在宅医療ドクターズコラム(18)美容はトータルコストで考える

こんにちは、恵比寿こもれびクリニックの院長、西嶌暁生です。

人生100年時代と呼ばれる社会において、「笑顔で自分らしく、活き活きと自立して生きる」ためには「健康」が不可欠です。

このコラムでは、在宅の現場で日々奮闘している訪問看護師の皆様に向けて、時間や労力、コストをかけることなく、在宅でも手軽に始められる「健康・美容増進のコツ」をご紹介していきたいと思います。

今回は、美容にかかるコストへの考え方についてお伝えします。

美容クリニックでのケアは、費用が高い?

「クリニックでの美容ケアって、すごく高そう…」

こんな風に思っている人も多いのではないでしょうか。

実際、クリニックでのケアをおすすめすると、真っ先に抱かれるイメージは「費用が高いのでは?」というものです。

確かに、クリニックでの治療は、市販のコスメを買うよりも費用がかかることが多いかもしれません。

しかし、美容は単に一回の施術にかかる費用だけでなく、トータルで見たコストを考えなければなりません。

例えば、こんなことを考えてみてください。

・市販のケア用品を購入し、1年間使い続けても、思ったような効果が出なかった


・クリニックで数回治療を受け、悩んでいた箇所が半年間で気にならないレベルにまでなった。

どちらがお得でしょうか?

一見すると、クリニックでの治療の方が高額に思えます。しかし、時間や労力、そして何より「効果」という面から考えると、必ずしもそうとは言えないと思うのです。

もちろん、ホームケアも大切です

もちろん、ホームケアも大切です。私は決して、ホームケアを否定しているわけではありません。

それどころか、老化や病気の予防のためには日常生活でのちょっとした意識が欠かせないということを、このコラムを通してお伝えしてきたつもりです。

しかし、すでに肌にトラブルが出ている場合、ホームケアだけではなかなか改善できないことがあります。そんな時は、専門家の力を借りることも一つの選択肢です。

予防や未病(まだ病気としては表れていないものの、軽い症状がある状態)には対応できるとして、すでに今起こってしまっているトラブルを解消するには、医療に頼ったほうがよほど早いのです。

美容エステと医療クリニックとの違いとは

「プロに頼ったほうがいいのはわかった。でも、それならエステだってプロだし、クリニックより安くすむのでは?」

そう思われる方も多いかもしれません。しかし、エステサロンではなく、医療クリニックでの治療を受けることを強くおすすめします。

確かに、どちらも「美容」を専門とする場所ですが、実は大きな違いがあるんです。

では、多くの方が関心を持つ「永久脱毛」を例に、なぜ医療クリニックでの治療がおすすめなのかを解説していきましょう。

(1)永久脱毛は医療行為

そもそも「永久脱毛」は医療行為であり、医師免許を持つ人が行うことが定められています。

(2)使用できる機器の違い

医療クリニックとエステサロンの大きな違いは、使用できる機器です。

厚生労働省やFDA(アメリカ食品医薬品局)で認可された、安全性の高い医療機器は、医療機関でしか使用できません。

これらの機器は、エステサロンでは使用が認められていません。

(3)医師による一人ひとりに合わせた治療

レーザー脱毛は細胞の吸光度を利用して毛と毛母細胞を焼くため、皮膚にヤケドを負わせず、かつ効率的に毛量を減らせるよう、難しい調整が必須です。

そのため医師が診断し、ひとりひとりの肌の状態に合わせてレーザーの種類や出力を設定する必要があります。そのため医師は、患者さんの肌の状態をしっかりと診断し、最適な治療計画を立てます。

一方、エステサロンでは、医師の診断を受けることなく、同じような施術を受けることになります。

施術後の「アフターケア」がしっかりしているかどうか

もう一つ重要なのが、施術後の「アフターケア」がしっかりしているかどうかです。

脱毛の施術中や後に、やけどや色素沈着などのトラブルが起こる可能性はゼロではありません。

このようなトラブルが発生した場合、医療行為を行えないエステサロンでは、適切な処置をすぐに受けられない可能性があります。

もしトラブルが起こってしまったら、施術を受けたエステサロンから医療機関を紹介してもらうか、もしくは厳しい言い方になりますが、泣き寝入りするしかないのです。

体へ直接影響を与える施術を受けるのですから、「アフターケア」が万全に行われているかどうかは、非常に重要なポイントです。

エステサロンと医療クリニック、どちらがお得?

エステサロンの脱毛は、一回あたりの料金が比較的安いため、手軽に始めやすいというメリットがあります。

しかし、エステで使用されるレーザーの出力は、医療用のレーザーに比べて弱いため、効果を実感するために何度も通う必要があるケースがほとんどです。

中には、効果が出るまでに20回以上の施術が必要だったという方もいます。回数が多いということは、それだけ時間や手間がかかるということです。

結果的に、回数が多い分、トータルコストは医療クリニックと変わらない、もしくは高くなってしまうケースも少なくありません。

少ない施術回数で確実な効果を

この点から考えると、医療クリニックでの脱毛は、時間や手間、そして費用対効果の面から見ても、より理にかなっていると言えるのではないでしょうか。

まとめ

美容にかかる費用は、ただ単に「一回あたりの金額」だけでなく、時間や労力、そして何より「効果」という面からも考える必要があります。

クリニックでの治療は、決して高価なものではなく、むしろ、トータルコストで見ると、とてもお得な選択肢である場合もあります。

ご自身の肌や体にとって、最善の選択をしてください。