知っておきたい!訪問看護ステーションの管理者の業務内容と役割

管理者は、ご利用者様やそのご家族、スタッフ、主治医および医療機関、ケアマネジャー、行政など、様々な関係者とのコミュニケーションを円滑に行いながら、訪問看護ステーションの運営にあたっています。

訪問看護ステーションの運営は、管理者の手腕にかかっていると言っても過言では、ありません。

今回は、訪問看護未経験の看護師、将来管理者を目指している看護師に向けて、訪問看護ステーションの管理者の業務内容と役割ついてお伝えしていきます。

訪問看護の管理者の仕事内容

訪問看護の管理者の仕事を大きくわけると以下の5つになります。

(1)スタッフのマネジメント

訪問看護ステーションには、看護師や療法士などのスタッフが所属しています。

管理者は、スタッフのスケジュール作成、勤怠管理、能力開発支援など、スタッフのマネジメントを行います。

(2)顧客満足度を高める

訪問看護ステーションは、患者やその家族からの相談や要望に応じる必要があります。

管理者は、スタッフに対して、顧客サービスに必要なスキルやマナーなどを教育することで、顧客満足度を高めることが求められます。

(3)予算管理

訪問看護ステーションは、予算を適切に管理することが求められます。管理者は、予算の立案、監視、報告などを行い、財務面においても責任を負います。

(4)品質管理

訪問看護ステーションは、ご利用者の安全性や質を確保するために、品質管理に力を入れる必要があります。

管理者は、訪問看護ステーション内の品質管理体制の整備や改善を行い、ご利用者(患者さん)に安心して利用してもらえる環境を整えます。

(5)法令・規則の遵守

訪問看護ステーションには、法令や規則に基づく業務の遂行が求められます。管理者は、スタッフに対して法令や規則の遵守を徹底するよう指導し、自らもそれを守ることが求められます。

以上の5点を踏まえて、訪問看護の管理者業務をさらに細かく解説していきたいと思います。

訪問看護の管理者が行う品質管理、サービス向上への取り組み

訪問看護の管理者が行う品質管理、サービス向上への取り組みには、以下のようなものがあります。

チームメンバーの教育・研修の実施

訪問看護チームメンバーに対して、適切な教育・研修を行うことで、専門性の向上やサービス品質の向上を図ることができます。

訪問看護計画の見直し

訪問看護計画の見直しを定期的に行い、患者さんの状況やニーズに合わせた適切なケアが提供できるようにします。また、チームメンバーの意見を取り入れ、より効果的なケアを提供するための改善点を見つけます。

モニタリング・評価の実施

訪問看護の実施状況やサービス品質を定期的にモニタリングし、問題点や改善点を把握します。また、顧客満足度調査やアンケート調査を実施し、患者さんや家族の声を聞きながらサービス向上に取り組みます。

プロセスの改善

問題点や改善点を把握した上で、プロセスの改善に取り組みます。具体的には、業務手順の改善や訪問ルートの改善、チーム内でのコミュニケーションの改善などが挙げられます。

マネジメントの強化

チームメンバーのスキルやモチベーションを向上させるためのマネジメントの強化を行います。

具体的には、目標設定やフィードバックの実施、業務の分担や役割分担の明確化などが挙げられます。

外部との連携

地域の医療機関や介護施設、地域包括支援センターなどとの連携を強化し、より良いサービスを提供するための協力体制を構築します。

上記の取り組みを行うことで、訪問看護の品質を維持し、サービス向上に取り組むことができます。

勤怠管理における管理者の役割

管理者として重要な役割の一つに勤怠管理があります。

訪問看護ステーションにおける勤怠管理において管理者は、以下のような役割を担います。

スタッフの勤務スケジュール作成

スタッフの勤務スケジュールを作成し、休暇や病欠などの勤務変更に柔軟に対応する必要があります。

スタッフの代替手段の確保

急なスタッフの休暇や病欠があった場合、代替手段を確保する必要があります。代替手段としては、他のスタッフのシフト変更や管理者自身の対応などが挙げられます。

勤怠管理システムの導入

勤怠管理システムを導入することで、スタッフの勤怠管理を効率的に行うことができます。管理者はシステムの導入・運用、スタッフの勤怠データの入力・管理、残業や休日出勤の承認などを行います。

スタッフの健康管理

スタッフの健康状態を管理し、勤務に支障のないように配慮する必要があります。具体的には、健康診断の実施や健康管理カウンセリングの提供などがあります。

スタッフの労働環境の整備

スタッフの労働環境を整備し、ストレスや過労などの問題を解決する必要があります。具体的には、勤務時間の調整や仕事量の配分、休憩時間の確保などがあります。

このように訪問看護の管理者は、勤怠管理に細かく気を配ることでスタッフのモチベーション向上や離職率の低下などを実現しているのです。

また、スムーズな勤務管理によって、訪問看護サービスの提供が安定し、品質の向上につながることも期待できます。

スタッフとのコミュニケーションにおける管理者の役割

スタッフとの円滑なコミュニケーションを行うのも訪問看護ステーションの管理者の重要な役割の一つです。

管理者が行うスタッフとのコミュニケーションには、以下のような種類があります。

定期的なミーティングの実施

定期的なミーティングを実施し、スタッフ同士の情報共有や意見交換を促します。また、業務の進捗状況や改善点なども話し合い、全体の方針を共有することでスタッフのモチベーションアップにもつながります。

