在宅医療ドクターズコラム(9)たったこれだけ?老けない「生活習慣」(3)美容や健康を考えれば、やはりおすすめは「和食」

こんにちは、恵比寿こもれびクリニックの院長、西嶌暁生です。

人生100年時代と呼ばれる社会において、「笑顔で自分らしく、活き活きと自立して生きる」ためには「健康」が不可欠です。

このコラムでは、在宅の現場で日々奮闘している訪問看護師の皆様に向けて、時間や労力、コストをかけることなく、在宅でも手軽に始められる「健康・美容増進のコツ」をご紹介していきたいと思います。

前回のコラムでは、日本人の主食であるごはん(白米)をテーマにお伝えしました。(前回の記事はこちらからどうぞ!)今回はその続きとして和食(日本食)をテーマにお伝えしたいと思います。

日本の一人あたりの米の年間消費量は年々減少傾向

私たち日本人からすると、お米は日本の食の象徴ですよね。しかし世界的に見ると、1日のひとりあたりの米の消費量は119gでなんと50位!

お米が大好きな日本人よりもお米を食べている国が49カ国もあるとは驚きですね。

では、世界でいちばんお米を食べている国はどこかというと、バングラデシュです。1日あたりの消費量は473gで、これは丼1杯240gとしたとき、約2杯分ということになります。

バングラデシュではカレー&ライスが主食で、ビリヤニのようなお米を生かした料理もよく食べられています。

もともと炭水化物が多いうえに夕食の時間が夜間、ときには深夜にもおよぶため、どうしても体重は増えやすいようです。

対する日本のひとりあたりの米の年間消費量は、高度経済成長期の1962年の118.3㎏をピークに減少し続け、2020年には50.7㎏にまで減っています。

一方で、忙しい朝を中心に主食にパンを選ぶ人が増え、パンにかける支出は伸びています。

しかし美容や健康を考えれば、やはりおすすめは「和食」。

2013年にはユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録され、ヘルシー食として世界から注目されています。

私たち日本人も、その良さをもう一度見直してみる時期にきているのかもしれません

日本食中心の食事スタイルは、動脈予防の予防に役立ちます

和食(日本食)は、魚介類や大豆、野菜、海藻、きのこ類などを摂りやすく、健康的な食生活に近づけやすいのがメリットです。

日本動脈硬化学会が動脈予防の予防に役立つとして提唱する「The Japan Diet 」は、まさに日本食中心の食事スタイル。

東北大学や国立がん研究センターが行った研究では、食事における日本食の割合が高い人は死亡リスクが14%低い、という結果が出ています。

納豆やみそ、酢など発酵食品が多いので、腸活としても圧倒的に和食がおすすめ。

とはいえ「できるだけ和食を食べましょう」と漠然と言われても、意識を変えにくい人はいると思います。

「週に3回はランチに和食を選ぶ」など機械的に守れるルールを設けると、いちいち考えずにすんでいいかもしれません。

塩分が過剰になりがちな和食には

和食は、だしや塩、みそ、しょうゆなどの調味料を最低限に用いて素材本来の味を生かすのが特徴ですが、それでも塩分が過剰になりがち。一方でタンパク質が不足しがちです。

豆腐や納豆など、タンパク質の小鉢を追加するようにしてください。

そしてタンパク質のおかずを食べるとき、レモンの酸味、大根やわさびの辛味など、香辛料を使って塩味を補うようにすると、塩分の摂りすぎを防ぐことができます。

和食にドバドバしょうゆをかけると一気に塩分過多になりますから、習慣になっている人は要注意ですよ!

納豆は、いつどのようにして生まれたののか

代表的な発酵食品のひとつ、納豆がいつどのようにして生まれたかについては諸説あります。

奈良時代に仏教伝来のため唐から来日した鑑真和上が納豆のつくり方まで伝えた、という説もあれば、平安時代に奥州へ戦の制圧に赴いた源義家が戦のまっただ中に偶然発明した、という説も。

言い伝えによれば、義家は戦の食料として大豆を煮ていたところを敵襲されたため、その豆をワラに詰めて馬の鞍にくくりつけて応戦、戦いが終わったあとでワラを開けたら、糸を引く煮豆が異臭とともに現れたというのです。

馬の体温は38度前後あり、納豆菌が活発に働く温度に保たれたことも納豆の誕生をあと押ししたとか。

それにしても、そのとき「なんだ、豆が腐っているぞ」と捨てていたら、私たちのごはんの友は生まれていなかったかもしれませんね。

最初に口に入れた義家は、たいへんに勇気のある人物だったのでしょう。