項となります。
(3)不安解消
優秀な看護師の採用と定着を促進する上で、応募者に対して不安となるような要素をできるだけ排除する必要があります。
以下に不安を解消する2つのポイントをまとめました。
不安解消(1):不公平感
優秀な看護師の応募者が不安を感じる主な要因の一つは、不公平感です。
これを解消するために、給与体系、勤務条件、評価基準、昇進機会などに関する情報を正確に伝達できるようにします。
不安解消(2):業務負担
優秀な看護師の採用を促進するために、オンコールや夜間、土日祝日などの業務負担を軽減することは重要です。
そのために、メンバーの欠員など起こりうる状況に備えて、オンコールや夜間、土日祝日の業務負担が集中しないよう、予防策を講じておくことが大切です。
またテクノロジーの活用により、情報の迅速な共有や業務の効率化を図ることで、看護師の業務負担を軽減することが可能です。
まとめ
優秀な看護師の採用と定着は、ステーションの成長に寄与することはもちろん、在宅医療業界や地域社会に対してさまざまな好影響をもたらし、大きな意義があります。
規模が小さい訪問看護ステーションであっても優秀な看護師を採用することは充分に可能であり、小規模な時こそ優秀な看護師採用と定着に力を注ぐ必要があります。
年々変化する訪問看護の採用市場に合わせ「企業文化」「明確さ」「不安解消」の3要素において抜本的な見直しをすることで、大規模も含め他のステーションが簡単には追いつけないほど看護師から魅力的と思われる事業所に成長することもできます。
本記事が訪問看護事業に従事される方や、これから訪問看護事業への参入を検討される方の参考になれば幸いです。
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