フィードバックの提供

スタッフが仕事で成果を出した際には、適宜フィードバックを提供することが重要です。認められた実績に対して感謝の言葉を伝えたり、改善点があれば具体的に指摘し、次回に向けた改善点を共有することでスタッフのスキルアップにつながります。

オープンなコミュニケーションの実践

スタッフとのコミュニケーションはオープンであることが重要です。スタッフからの質問や相談に対して、適切な回答やアドバイスを提供し、スタッフの意見を積極的に取り入れることが大切です。

プライベートの配慮

スタッフが業務以外の問題で悩んでいる場合、聞き役になったり、配慮することも必要です。プライベートの問題が解決すると、仕事に集中できるようになるため、スタッフの仕事への取り組みにも影響を与えます。

以上のような方法を実践することで、訪問看護ステーションの管理者はスタッフとのコミュニケーションを円滑にし、組織の良好な運営につなげることができます。

訪問管理者がおこなう予算管理

訪問看護ステーションの管理者は、予算管理にも重要な役割を果たします。

以下は、予算管理における主なポイントです。

収支管理の確認

毎月、収支管理を行い、収入と支出のバランスを確認します。収支報告書を作成して、予算と実績の差異を把握し、適切な措置を取ります。

予算作成

次年度の予算を作成します。予算は、人件費、資材費、雑費などの項目に分けて作成します。これにより、予算内でサービスを提供し、赤字を回避するために必要な施策を考えることができます。

予算配分

予算を各部署やプロジェクトに配分します。配分の際には、業務の重要度や優先順位を考慮し、必要な予算を確保します。

予算の調整

実績に応じて、予算の調整を行います。収支状況に応じて、必要に応じて予算の増減を検討し、必要な措置を取ります。

経費管理

支払いの管理にも注意が必要です。支払いに関する帳簿を管理し、経費の節約策を検討することで、ステーションの収益を最大化するために必要な施策を講じます。

顧客獲得のための営業管理

訪問看護において顧客であるご利用者さん(患者さん)の獲得は、非常に重要な役割になります。

訪問看護ステーションの管理者がおこなう顧客獲得のための営業管理には、以下のような取り組みがあります。

市場調査

訪問看護が必要な地域や、競合他社のサービス内容や価格帯を調査し、自社の強みや差別化ポイントを明確化します。

マーケティング戦略の策定

調査結果を元に、自社のターゲット層やサービス提供エリア、価格設定などを決定し、マーケティング戦略を策定します。

広告・宣伝:自社のサービスをアピールするため、広告や宣伝を行います。地域の新聞や雑誌、看護師向けの求人サイトやSNSなどを活用して、情報発信を行います。

既存顧客のフォローアップ

訪問看護ステーションには、一定の利用者がいます。その利用者に対して、定期的にフォローアップを行い、サービスに対する不満や改善点を把握し、改善に取り組みます。また、定期的にサービスの質を確認し、顧客満足度を向上させます。

提携先の開拓

医療機関や介護施設、薬局などとの提携によって、新たな顧客を獲得することができます。提携先と協力して、地域の医療や介護の課題を解決し、信頼を得ることが大切です。

スタッフの教育・研修

スタッフが提供するサービスの質を向上させることで、顧客満足度を高めることができます。スタッフに対して、訪問看護の専門知識やコミュニケーションスキル、マーケティングの基礎などを教育・研修することが必要です。

訪問看護ステーションの管理者は、これらの取り組みを行うことで、顧客獲得に取り組んでいます。

次の管理者候補の育成

運営が軌道に乗り、ステーションの規模を拡大していく時に必要となるのが、次の管理者候補の育成です。

これも管理者の重要な役割となります。通常のスタッフの育成に加え、次の管理者候補の育成には、以下のような方法が必要になります。

業務を体系的に学ぶ

管理者となるためには、訪問看護ステーションの業務を体系的に学ぶことが重要です。

具体的には、訪問看護の手順や法令、医療保険の知識、予算管理など、管理者が必要とするスキルや知識を習得することが求められます。

経験を積む

管理者に必要なスキルや知識を習得するためには、まずは実務経験を積むことが大切です。

訪問看護の現場で働くことで、患者やその家族とのコミュニケーション力や、スタッフのマネジメント能力などを磨くことができます。

マネジメントの研修を受ける

管理者として必要とされるマネジメントスキルは、専門的な知識や技術だけでなく、リーダーシップやチームビルディングなども含まれます。研修やセミナーを活用して、これらのスキルを学ぶことができます。

目標を設定する

次の管理者候補は、自身のキャリアアップに向けて、自己評価や目標設定を行うことが重要です。具体的なキャリアプランを描くことで、自己成長に向けて努力することができます。

フィードバックを受ける

上司や先輩からのフィードバックは、自己成長に欠かせません。自身の強みや課題を把握することで、自己成長の方向性を見出すことができます。また、フィードバックを通じて、スタッフや上司とのコミュニケーション力も向上することができます。

以上が、次の管理者候補の育成の仕方の一例です。

もちろん次の管理者候補だけでなくスタッフ全員がキャリアアップに向けた支援を受けることができるような環境づくりが求められます。

まとめ

今回は、外からだとなかなかわかりづらい訪問看護ステーションの管理者の業務と様々な役割について説明しました。

管理者が日々取り組まれている内容の多さに驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

訪問看護の業務内容を理解したい看護師、これから管理者を目指す看護師の参考になれば幸いです。

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