糖尿病は、高血糖状態が持続することで、神経や血管に損傷を引き起こす可能性がある病気です。合併症が起こると日常生活に支障をきたすため、糖尿病患者のケアでは、合併症を予防することと、進行を抑えることが非常に重要です。
足のケアは特に重要です。神経障害や感染症による足病変が起こると、歩行が困難になるなど、在宅療養が難しくなるからです。この記事では、訪問看護で行う糖尿病患者のフットケアを解説します。
足の観察が何よりも大切
・足の視覚的評価
まずは患者の足の状態を観察し、評価します。患者は自分の足であっても、自分では足の裏まで見えなかったり、眼の合併症で視力が悪かったりして、合併症の兆候に気づいていない可能性があります。そのため、訪問看護師による足の観察がとても重要なのです。
観察項目
傷、炎症、ただれ、白癬の有無
皮膚の色や温度の変化など
・足の血行の評価
糖尿病患者は、末梢血管障害のリスクが高いため、訪問看護師は足の血行を評価します。脈拍や足の温度、皮膚の色や感触などを確認し、血液循環の問題を早期に発見します。
フットケアをやってみよう
・足の清潔保持
患者の足を洗い、清潔にします。洗浄にはぬるま湯を使用し、強くこすらずに優しく洗います。洗いながら再度入念に観察するのも忘れずに。拭きあげる時には、指の間の水分を十分に拭きましょう。足を清潔にする必要性と方法を患者に指導し、自分でも清潔に保ってもらうようにします。
・皮膚の保湿
糖尿病患者の皮膚は乾燥しやすく、ひび割れや損傷のリスクが高まります。乾燥を予防するため、足を洗った後は保湿剤を塗ります。訪問看護師は、保湿剤の使用方法や適切な保湿の頻度についてアドバイスし、患者自身に実践してもらいます。
・爪のケア
適切な爪のケアは重要です。訪問看護師は、爪の切り方や爪の形状について指導し、爪が肉に食い込むことを防ぎます。また、巻き爪や爪の状態に異常がある場合は、適切な処置を提案することもあります。
・靴の選び方
サイズの合わない靴は、足を圧迫し、潰瘍や皮膚損傷のリスクにつながるため、特に糖尿病患者は、足の形状やサイズに合った靴を選ぶ必要があります。
訪問看護師は、適切な靴の選び方を助言します。
・日常の足のケアと指導
訪問看護師は、患者に日常的な足のケアの重要性を教えます。適切な靴と靴下の着用、足の保湿、爪の適切な切り方などを繰り返し指導し、患者が自己管理できるようにサポートします。
・潰瘍や感染の早期発見
訪問看護師は、足の潰瘍や感染症の早期発見にも努めます。もし、足の傷や皮膚温の変化など、合併症につながりそうな異常を発見したときは、適切な治療を提案し、必要な場合には医療チームと連携します。
糖尿病患者は病院を受診していても、1ヵ月に1回など、次の受診までに間があります。そのため、病院の外来スタッフよりも、定期的に訪問する訪問看護師には、足の異常を早期発見するチャンスがあると言えます。
・訪問看護師による教育
訪問看護師は、糖尿病患者とその家族に対して、足のケアに関する教育を行います。フットケアを行いながら、正しいケアの方法、注意すべきポイント、異常があれば訪問看護師や外来受診の際に報告することなどを丁寧に説明し、患者が自己管理できるよう支援します。
まとめ
訪問看護師は糖尿病患者のフットケアにおいて重要な役割を果たします。定期的な訪問とコミュニケーション、適切なケア、指導により、患者の足の健康を保ち、合併症や感染のリスクを最小限に抑えましょう。
糖尿患者がQOLを高く保って自宅での生活を送ってもらうために、訪問看護師は重要な役割を期待されているのです。
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