こんにちは、恵比寿こもれびクリニックの院長、西嶌暁生です。
人生100年時代と呼ばれる社会において、「笑顔で自分らしく、活き活きと自立して生きる」ためには「健康」が不可欠です。
このコラムでは、在宅の現場で日々奮闘している訪問看護師の皆様に向けて、時間や労力、コストをかけることなく、在宅でも手軽に始められる「健康・美容増進のコツ」をご紹介していきたいと思います。
第1回目となる本日は、「人生100年時代の在宅健康・美容増進術_総論」と題して、全体的な概要についてお伝えします。
人生100年時代とは
最近、「人生100年時代」という言葉をよく耳にしますが、この言葉が一人歩きしていて、実際にその現実に向き合っている人はあまり多くないように思います。
まず「人生100年時代」とはどのような状況なのかを整理していきたいと思います。
20世紀以降、世界は未曽有の高齢化社会に突入しました。イギリスのデータになりますが、1800年代までは平均寿命は40歳前後でした。
しかし、1900年代に入り飛躍的に平均寿命が延びて、わずか100年で約2倍になっています。
これは時間軸で見ても驚異的な数字であり、経済(GDP)や公衆衛生(医療費)の向上が関係していると考えられます。
19世紀、世界は貧困と医療過疎の中にありました。20世紀、先進国で平均寿命が60歳を超えました。21世紀、全世界の平均寿命は 72.6 歳になりました。そして現在、日本人の生存確率は下記になります。
・2人に1人は80代半ば
・4人に1人は90代前半
・10人に1人は90代後半
・20人に1人は100歳以上
この生存率通りにいくと、将来の日本の100歳以上の人口はなんと630万人以上になるのです。
しかも、ある海外の研究では、2007年生まれの子供の約半数は107歳まで生きると予想されています。
それは今の平均寿命よりも約20年長く、超高齢化社会が加速度的に進むということです。考えただけでも不安になりますよね。
自分が100歳以上生きることを考えて下さい。どのように生きたいですか?
「笑顔で自分らしく、活き活きと自立して生きる」
これが多くの人の望みだと思います。そのためには、在宅サービスが非常に重要です。
単に医療施設に通うだけでなく、日常生活の中で身近に医療や看護を感じられる環境が必要です。
つまり、「人生100年時代」には、医療従事者との距離を縮め、本人に寄り添った誠実なサービスの拡充が求められるのです。
病気を診ずして病人を診よ
次に本コラムのテーマである「在宅健康・美容増進術」の概要についてお伝えしていきます。
突然ですが、皆さんは意思が強いですか?
私は恥ずかしながら、あまり強い方ではありません。好きなお酒も飲みたいし、休みの朝のベッドは重力が通常の3倍です。
そのため、私の場合、「頑張って何かをプラスする」健康法は長続きしません。私のオススメは、「余計なことをやめる」あるいは、今ある生活習慣を「少し変える」健康法です。
医師が患者を診る時、「病気を診ずして病人を診よ」という高木兼寛先生の格言があります。
これは、病んでいる「臓器」のみを診るのではなく、病に苦しむ人に向き合い、その人そのものを診ることの大切さを表しています。
そして、在宅での未病や予防にもつながっているのです。
セルフケアの3つのアプローチとは
一言で「健康」といっても、単に物理的な体の不調だけではありません。
①インナーケア(内側)、②アウターケア(外側)、③マインドケア(精神)の全てに対するセルフケアが大切なのです。
イラスト出典:「無駄なケアをやめる」から始める美肌スキンケアの新常識大全
この3つのアプローチの内容を簡単に以下に列挙します。
1)身体の内側からのアプローチ(インナーケア)
・健やかで強い身体や細胞を作る材料となる栄養素を加える。
・それらの材料を適切に、効率よく利用する為に必要な酵素やビタミンを加える。
・すべての基礎となる腸内環境を改善する為に、
①デトックス、
②善玉菌の育成、
③整腸
の3大要素を大切にする。
・女性のホルモンバランスを食生活から整える。
2)身体の外側からのアプローチ(アウターケア)
・「洗う」「補う」「守る」の3大要素に対して、細胞ファーストのスキンケアを行う。
・適切なホームケア(スキンケア)、化粧品、美容法を選択・実行する。
3)心に対するアプローチ(マインドケア)
・過度な健康意識は逆にストレスになるので、飾らない自分自身を大切にしたセルフケアを目指す。
・睡眠は健康のために毎晩無料で処方される特効薬である。
・五感を使ったリラックス法を行い、飾らないありのままの自分を受け入れる。
これから毎回テーマを決めて「健康・美容増進のコツ」について掘り下げてお伝えしていきたいと思います。
(毎週水曜日に更新予定です。)