在宅医療ドクターズコラム(12)インナーケア・腸活のススメ(2)デトックス効果を高める水分補給

こんにちは、恵比寿こもれびクリニックの院長、西嶌暁生です。

人生100年時代と呼ばれる社会において、「笑顔で自分らしく、活き活きと自立して生きる」ためには「健康」が不可欠です。

このコラムでは、在宅の現場で日々奮闘している訪問看護師の皆様に向けて、時間や労力、コストをかけることなく、在宅でも手軽に始められる「健康・美容増進のコツ」をご紹介していきたいと思います。

本日は、インナーケアに必要な「腸活」の第2回として、腸内環境を改善する排泄(デトックス)効果を高める水分補給についてお伝えします。

出し惜しみせずに排泄(デトックス)

腸内環境を改善するには、代謝を上げてしっかり排泄(デトックス)できるようにすることがマスト!

といっても、何も難しいことはありません。少し意識を変えるだけで、すぐに手をつけられることばかりです。

意識して水を飲む

排泄力を上げるためにもっとも手軽に始められるのは「水を飲む」。これだけです。

1日の必要量の水分をしっかり摂取することで、基礎代謝の向上やデトックス効果が期待できます。

体内に蓄積された老廃物や毒素は、主に汗や尿を通じて排出されます。

摂取した水は汗や尿の材料になるため、水を十分に飲むことで汗や尿の量が増えます。したがって、デトックス効果も高まるのです。

目安として、1日あたり最低1・5〜2ℓを目標にしたいところ。体重1㎏あたり0・04ℓの水分が必要とされているため、体重60㎏の場合は2・4ℓ、70㎏の場合は2・8ℓが必要となります。

ただし、食事からも水分は摂取しているので、実際に飲む水の量としては、1日1・5〜2ℓが推奨されています。

「水筒やペットボトルを持ち歩くのはめんどくさい」という方には

女性の場合、マイボトルを持ち歩いてこまめに水を飲んでいる人を見かけますが、生活習慣としては素晴らしいですね。

ぜひ男性も、と言いたいところですが……「水筒やペットボトルを持ち歩くのはめんどくさい」という男性も多いですよね。

でしたら、せめて「食事のときに必ずコップ1杯の水を飲む」習慣をつけてください。

1日3食として、食事のたびにコップ1杯、300㎖程度の水を飲めば、合計で900㎖。

外食先でもたいていのお店でお冷やはついてきますから、無理なく続けられるはずです。

あとはデスクに500㎖のペットボトルを1本置いて、終業までに飲み干すようにすれば、合計で1400㎖。

1日の最低目標をほぼ達成できます。これならできそうな気がしませんか?

理想をいえば、食事以外にも生活のさまざまなポイントでコップ1杯、250㎖ほどの水をこまめに飲むのがベストです。

朝起きたとき、会社に到着したタイミング、食事以外の休憩時間、入浴の前後、就寝前など、生活動作の一部として水を飲むところまでできるといいですね。

水の質にはこだわってください

水の質にはこだわってください。というのも、日本の水道水には高濃度(0・1/ℓ以上)の塩素が含まれており、腸内細菌にとっては望ましくありません。

ですから、飲む水はミネラルウォーターをおすすめします。

軟水よりも硬水のほうが、カルシウムやマグネシウムを多く含んでいます。

また、酸性よりもアルカリ性の水のほうが、抗酸化作用があって体によいと考えられます。

外出先では水の質までコントロールするのは難しいかもしれませんが、せめて自宅で飲む水はミネラルウォーターを選ぶなど、可能なところは工夫をしましょう。

水の代わりにコーヒーやジュースを飲むのはおすすめできません

また、水の代わりに「同じ水分だからいいだろう」と、コーヒーやジュースを飲むのはおすすめできません。

コーヒーには利尿作用があるので体内に水分が蓄積されにくいですし、さまざまな飲料に含まれるカフェインは夜の睡眠の質を下げてしまいます。

私の場合、コーヒーを飲むと眠りにくくなるうえ胃も荒れてしまうので

「今夜はがんばって大きな仕事を片づけなければ」
「今日の仕事は絶対に失敗できない」

といった、いわば〝ギラつきたいとき〞にエナジードリンク代わりに飲むくらいです。

エナジードリンクは血糖値が急激に上がってすぐに落ちてしまい、体への負担が大きいので飲みません。

いずれにせよ、体に負担をかけずお金もかからない水こそ、もっとも健康的で合理的なドリンクといえるでしょう。