こんにちは、恵比寿こもれびクリニックの院長、西嶌暁生です。
人生100年時代と呼ばれる社会において、「笑顔で自分らしく、活き活きと自立して生きる」ためには「健康」が不可欠です。
このコラムでは、在宅の現場で日々奮闘している訪問看護師の皆様に向けて、時間や労力、コストをかけることなく、在宅でも手軽に始められる「健康・美容増進のコツ」をご紹介していきたいと思います。
このコラムの読者の中にもシミ、イボ、たるみなど、美容に関するお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
これらの悩みは、単なる見た目の問題だけでなく、健康状態と深く関わっている場合があるため、健康保険を使って治療できるケースもあるのです。
今回は、健康保険が適用されるケースや、クリニック選びのポイントなどについてご紹介します。
医療クリニックならではの大きなメリットとは
まず、医療クリニックならではの大きなメリットとして「症状によっては健康保険が適用になる」ことが挙げられます。
日本では、国民はすべて公的医療保険(健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度)に加入しています。
保険が適用されると、自己負担額は「3割」(6歳以上〈義務教育就学後〉9歳以下の場合)となりますから、支払う金額は大きく変わってきます。
公的医療保険は、その対象を病気やケガ、出産、死亡に限定しており、美容目的では適用になりません。
形成外科治療でいえば、生まれつきの病気やヤケド、ケガなどの外傷、できもの(良性腫瘍・悪性腫瘍)などは保険適用です。
一方、シワやたるみ取りといった、外見を変化させることがおもな美容外科治療では、病気やケガではない=治療が必要な状態ではないとみなされるため、そのほとんどが保険適用外(自費診療)になります。
ただし場合によっては、整容性に関わる症状であっても保険適用になる可能性があるのです。
たとえば、まぶたのたるみ。
単に「老けて見えるからたるみを取りたい」という場合は保険適用外ですが、眼瞼下垂が進行して視野がせまくなったり、肩こりや頭痛を引き起こして日常生活に大きな影響が出たりといった症状がある場合、保険適用になります。
この場合「眼瞼下垂」というれっきとした病名がつき、治療の必要があるとみなされるからです。
保険適用は「国が保険診療として認めた治療法であること」が条件ですから、たとえ医療機関なら眼瞼下垂と診断されうる症状でも、エステサロンでフェイスマッサージやストレッチなどを受けた場合では適用されません。
このように、目的は医療か美容かで違っても、実際の症状や治療範囲が重なる部分はけっこうあります。
本人は美容の範ちゅうと考えていた悩みが、医師が診断すると治療が必要な疾病であることは珍しくありません。
医学的な治療が必要かどうか(=保険が適用になるか)は、高い次元からの診断が必要です。一概に「美容目的だから絶対に自費診療になる」とはいえないということです。
ちなみに、よく患者さんが保険適用外と思い込んでいるけれど、実際には保険適用になる例をいくつかご紹介しましょう。
シミ
日光角化症、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症など
イボ
多発する神経線維腫のように、ベースに別の疾患が隠れていた場合など
顔のくすみ
太田母斑や扁平母斑、異所性蒙古斑といったアザが原因だった場合
外傷後のひきつれ
「幼少期にヤケドをしてしまい、皮膚がかたくて指が伸ばしにくい」といった症状は、皮膚の瘢痕拘縮(はんこうしゅく)と呼ばれ、時間がたっていても保険適用の対象となる
これらの症状は、見た目の問題だけでなく、健康上の問題も引き起こしている可能性があります。そのため、健康保険を使って治療できるケースがあるのです。
幅広く対応できるクリニックをお勧めします。
クリニック選びで迷っている方に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
クリニックによっては、「レーザー治療」に特化していたり、「外科手術」に力を入れているところがあります。
しかし、レーザー治療と手術、両方を行っているクリニックのほうが、治療の選択肢は増えるわけですよね。
たとえばイボ取りにしても、7~8㎜サイズまでならレーザーで、それ以上なら外科手術で除去したほうが、術後がきれいになる場合があります。
ですから、より治療の幅が広がるという意味では、両方の施術を提供できるクリニックを選ぶことをおすすめします。
まとめ
美容整形は高額なイメージがありますが、実は、健康保険が適用されるケースも少なくありません。
この記事でご紹介したように、見た目に関する悩みの中には、病気やケガが隠れている場合があります。
まずは、医療機関を受診し、医師に相談することが大切です。
専門家の診断を受けることで、最適な治療法を見つけ、健康保険の適用についても詳しく知ることができます。